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手間なし有機栽培の極意

手間なし有機栽培の極意
植えつけ後一度も水やりをしていないのに、株元の草マルチと通路に生やした草のおかげで、サトイモが大きく育っている。撮影:渡辺七奈

1年にわたって連載する本企画。今回は、秋作のタネまきと定植の話。機械で耕さない? 水やりもしない? 手間なし有機栽培の極意を紹介します!

 

*  *  *

 

「耕す=土がよくなる」は誤解です

 

9月の初め、東京都多摩市にある恵泉女学園大学の教育農場は、わきの林から響くセミたちの歌でにぎやか。相変わらずの暑さですが、時折混じるツクツクボウシの声が、夏の終わりを告げています。

 

夏の終わりといえば、菜園家は秋作の準備にてんてこまい。畑を隅々まで除草し、土に堆肥を入れて耕し、畝(うね)を立てるのに大忙し。ところがこの農場は、夏の間ほったらかしの畑を、9月に入っても耕していません。

 

「学生たちは夏休みの2か月間、一度も畑に来ません。私たち教員やスタッフも、畑を耕すなんてことはしないんですよ」。学生たちに有機野菜作りを指導する澤登早苗さんは笑ってそう言いますが、このままでは秋作に間に合わないのでは?

 

「大丈夫! 茂っている草の根が土を耕し、葉は日陰を作って、土を肥やす土中の虫や微生物を暑さから守ってくれていますからね。それに、もともとこの農場では、堆肥を入れるのは植えつけ時のみで、機械で畑を耕すのは、春に新年度が始まる前の一度きりなんです。畑の土をむやみに掘り返すと、土を肥やしてくれる生き物の命とすみかを奪うことになり、かえって土の状態が悪くなります。『耕す=土がよくなる』と単純に考えるのは誤解。草マルチなどの有機物を畑の土に置き、草を生やしておけば、土は自然とフカフカになるんですよ」

 

その言葉どおり、畑を歩けば足が沈み込むほど土が軟らか。おかげで、土を耕すのは最低限ですむそうです。

 

畝立ても省き抜いた草は肥料にします

 

それから2週間後の9月半ば。学生がやっと農場に戻ってきました。秋学期の最初の授業は、ダイコンのタネまきです。

 

学生たちは、夏の間に伸びた草を、ダイコンを作付けする場所だけ抜きました。「土を耕すのは最低限にしたいけど、ダイコンだけは少ししっかりめに耕してね。土の中に硬いところがあると、根が二叉になりかねないから。昔から“大根十耕(だいこんじっこう)、ダイコンは10回耕せ”って言うのよ」。

 

澤登さんに言われ、学生たちは元肥(もとごえ/鶏ふんと米ぬか)を加えた土にクワをふるいますが、「キツイ~」「ミミズが出た~」とすぐに手が止まります。「そこ、大根三耕しかしてないよ。あと七耕だよ!」と澤登さんも苦笑します。

 

耕し終えたら、発芽しやすいように土を平らにする「整地」を行います。「この農場の土は水はけがよいので、畝を立てる必要がありません。畝を立てているのは地温を上げたいサツマイモだけ。畝は高いほど土の表面積が広くなるので、それだけ太陽熱を吸収しやすくなるんですよ」。

 

学生たちは、整地した場所のわきの通路に、先ほど抜いた草を敷きました。「青い草にはチッ素分など野菜の成長に欠かせない栄養分がいろいろ含まれています。タネをまく場所のわきの通路に青い草を置いておけば、その一部が地中に溶け出して、ダイコンの養分になるのです」。

 

※続きはテキストをご覧ください。

 

■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』連載「週1から始めるオーガニック」2020年8・9月号より

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