植えつけは今から!ナチュラルでかわいい小球根 これだけ押さえれば大丈夫
『趣味の園芸』10月号で特集したナチュラリスティック・ガーデンの彩りによく似合うのが、原種チューリップをはじめとする小球根の花々です。野の花のような風情、主張しすぎないかわいらしさは、自然風のグラスや宿根草との相性も抜群。基本的に植えっぱなしでいい、手間のかからない点も大きな魅力です。
「ナチュラルな雰囲気の球根植物が大好き」という荻原範雄さんに、栽培のポイントを教えていただきました。
【上の写真】
●(左)チューリップ 'ペルシャン パール'・・・マゼンタ色に中央が黄色でやや早咲き。丈夫で育てやすく、ふえた球根が小さな群生をつくる様子がキュート。
●(右)アネモネ・フルゲンス・・・小型の原種系アネモネ。花色はラベンダー、ピンク、赤、白など株によって個体差がある。
秋に植えて寒さに当てる
球根は冬の寒さに当たることで春(または翌年)に花が咲くので、どれも秋に植えて、しっかり冬眠させることが大事。また早く植えすぎると暑さで溶けてしまうので、秋の涼しさが感じられるようになったら植えつけましょう。
ちなみに、春にポットなどで流通する種類もありますが、これらは生産時に寒さに当ててあるので、そのまま植えつけるだけで開花します。
花期によって植える場所を変える
小さくてほかの植物を邪魔しないものが多いので、基本的にはどこに植えても大丈夫。早春咲きのものは、庭の奥や中央に植えてもほかの宿根草が芽吹く前なのでよく目立ちます。初夏に咲く背が高いアリウムなどは、宿根草の後ろやすき間などに植えておくとガーデンにリズムが生まれます。
「早春咲き球根は宿根草が芽吹く前の寂しい庭を彩ってくれます。初夏に咲くものもあり、花のリレーも楽しめます。また、植えた分はきっちり咲いてくれて、分球やこぼれダネなどでふえて意外なところから出てくる様子もナチュラル。花も控えめだから、どこに植えても失敗しないし、ほかの植物の邪魔をしない。最初の"場所選び"だけちゃんとしてあげれば、何の手助けもいらず、見守るだけでいいですよ」と荻原範雄さん。
植えつけ時期は、まさに今から! 美しい開花を思い描きながら、あなたのお庭にもお招きしませんか。テキストでは、原種チューリップをはじめとする小球根のおすすめの種類をたっぷり紹介しています。
荻原範雄(おぎはら・のりお)
園芸研究家。長野県上田市で宿根草と山野草を扱う植物専門店を営む。豊富な品ぞろえと確かな栽培知識で人気を集めている。『おぎはら流 がんばらなくても幸せな庭 宿根草のナチュラルガーデン』(NHK出版)など著書多数。
『趣味の園芸』2023年10月号「植えつけは今から! ガーデンのかわいい妖精たち! 原種チューリップと小球根」より
▼この号に掲載されています
今世界的に注目を集めている"ナチュラリスティック・ガーデン"を、趣味の園芸テキストとして初特集。この新しい植栽手法の魅力や庭への取り入れ方、おすすめの植物まで、一年を通して「輝く庭」の秘密を徹底解剖します。注目特集はラベンダー。暖地でもうまくいくヒケツを伝授。稲垣吾郎さんの「グリーンサム」第7回のテーマはバラ。