エビネ(春咲き)
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エビネ(春咲き)の育て方・栽培方法

エビネ(春咲き)
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エビネ(春咲き)

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栽培カレンダー

*関東地方以西基準

基本データ

園芸分類 ラン,山野草,草花
形態 多年草 原産地 日本、朝鮮半島南部、中国東部から南部
草丈/樹高 30~50cm 開花期 4月~5月
花色 白,ピンク,赤,オレンジ,黄,緑,紫,茶,黒,複色 栽培難易度(1~5)
耐寒性 普通(弱い種もある) 耐暑性 普通(弱い種もある)
特性・用途 常緑性,日陰でも育つ,初心者でも育てやすい

育て方のポイント

栽培環境・日当たり・置き場

鉢植えは、強い風が当たらない日陰で育てます。特に冬の乾燥した北風は厳禁です。空中湿度は高いほうがよく、6月から9月は60~70%、それ以外の季節は40~50%の遮光をします。
エビネ、キエビネ、交配種は庭植えもできます。落葉樹などの下に鉢植え用土を盛り土するか、腐葉土やヤシ殻チップなどを混ぜて土壌改良をし、15cmほど高くした上に植えつけます。寒さの厳しい地域では、交配種でもキリシマエビネやニオイエビネの系統のものは適しません。

水やり

鉢植えは、表土が乾いたら十分に与えます。冬も意外に乾きやすく、注意が必要です。
庭植えの場合は、生育期間中に1週間以上雨が降らず、暑く乾燥した状態であれば十分に与えます。
芽が出て葉が成長しきるまでの間(はかま取りをするまで)は、上から水をかけてはいけません。芽に水がたまって軟腐病になるおそれがあります。

肥料

3月から6月の成長期は、チッ素主体の肥料を施します。月1回、親指大の油かすを5号鉢なら5つ、月ごとに位置を変えて鉢縁に埋め込みます。同時に、観葉植物用の液体肥料を3000~4000倍に薄めて週1回施します。
7月から9月の充実期はリン酸、カリウム主体の緩効性化成肥料を置き肥します。規定量よりやや少なめにしておくと失敗がありません。同時に、リン酸とカリウムのみの液体肥料を4000倍に薄めて週1回施します。

病気と害虫

病気:ウイルス病、軟腐病
ウイルス病は、エビネ栽培で最も恐ろしい病気です。治療不能であるため、発病した株と用土は処分し、その周辺の株も隔離します。予防するには、ウイルスを媒介するアブラムシなどを防除します。作業でハサミを使うときは、1株ごとに刃を火であぶってウイルスの伝染を防ぎます。
軟腐病は、新芽が腐って抜けたり、倒れて枯れたりする病気で、「すっぽ抜け」とも呼ばれます。腐った部分は悪臭がします。

害虫:アブラムシ、ハダニ、カイガラムシ、ケムシ類、ナメクジ
アブラムシは主に春に、ハダニやカイガラムシは夏に多く発生します。ナメクジは新芽や蕾、花を食害します。葉を食害するケムシが5月から7月に発生することもあります。

用土(鉢植え)

ヤシ殻チップの中粒と大粒を等量で混ぜたものか、ヤシ殻チップ5、硬質鹿沼土小粒3、軽石小粒2の割合で配合したものを使います。ヤシ殻チップは軽く水を含ませてから混ぜ合わせましょう。

植えつけ、 植え替え

植え替えの適期は、開花前の3月、開花直後、または9月です。開花直後の場合は葉を傷めないように注意して扱います。
鉢植えは2~3年に1回植え替えます。鉢は5号以上の駄温鉢やプラスチック鉢など、乾きにくいものを使います。植えつけるとき、新芽のあるほうを広く開け、偽鱗茎が成長するスペースを確保します。
庭植えは4~5年に1回植え替え、込み合った株を分けて整理し、植え直します。

