ツバキ
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ツバキの育て方・栽培方法

ツバキ
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栽培カレンダー

基本データ

園芸分類 庭木・花木
形態 高木 原産地 本州、四国、九州、沖縄、台湾、朝鮮半島南部、中国(山東、浙江)
草丈/樹高 5~10m 開花期 11月~12月、2月~4月
花色 赤,ピンク,白,複色 栽培難易度(1~5)
耐寒性 強い 耐暑性 強い
特性・用途 常緑性,生け垣向き,日陰でも育つ,耐寒性がある

育て方のポイント

栽培環境・日当たり・置き場

鉢植え、庭植えともに日当たりのよい場所から日陰まで栽培できます。ただし、日なたでは西日の当たらない場所、日陰ではなるべく明るい場所を選びます。また、冬に乾いた冷たい風に当たると、蕾の落下や枯れ込む原因となるので、冬に北風が当たらないことも重要です。

水やり

鉢植えや、庭植えでも植えつけてから2年未満の株は、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。特に開花期の株は、花弁を広げるために水を必要とするのでたっぷりと与えましょう。庭植えで植えつけてから2年以上たつ株は水やりの必要はありませんが、雨が少なく土の表面が乾くようなときはたっぷり与えます。

肥料

庭植えは2月に有機質肥料を寒肥として株元の周辺に埋めておきます。鉢植えは3月に化成肥料を株元に追肥しますが、開花中の株は花が咲き終わってから追肥します。土のアルカリ性が原因で葉が黄色くなり生育が悪くなった株は、生理的酸性肥料(硫酸アンモニウムなど)を施すと、肥料成分が吸収されたあとに酸性の成分が土に残るため、土が酸性寄りになり、樹勢の回復も期待できます。

病気と害虫

病気:花腐菌核病、すす病
花腐菌核病は、花弁に茶褐色の斑紋が現れます。開花時期に雨が多いと被害が広がります。水やりのときも、花弁に水がかからないよう注意します。病気にかかった花は、地面に落ちて翌年の病気の発生源となるので早めに処分します。
すす病は、カイガラムシなどの排せつ物が堆積した葉や枝に黒いすす状のカビが発生するもので、見た目が汚いだけでなく光合成を妨げます。

害虫:チャドクガ、カイガラムシ類
チャドクガは幼虫が葉を食害するほか、毛が皮膚に触れると強いかゆみを伴う発疹が現れるため注意したい害虫です。幼虫の主な発生時期は5月から6月と8月から9月の年2回です。葉裏につく黄色い卵塊のうちに葉ごと切り取って処分するのが一番ですが、これを見逃した場合は、卵からかえってしばらくは集団で葉を食害するため、早く発見して集団でいるうちに捕殺するか、または殺虫剤を散布するのが効果的です。葉や地面に落ちている小さなふんの上を探すと見つかります。なお、幼虫を捕殺する際は、手袋はもちろん皮膚の露出を抑え枝ごと処分します。毛が1本でも衣服内に入ると移動して広範囲に発疹が広がります。また、脱皮した抜け殻や死骸に触れても同様なので注意が必要です。
カイガラムシ類は、樹液を吸うため樹勢を損ねます。また、すす病を誘発します。サザンカでは数種類のカイガラムシが発生しますが、なかでもルビーロウムシの発生が多く見られます。成虫は体がロウ質で覆われ、薬剤が効きにくいのですが、足が退化して移動できないので、見つけたら竹べらなど樹皮を傷めないものでかき落とします。主に5月中旬から6月に幼虫が発生し、移動して広がります。幼虫はまだ移動できますが、ロウ質に覆われていないため、この時期であれば接触毒性の薬剤を散布するのが有効です。

用土(鉢植え)

水はけがよく有機物の多い弱酸性の土でよく生育します。鉢植えには赤玉土中粒1と鹿沼土中粒1に、完熟腐葉土またはバーク堆肥を1の比率で混ぜたものなどを使います。

植えつけ、 植え替え

庭植え、鉢植えともに、最適期は春の3月中旬から4月、秋ならば9月中旬から10月中旬です。庭植え、鉢植えともに、植え穴または鉢底に、有機質肥料か緩効性化成肥料を元肥として入れておきます。弱酸性の土でよく育ち、アルカリ性の土では肥料が吸収されにくいため、葉が黄色くなり生育が悪くなります。そこで、庭植えでは、建物や塀の基礎、コンクリートブロックなどの影響で土がアルカリ性になるような場所は避けるか、水はけがよく有機物を多く混ぜた土で盛り土をして高植えにします。

