エビネ(夏咲き)
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エビネ(夏咲き)の育て方・栽培方法

エビネ(夏咲き)
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エビネ(夏咲き)

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栽培カレンダー

*関東地方以西基準

基本データ

園芸分類 ラン,熱帯植物,山野草
形態 多年草 原産地 熱帯性常緑カランセはアジアとオセアニアの熱帯~亜熱帯気候の湿った森林
草丈/樹高 30~100cm 開花期 7月~9月
花色 白,ピンク,赤,紫 栽培難易度(1~5)
耐寒性 弱い 耐暑性 普通
特性・用途 常緑性,日陰でも育つ

育て方のポイント

栽培環境・日当たり・置き場

風が強く当たらない日陰で育てます。6月から9月は70%、それ以外の季節は50%の遮光をします。空中湿度は年間を通して60~70%にします。冬は室内か温室に取り込み、最低温度10℃強、理想的には15℃強を保ちます。

水やり

鉢土の表面が乾いたら十分に与えます。冬も意外に乾きやすく、注意が必要です。
芽が出て葉が成長しきるまでの間は、上から水をかけてはいけません。芽に水がたまって軟腐病になるおそれがあります。

肥料

芽が出てきたら9月まで月1回、油かすと骨粉を等量配合した肥料の親指大のものを、5号鉢なら4つ、月ごとに位置を変えて鉢縁に埋め込みます。同時に週1回、観葉植物用の液体肥料を3000~4000倍に薄めて施します。葉の成長が終わったら、液体肥料はリン酸とカリウムのみのものに切り替えて、4000倍に薄めて週に1回施します。

病気と害虫

病気:ウイルス病、軟腐病
ウイルス病は、エビネ栽培で最も恐ろしい病気です。治療不能であるため、発病した株と用土は処分し、その周辺の株も隔離します。予防するには、ウイルスを媒介するアブラムシなどを防除します。作業でハサミを使うときは、1株ごとに刃を火であぶってウイルスの伝染を防ぎます。
軟腐病は、新芽が腐って抜けたり、倒れて枯れたりする病気で、「すっぽ抜け」とも呼ばれます。腐った部分は悪臭がします。

害虫:アブラムシ、ハダニ、カイガラムシ、ケムシ類、ナメクジ
アブラムシは主に5月から8月に、ハダニやカイガラムシは夏に多く発生します。ナメクジは新芽や蕾、花を食害します。葉を食害するケムシが5月から7月に発生することもあります。

用土(鉢植え)

ヤシ殻チップの中粒と大粒を等量で混ぜたものか、ヤシ殻チップ5、硬質鹿沼土小粒3、軽石小粒2の割合で配合したものを使います。ヤシ殻チップは軽く水を含ませてから混ぜ合わせましょう。

植えつけ、 植え替え

植え替えは2~3年に1回、新芽発生直後か開花直後に行います。新芽発生直後の場合は、新芽を傷めないように注意して扱います。鉢は5号以上の駄温鉢やプラスチック鉢など、乾きにくいものを使います。植えつけの際に、新芽のあるほうを広く開けて、偽鱗茎が成長するスペースを確保します。

ふやし方

株分け:大きい株は分けることができます。新芽と3~5個分の偽鱗茎をつけて1株とします。

バックバルブ吹き:葉のついていない古い偽鱗茎を1~2個ずつに分け、水ゴケで植えつけます。3~6か月で新しい芽が出て、小苗となります。

タネまき:秋にとりまきができますが、自然に実ったタネからは親株以上の花を期待できません。苗床は、親と同じ用土に段ボールを混ぜたものか、ツルランや交配種を根を広げて植えた大きい平鉢を使います。

主な作業

花がら摘み:花が半ば以上終わったら、株の根元をしっかりと押さえ、花茎をしっかりと握って、ねじるように回して上に引っ張ります。

特徴

エビネの仲間には温帯性種と熱帯性種があり、夏に開花するエビネの多くは熱帯性種です。
ツルラン(Calanthe triplicata)に代表されるのが「熱帯性常緑カランセ」と呼ばれる種類で、これらはアジアの熱帯多雨林を中心に自生...

種類(原種、園芸品種)

ツルラン

ツルラン


Calanthe triplicata
日本では主に屋久島・種子島以南に自生。花は白く、ふつう唇弁の基部に黄色かオレンジ色の斑点がある。温度さえ保てば丈夫。

オナガエビネ


Calanthe masuca
日本では主に屋久島・種子島以南に自生。ツルランより全体に一回り小型で、花は赤紫色、葉は4〜8枚。やや暑がり、長期間の安定した栽培は難しい。

ダルマエビネ(ヒロハノカラン)


Calanthe alismifolia
日本では主に屋久島・種子島以南の湿った森林に自生。ツルランやオナガエビネより弱く、花も地味。栽培用の株が自生地から収奪的に採集されており、栽培を推奨できない。

リュウキュウエビネ


Calanthe okinawensis
オナガエビネより全体に少し小さく、花茎は斜めに伸びるか弓なりに曲がり、花色は紫色を帯びた赤。ツルランとオナガエビネとの交配種群とは別種。

「趣味の園芸」講師陣、専門家の執筆による植物図鑑

執筆:辻 幸治(つじ・こうじ)
1976年、大阪生まれ。ホームセンター勤務を経て、現在は園芸分野の執筆活動も精力的に行う気鋭の園芸家。江戸の園芸文化から、海外のワイルドフラワーまで、幅広く植物に精通している。
◆植物図鑑は、原則として作成時の情報に基づき掲載しております。図鑑の作成年によって、科名や属名などが最新の分類とは異なる場合がありますが、何卒ご理解ください。
植物図鑑の項目の見方について >  科名、属名の分類について >
◆植物には規制や保護が行われている種類、無断でふやして販売・譲渡を行ってはいけない登録品種などがあります。また薬剤の使用時は、ラベルをよく読み使用方法を守りましょう。
園芸を楽しむうえで知っておきたいこと >

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エビネ(夏咲き)のそだレポ(栽培レポート)

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