ふやし方

株分け:大きい株は分けることができます。新芽と3~5個分の偽鱗茎をつけて1株とします。

バックバルブ吹き:葉のついていない古い偽鱗茎を1~2個ずつに分けて、水ゴケで植えつけます。3~6か月で新しい芽が出て、小苗となります。

タネまき:秋にとりまきができますが、自然に実ったタネからは親株以上の花を期待できません。苗床は、上記の用土に段ボールを混ぜたものか、エビネを根を広げて植えた大きい平鉢を使います。

主な作業

花がら摘み:花が半ば以上終わったら、株の根元をしっかりと押さえ、花茎をしっかりと握って、ねじるように回して上に引っ張ってとります。

はかま取り:葉が成長しきった6月から7月、根元にある筒状の葉鞘(はかま)が黄ばんだり茶色になったりしたら、切り取ります。

防寒:北風に当てないようにします。そのうえで、冬になったらヤシ殻チップを厚さ3~5cm敷くか、農業用の保護シートをかぶせ、霜と寒気を防ぎます。さらに、エビネ、サルメンエビネとその系統の園芸品種群は、雪の下に埋めておくのもよい手段です。

特徴

エビネの仲間には春咲き種と夏咲き種があり、春咲きエビネの代表がエビネ(Calanthe discolor)で、ジエビネとも呼ばれています。かつては各地の低山に普通に見られた常緑のラン科の植物で、落葉広葉樹林の落ち葉が厚く積もった場所に生え、...

種類(原種、園芸品種)

キリシマエビネ

キリシマエビネ


Calanthe aristulifera
常緑広葉樹林に生える種。寒さにやや弱く、-5℃以下では葉が激しく傷んで著しく衰弱する。低湿度や乾燥に弱く、性質もやや弱い。
キエビネ

キエビネ


Calanthe striata
エビネの近縁種。花は鮮明な黄色で、距(花の後ろにある突き出した部分)は小さく、しばしば柑橘系の芳香がある。育てやすいが、北国では防寒したほうが無難。
サルメンエビネ

サルメンエビネ


Calanthe tricarinata
日本では主に東北地方や北海道、四国・九州のやや高い山に見られる。暑さにたいへん弱く、熱帯夜の続く関東地方以西の低地では栽培できない。
ニオイエビネ(オオキリシマエビネ)

ニオイエビネ(オオキリシマエビネ)


Calanthe izuinsularis
伊豆諸島の特産種で、常緑樹林の湿った場所に見られる。多花性で強い芳香がある。寒さと暑さに弱いため、きちんとした温度管理のできる栽培設備が必要。

「趣味の園芸」講師陣、専門家の執筆による植物図鑑

執筆:辻 幸治(つじ・こうじ)
1976年、大阪生まれ。ホームセンター勤務を経て、現在は園芸分野の執筆活動も精力的に行う気鋭の園芸家。江戸の園芸文化から、海外のワイルドフラワーまで、幅広く植物に精通している。
◆植物図鑑は、原則として作成時の情報に基づき掲載しております。図鑑の作成年によって、科名や属名などが最新の分類とは異なる場合がありますが、何卒ご理解ください。
植物図鑑の項目の見方について >  科名、属名の分類について >
◆植物には規制や保護が行われている種類、無断でふやして販売・譲渡を行ってはいけない登録品種などがあります。また薬剤の使用時は、ラベルをよく読み使用方法を守りましょう。
園芸を楽しむうえで知っておきたいこと >

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よくわかる栽培12か月 エビネ
エビネの魅力と育て方がわかる!

4月から5月にかけて、色とりどりの美しい花を咲かせる春咲きのエビネ。鉢植えで、庭植えで、コンテナガーデンに、といろいろな楽しみ方ができる人気のランです。このエビネの育て方を、日々の管理から毎年咲かせるための植え替えのコツ、季節ごとの水やりのポイント、株分けの方法まで、一部夏咲きのエビネの栽培も加えて、初心者のためにやさしく紹介した一冊です。

エビネ(春咲き)のそだレポ(栽培レポート)

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