●こちらも参考に
ツバキを例にした苗木の植え方(庭木や果樹を鉢植えにする)

ふやし方

さし木:6月下旬から8月に、春から伸びた枝から10~20cmほどの穂木をとり、水あげ後、清潔な土にさします。さし木後は直射日光を避けた明るい場所で、空気穴をあけた透明ビニールで容器ごと覆って湿度を保ちます。順調に発根すれば、その年の9月中に鉢上げができます。

とり木:3月から6月に枝の樹皮を3cm幅で木質部まではぎ取り、たっぷり湿らせた水ゴケで包み込み、ビニールで覆って乾燥を防ぎひもで固定します。その後は水ゴケが乾く前に水を補給し、乾燥しないように管理します。1~3か月後に根の発根状況を見て枝から切り離し、鉢上げします。

主な作業

剪定:3月から4月に行います。開花前や開花中の株は花が咲き終わるのを待ってからでもかまいません。花芽は春に前年枝から伸び始めた新梢の先に6月ごろつくられます。樹形維持のために株全体の枝を短く切り戻す強剪定は花後すぐに行っても花が咲かなくなるので、数年に1回行う程度にとどめ、通常は枝の間引きと弱い切り戻しが基本です。また、花芽がふくらむ9月ごろに残したい花芽を確認して、不要な枝を切り戻すこともできます。

特徴

ツバキはツバキ科ツバキ属の常緑高木で、光沢のある濃い緑の葉をもちます。名前の由来には諸説があり、厚みのある葉の意味で「あつば木」、つややかな葉の「艶葉木(つやばき)」、光沢のある葉の「光沢木(つやき)」、ほかにもまだありますが、花より葉の美...

種類(原種、園芸品種)

‘加茂本阿弥’(かもほんなみ)

‘加茂本阿弥’(かもほんなみ)


Camellia japonica ‘Kamo-hon-nami’
大輪一重椀咲きの白花で、京ツバキを代表する品種の一つ。
‘岩根絞’(いわねしぼり)

‘岩根絞’(いわねしぼり)


Camellia japonica ‘Iwane-shibori’
中輪半八重で紅色地に白斑が入るのが特徴。白斑が多すぎないものがよしとされている。江戸ツバキの1品種。
‘太郎冠者’(たろうかじゃ)

‘太郎冠者’(たろうかじゃ)


Camellia japonica ‘Tarokaja’
花色は紫みを帯びたピンクで、1月から4月に咲く早咲きの一重中輪。江戸時代から茶花として珍重されてきた。別名‘有楽’。紫味を帯びた花色や、子房が有毛であることなど、中国のツバキの特徴も示すが詳細は不明。葯は退化して花粉をつくらないがタネをつける性質はあり、タネをまくと白芯の個体が生まれることが多いことから、‘胡蝶佗助’‘数寄屋’など数あるワビスケツバキの母木であると推測されている。
‘玉之浦’(たまのうら)

‘玉之浦’(たまのうら)


Camellia japonica ‘Tama-no-ura’
紅地に鮮やかな白覆輪が入る一重中輪。長崎県五島列島の福江島で発見されたヤブツバキ。ただし、増殖用の穂木が乱獲されたため、原木は枯死してしまい現存しない。

「趣味の園芸」講師陣、専門家の執筆による植物図鑑

執筆:高取利道(たかとり・としみち)
奈良県で庭のデザイン、施行、管理を行う、タカトリ園芸を経営。コニファー、花木、小果樹の利用を提案し、園芸番組への出演や、講習会、新聞、園芸誌への執筆を通してガーデニングの楽しさを伝える活動を行う。1級造園施行管理技士、農薬管理指導士。
◆植物図鑑は、原則として作成時の情報に基づき掲載しております。図鑑の作成年によって、科名や属名などが最新の分類とは異なる場合がありますが、何卒ご理解ください。
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