トピック&ニュースグリーンライフに役立つ最新トピック&ニュースをお届け!

「日本一のアジサイ園」をもっと深掘り!アジサイだけじゃない、みちのく【趣味の園芸6月号こぼれ話・前編】

「日本一のアジサイ園」をもっと深掘り!アジサイだけじゃない、みちのく【趣味の園芸6月号こぼれ話・前編】
写真提供(右):新川正己

『趣味の園芸』2023年6月号・アジサイ特集内の「空と山とアジサイと」では、「日本一のアジサイ園」とも称される岩手県一関市の、みちのくあじさい園を取材しました。取材・撮影に対応いただいたのは、みちのくあじさい園の新川正己さん。誌面には掲載しきれなかったお話をご紹介します。

 

どのような経緯で、「日本一のアジサイ園」と称されている、みちのくあじさい園で働かれるようになったのでしょうか。

「じつは出身は鹿児島で、ずっと写真関連の仕事をしていました。あるとき撮影で岩手県を訪れまして、しばらく一関市の舞川という町に滞在したのですが、広大な自然に魅せられて、そのまま住むようになったんです。地元とのつながりもできていくなかで、みちのくあじさい園の園主に声をかけてもらいました。」

 

「みちのくあじさい園については、ありがたいことに、川原田邦彦さんをはじめ、いろいろな方が各方面で紹介してくださっています。でも、『日本一のアジサイ園』と言われつつも、一昔前までは、『日本一来園者の少ないアジサイ園』の間違いじゃないか?と半分冗談で言っているような状況で、人が押し寄せるような場所ではなかったんですよ。数年前に全国ネットのテレビで放映されたり、アジサイ池をはじめたころから潮目が変わって、国内外から多くの人が来てくださるようになりました。」

 

「あまりのアジサイ池の人気の高さに、混雑を緩和するため、年々アジサイ池を始めるタイミングが早まってきて、管理スタッフとしては作業が非常に大変になってきてはいます(笑)。個人的には、池だけではなく、咲いている状態のアジサイがいちばん綺麗だと思いますので、ぜひ生のアジサイも見に来ていただきたいです。その際は、朝一番でいらっしゃるのがおすすめです。岩手県も近ごろはかなり気温が上がりますので、天気がよすぎる日には午後になると花も眠そうになってくることもあるので。」

 

本誌では、アジサイ研究者の山本武臣氏から株を譲り受けた際のエピソードで、園主の「タラの芽を贈って親交が深まった」というお話が印象的でした。

「散策していると、園内にタラノキがあることに気がつかれると思います。とげだらけでやっかいな木なので、普通だったら切るんだと思いますが、園主と山本武臣さんとの縁をつないでくれた、いわばこのあじさい園のご神木のような木なので、この木だけはむやみには切れないんですよね。来園者の方の中には、不思議に思って尋ねられる方もいますよ。じつは、いまでも季節になると天ぷらやおひたしにして食べているんです。」

 

202306kobore1_01.jpg

中央から左上に伸びているのが「ご神木」のタラノキ。その新芽が山菜としてもなじみのある「タラの芽」。「雑木で園内に堂々といられるのはタラノキだけです」。

 

いますぐアジサイ散策にうかがいたいところですが、みちのくのアジサイは、6月下旬からがシーズンなのですね。

「東北のアジサイは、本州で6月にあじさい鑑賞を逃したり、天候が合わずに十分楽しめなかったりした方にもおすすめです。7月に最盛期のアジサイが楽しめるので、これから計画を立てても十分に間に合うはずです。ちなみに6月上旬から中旬までは、日本唯一の『カルミアまつり』を開催中です。6月に東北にお越しの方はぜひお散歩にお越しください。」

 

<みちのくあじさい園の美しいカルミアたち>

 

202306kobore1_02.jpg

「'レッドクラウン'は、花開くと、白地に濃い朱色の帯模様が特徴です。」

 

202306kobore1_03.jpg

「'サラ'は、コンペイトウのような蕾も、開いた花も、濃い赤が特徴です。」

 

202306kobore1_04.jpg

「最後は'コメット'。この、純白で星型のカルミアは希少品種で、どこかでもし販売されていれば、私も買いに行きますので、教えてください。当園では、6月10日ごろからご覧になれます。」

 

202306kobore1_05.jpg

15種、300本のカルミアが咲き誇る。

 

カルミアは、蕾がかわいいコンペイトウのようで、開くと傘を広げたような花。見ごろは咲きそろってからよりも、半分くらいコンペイトウ型の蕾が残っているタイミングとのこと。新川さん曰く、「一粒で二度楽しめるのがカルミアです」。ツツジ科で、「アメリカシャクナゲ」とも呼ばれます。みちのくあじさい園の「カルミアまつり」は6月3日より開催。

 

(写真はすべて新川さん撮影)

 

後編に続く。<みちのくあじさい園の「誰にも見せていないアジサイ」とは?!>

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

みちのくあじさい園 | 一関市公式観光サイト 岩手県一関市舞川字原沢111

あじさい園の開園期間:2023年は6月24日(土)~7月24日(月)

カルミアまつり:2023年は6月3日(土)~6月18日(日)

 

202306kobore1_pro.jpg

新川正己(しんかわ・まさみ)

みちのくあじさい園スタッフ兼写真業。2015年からみちのくあじさい園に携わる。あじさい園では植栽の管理のほか、あじさいまつりをはじめとしたイベントや、広報を担当。鹿児島県日置市出身。1986年に撮影で滞在したことで一関の町に魅せられ、居を構えるように。

 

『趣味の園芸』2023年6月号

 

202306e_01.jpg

『趣味の園芸』2023年6月号

誰もが知っているアジサイ。これまで幾多のアジサイ特集を組んできましたが、その魅力に改めて出会えるような集大成ともいえる大特集をお送りします。注目特集は、タネまき、さし木、株分けなど園芸の楽しみ「ふやす」テクニックを紹介。稲垣吾郎さんの「グリーンサム」第3回は植栽について。

NHK出版で購入する | Amazonで購入する

 

202306e_28-29.jpg

「空と山とアジサイと みちのくあじさい園を訪ねて」は、『趣味の園芸』6月号でお読みいただけます。

 

●ウェブ限定! 趣味の園芸テキストこぼれ話

engeikobore_sp.jpg

『趣味の園芸』編集部によるテキストこぼれ話。最新号の特集や記事に関連して、誌面で紹介しきれなかった情報をお届けします。【毎月2回公開予定】

 

関連する植物の情報

アジサイカルミア

会員登録がお済みの方は

会員登録をすると、園芸日記、そだレポ、アルバム、コミュニティ、マイページなどのサービスを無料でご利用いただくことができます。

ピックアップ
定期購読
投稿募集中 from テキスト編集部
見て見て!お気に入りの花

見て見て!お気に入りの花
自慢の植物・庭の写真を募集中!

みんなのマルシェ

みんなのマルシェ
自慢の畑・野菜の写真を募集中!