コスパ最高! イチゴの苗を自分で育てよう【やさいの時間10・11月号こぼれ話】
昨年(2022年)の『やさいの時間』10・11月号では「イチゴ完全攻略!」と題してイチゴを特集しましたが、昨年の秋に苗を植えつけて促成栽培をせずに育てた場合は、そろそろ収穫を終えるころでしょう。
イチゴの栽培では、収穫量が減らないよう1シーズンごとに株を更新するのが基本ですが、そのイチゴ、そのまま片づけてしまうのは、すごくもったいないんですよ! 誌面に紹介しきれなかった内容を紹介する「こぼれ話」では、収穫が終わった株から、秋植え用の苗を育てる方法をご紹介します。
イチゴの増え方は、ちょっと不思議
イチゴは、一般的な野菜とは異なる増え方をします。春に花が咲くころから「ランナー(ほふく枝)」と呼ばれるつるのようなものを伸ばし、ランナーの先に子苗ができて株を増やすのです。実の収穫が終わるまでは、実に養分を回すためにこまめにランナーを切りますが、収穫後はランナーを伸ばして子苗を鉢上げすれば、翌シーズン用の苗になります。
一季なり品種は6月中旬以降、四季なり品種は8月上旬以降が作業のタイミング。四季なり品種は、9月の収穫再開までの間に行いましょう。
イチゴの苗は、園芸店などでは1ポット300~500円で売られていますから、自分で育てればだいぶお得ですよね!
次々に伸びるイチゴのランナー。(撮影/上林徳寛)
よい親株を残して、ランナーを伸ばそう
親株1株から、少なくとも10株ほどの子苗がとれるので、親株をすべて残す必要はありません。家庭菜園なら、よい親株を2~3株残せば十分でしょう。よい親株とは、病害虫の被害を受けておらず、よく育ってたくさん実をつけたもの。優れた形質が、子苗にも受け継がれることが期待できます。
子苗を作るためには、まずランナーを伸ばします。親株にいちばん近い子苗は、性質が不安定で収穫量が減ることがあるので利用しません。利用するのは、性質が安定した二番目以降の子苗です。次の4つの資材さえあれば、苗作りを始められますよ。
【苗作りに必要な資材】
① 元肥入りの野菜用培養土(pH調整済みのもの)
② ポリポット(2.5~3号)
③ 鉢底ネット
④ 7~8cmのワイヤー(U字形に曲げる)
約3週間で、苗ができる
用意ができたら、次の手順で苗作りを始めましょう。
1.ポリポットに鉢底ネットを敷いて、培養土を入れておく。地面にポリポットを置いて、育苗する子苗を押し込む。U字形にしたワイヤーで、親株とつながるランナーを培養土にしっかり固定する。(撮影/上林徳寛)
2.このまま、約3週間育てる。水切れすると枯れてしまうので、毎日水をやる。追肥は不要。(撮影/上林徳寛)
3.3週間後、子苗を軽く引っ張って土から抜けなければ、根づいた証拠。親株とつながっていたランナーを、長めに切り離す。(撮影/丸山滋)
4.10月の植えつけ適期になるまで、水切れに気をつけて管理する。培養土の元肥だけで十分育つので、追肥はしなくて大丈夫。(撮影/丸山滋)
今年の秋は、自分で育てたイチゴ苗を植えつけて、どっさり収穫を目指しましょう!
次回の「こぼれ話」のテーマは、梅雨を乗り切るコツを紹介予定です。お楽しみに!〈6月下旬頃公開予定〉
▼これまでのこぼれ話はこちらからお読みいただけます
『やさいの時間』編集部によるテキストこぼれ話。誌面で紹介しきれなかったお役立ち情報を、ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」で公開!【不定期公開】
▼イチゴ栽培におすすめの本
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