ウメ(花ウメ)
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ウメ(花ウメ)の育て方・栽培方法

ウメ(花ウメ)
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ウメ(花ウメ)

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栽培カレンダー

基本データ

園芸分類 庭木・花木
形態 高木 原産地 中国
草丈/樹高 5~10m 開花期 1月~3月
花色 白,ピンク,赤,複色 栽培難易度(1~5)
耐寒性 強い 耐暑性 強い
特性・用途 落葉性,香りがある,盆栽向き

育て方のポイント

栽培環境・日当たり・置き場

鉢植え、庭植えともに日当たりがよい場所を選びます。水はけのよい肥沃な土でよく育ちます。

水やり

鉢植えや、庭植えでも植えつけてから2年未満の株は、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。庭植えで植えつけて2年以上たつ株は水やりの必要はありませんが、夏に雨が少ないときは土の乾燥がひどくならないうちにたっぷり与えます。

肥料

庭植えは、12月から1月に有機質肥料を寒肥として株元の周辺に埋めておきます。鉢植えは、開花後に化成肥料を株元に追肥します。

病気と害虫

病気:うどんこ病
春と秋の涼しい気候の時期に多く発生し、葉が白いうどん粉(小麦粉)をまぶしたようになります。枝の混みすぎなどで風通しが悪いことも発生要因となります。

害虫:アブラムシ、オビカレハの幼虫、コスカシバ
アブラムシは、開花後の芽吹きの時期に発生します。吸汁害を受けると、葉の萎縮などの原因になるので注意します。
オビカレハの幼虫は「ウメケムシ」とも呼ばれ、よく発生します。落葉期の冬に、枝にリング状に産みつけられた卵塊を見つけて取り除きます。卵を見逃して幼虫が発生したら、糸で覆った巣で集団生活している若齢幼虫のうちに巣ごと取り除いて処分します。大きくなると食害する量もふえ、樹上で分散するので捕殺しにくくなります。
コスカシバの産卵時期は5月から10月ごろまでと長く、ふ化した幼虫が幹や枝の樹皮下に侵入して冬を越し、3月ごろから食害を再開して、木を枯らすこともあります。虫のふんやヤニが出ていれば、幼虫が侵入している証拠です。

用土(鉢植え)

水はけがよく、有機質の多い土でよく生育します。赤玉土(中粒)2に、完熟腐葉土または樹皮堆肥1の比率で混ぜたものなどを使います。

植えつけ、 植え替え

庭植え、鉢植えともに適期は落葉期の12月から3月上旬の芽吹き前までです。ただし、厳寒期の作業は避け、開花期と重なる場合は花が咲き終わってから行います。庭植え、鉢植えともに、植えつけ、植え替えのときに、植え穴または鉢土の底に有機質肥料か緩効性化成肥料を元肥として入れておきます。

●こちらも参考に
ウメを例にした苗木の植え方(庭木や果樹を庭植えにする)

ふやし方

タネまき:タネをまいて育てると親とは異なる花が咲きますが、発芽した苗は鉢上げして2年ほどたつと、つぎ木の台木として使えます。7月から8月に熟した果実からタネを取り出し、流水で果肉を洗い流します。その後、ビニール袋に入れて密閉し、冷蔵庫で保存しておきます。11月になったら保存していたタネを取り出し、もう一度水でよく洗ってからまきます。

つぎ木:ほとんどの品種はつぎ木でふやします。3月中旬から下旬にふやしたい品種の前年枝から5cmほどの穂木をとり、すぐに鉢植えにした台木に切リつぎします。ついだ部分はビニールテープを下から巻き上げて固定し、鉢ごとビニール袋に入れて密閉し、乾燥を防ぎます。

さし木:ウメはさし木の活着が悪いため一般には行いませんが、発根しやすい品種もあります。野梅系の品種‘白難波’などがよく知られています。品種が限られますが、幹元の直径が2cmほどになればつぎ木の台木としても利用できます。さし木の方法には二つあります。一つは「休眠枝ざし」で、2月上旬に休眠中の前年枝から穂木をとり、湿らせた水ゴケで包み、ビニール袋に密閉し冷蔵庫で保存しておき、3月中旬ごろにさし木します。もう一つの方法は「緑枝ざし」で、5月下旬から7月上旬に新梢から穂木をとり、さし木します。乾燥を防ぐためにビニールで覆いますが、温度が上がりすぎないように遮光が必要です。

