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ふやした花を友だちにあげてはいけないの? 種苗法の話【前編】

撮影:福田 稔
撮影:福田 稔

大切に育てた植物を好き勝手にあげたりしてはいけないらしい……。今回は、聞いたことはあるけれど詳しくは知らない法律、「種苗法」についてお届けします

 

*  *  *

 

種苗法という法律 聞いたことはありますか?

 

購入した植物を大事に育て楽しむ園芸。すくすくと育ってくれたものを、さし木や株分け、タネとりなどでふやし、それを友だちにお裾分けする。これはとても楽しいことですし、普通のことでもあります。

 

しかし、購入したものをふやしたとしても、やたらにあげたりもらったりしてはいけない、という話を聞いたことはないでしょうか。詳しいことはわからないけれど、どうやら法律で禁止されているらしい、そんな知識のある方も多いことでしょう。

 

その法律こそが「種苗法」です。今回は、この種苗法についてお話をしていくことになります。種苗法は初め1979年に整備され、1998年に新種苗法が成立、2003年に改正されました。この記事では、この最新のものを「種苗法」として扱います。

 

決して難しい話ではありませんので最後までお読みいただければと思います。

 

種苗法の目的は2つあり、1つは植物の新品種の保護、もう1つは種苗の適正な流通を図ることとされています。

 

それだけを聞くと、仕事で新品種の作出や販売を行わない、一般の園芸愛好家にとってはあまり関係のない法律のように感じられます。しかし、じつは多くの園芸愛好家に関連のある重要な法律なのです。

 

趣味で園芸を楽しむ人は法律は気にしていない

 

そもそも園芸愛好家のみなさんはこの種苗法について、どこまでご存じなのでしょうか。香川県で16年ほどシクラメンの栽培を楽しんでいる片山治子さんに、種苗法に関してどのくらいの認識があるのか、聞いてみました。片山さんは園芸種を中心に、100鉢ほどを栽培している、園芸愛好家の方です。

 

「種苗法については、なんとなくの知識しかない、という感じです。品種登録に関係しているとか、登録料は高くて大変だとか、そういう断片的なことは耳にしたことがあります。でも私たちが何をしたらいけなくて、どこまでが許されているのかなど、正確なところはわからないですね」

 

シクラメンはさし木などを行わない植物なので、片山さんは積極的にあげたりもらったりはせず、たまに鉢植えをもらうことがあっても、その出どころを気にしたことはないといいます。

 

このような園芸の楽しみ方は、とてもオーソドックスなものでしょう。種苗法と実際に深く関係するようなシーンは見当たらないようです。多くの方にとって、種苗法はなんとなく知っているが、実生活にはあまり関係のないもの、ということなのでしょう。

 

種苗法は植物の特許

 

種苗法とは公的にどういうものなのでしょうか。公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会(JATAFF)の石川君子さんにお話を伺いました。石川さんは長年種苗法に関わってこられ、現在も農林水産・食品分野で広く必要な情報の交流や支援に携わっています。園芸愛好家にとって、この種苗法がどういう影響のあるものなのか、お話しいただきました。

 

「結論からいうと、種苗法やその周辺の制度は、育種の振興が大きな目的となっているので、趣味で園芸を楽しんでいる人たちにとっては、その直接的な接点を探すことは難しいかもしれません。しかしこの制度があるおかげで多様な品種が育成され、いつの間にか身の回りが美しく豊かになっていくのだということに気づいていただければと思います」

 

種苗法は、植物における特許のようなものと考えるといいかもしれません。大きな国際基準(植物新品種保護国際同盟U POVの条約による)をベースにそれぞれの国で品種登録された植物は、種苗法などの制度によってその権利が守られています。禁止されているのは、主に勝手な増殖や譲渡・売買です(ただし、個人の使用や研究目的は除外)。大きな問題となるのは、制度のない国や、制度があってもその種類を保護していない国に、品種登録された植物を勝手に持ち出し、増殖させて売買するようなことで、これは違法となります(制度のある国に持ち出すことは合法なので、持ち出されるおそれのあるものは、その国でも権利を取得することが必要)。

 

なので一般の園芸愛好家にとっては、直接的に関係のない法律のように受け取ることができます。

 

後編では、種苗法を遵守しないことで起こりうる事態について解説します。

 

取材・文/渡辺ロイ

 

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