●こちらも参考に
ウメを例にした取り木で植物を増やす方法

主な作業

庭植えの剪定:6月から7月に徒長枝を切り戻し、混み合った不要な枝を間引きます。7月から8月は花芽ができ始める時期です。ウメの場合、この時期に充実して伸びの止まった枝(徒長枝を除く)の枝先から枝元付近まで多くの葉のつけ根の芽が花芽になります。このため、枝先を多少切り戻して樹形を整えても、枝に残った花芽が開花します。開花時に整った樹形で開花させるためには11月から開花までの落葉期に樹形を乱す枝の切り戻しを行います。なお、太い枝を切って新たな枝を芽吹かせる仕立て直しは、2月下旬から3月中旬が適期です。

鉢植えの剪定:まず咲き終わった花柄を摘み取っておきます。樹形を小さいまま維持するのなら、同時に開花枝のつけ根から2~3芽を残すように枝を切り戻します。このとき、芽吹くための葉芽がついていることを確認してその芽を残すようにすることが大切です。残した芽がどの向きに伸びるかもよく考えて残す芽を選びます。株全体を大きくしたい場合は花後の剪定の必要はありません。

特徴

ウメは中国原産の花木で、朝鮮半島を経由して日本に渡ってきたといわれています。正確な渡来時期はまだわかっていませんが、『万葉集』では100首を超える歌が詠まれていることから、奈良時代にはすでに栽培されていたようです。
観賞価値の高...

種類(原種、園芸品種)

‘紅千鳥’(べにちどり)

‘紅千鳥’(べにちどり)


Prunus mume ‘Benichidori’
緋梅系。紅梅性の紅色の中輪一重咲き。花弁の内側に雄しべが変化した旗弁(はたべん)がある。この旗弁を千鳥にたとえたのが品種名の由来。
‘緑萼’(りょくがく)

‘緑萼’(りょくがく)


Prunus mume ‘Ryokugaku’
野梅系。青軸性の白花で中輪八重の早咲き。青軸性のウメは冬でも1年目の枝が赤く色づかず緑色のままで、‘緑萼’は萼も緑色のまま。
‘冬至’(とうじ)

‘冬至’(とうじ)


Prunus mume ‘Touji’
野梅系。野梅性の白花で中輪一重の極早咲き。開花期が12月中旬から2月中旬と早く、冬至のころに咲くのが品種名の由来。
‘八重寒紅’(やえかんこう)

‘八重寒紅’(やえかんこう)


Prunus mume ‘Yae-kanko’
野梅系。野梅性の桃色で中輪八重の極早咲き。開花期が早いため正月用の花材としても知られる。

「趣味の園芸」講師陣、専門家の執筆による植物図鑑

執筆:高取利道(たかとり・としみち)
奈良県で庭のデザイン、施工、管理を行うタカトリ園芸を経営。コニファー、花木、小果樹の利用を提案し、園芸番組への出演や、講習会、新聞、園芸誌への執筆を通してガーデニングの楽しさを伝える活動を行う。1級造園施工管理技士、農薬管理指導士。
◆植物図鑑は、原則として作成時の情報に基づき掲載しております。図鑑の作成年によって、科名や属名などが最新の分類とは異なる場合がありますが、何卒ご理解ください。
植物図鑑の項目の見方について >  科名、属名の分類について >
◆植物には規制や保護が行われている種類、無断でふやして販売・譲渡を行ってはいけない登録品種などがあります。また薬剤の使用時は、ラベルをよく読み使用方法を守りましょう。
園芸を楽しむうえで知っておきたいこと >

さらに詳しく知りたい方におすすめの本

よくわかる栽培12か月 ウメ
四季折々の表情が楽しめる落葉果樹の代表ウメ。古くから庭木として利用されてきましたが、仕立て方しだいではガーデニングのシンボルツリーにもなります。鉢植えにもできるので、狭いスペースでも栽培可能。品種の選び方、美しい花、よい実をたくさんつけるための栽培方法、病害虫とその防除などを詳しく解説。

ウメ(花ウメ)のそだレポ(栽培レポート)

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