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ベニカX ガード粒剤 住友化学園芸

住友化学園芸presents!ガーデンドクターのバラ栽培のワンポイント 住友化学園芸presents!ガーデンドクターのバラ栽培のワンポイント
3月

ガーデンドクターは、家庭園芸に関する悩みを解決しながらガーデニングライフを楽しんでいただくために、住友化学園芸が運営するガーデンドクターTV」「ガーデンドクターAl」に登場するコンテンツキャラクターです。 ガーデンドクターは、家庭園芸に関する悩みを解決しながらガーデニングライフを楽しんでいただくために、住友化学園芸が運営するガーデンドクターTV」「ガーデンドクターAl」に登場するコンテンツキャラクターです。

住友化学園芸の、主に「マイローズ」シリーズの使用を通じて、バラの病害虫管理を毎月解説します。
この数年でバラの品種は日本の夏の暑さにも負けない耐暑性の強いバラや、病気や害虫に強いバラなど、
従来よりも育てやすい品種に進化しています。バラのトータルケアブランド「マイローズ」シリーズは、誕生から
10周年を迎え、より手軽に効果的に管理ができるよう進化し続けています。
丈夫で美しいバラを育てるためのワンポイントをご紹介!

デコ

芽吹き前後に害虫と病害の予防を

一度発生すると退治しにくい「アブラムシ」と「うどんこ病」

一度発生すると退治しにくい「アブラムシ」と「うどんこ病」

3月はバラが芽吹く季節です。基本的に、茎の1ヵ所から1個出てくる芽は残しますが、1ヵ所から出た複数の芽を全て残してしまうと、互いに養分を奪い合って良い花が咲きません。手でつまめるぐらいに芽が膨らんできたら、元気な芽だけを残す「芽かき」をしましょう。

また気温が上がるこの頃から、植物の生育と同時に害虫や病原菌の活動も活発になります。害虫では「アブラムシ」が新芽や新葉に付きはじめ、病気では「うどんこ病」が新葉に生じることがあります。害虫と病気のどちらも、予防的な薬剤散布でその後の発生をグッと抑えられ、その後の防除が楽になります。

マイローズベニカXガード粒剤を株元に散布してアブラムシとうどんこ病を防除

マイローズベニカXガード粒剤を株元に散布してアブラムシとうどんこ病を防除

まずはアブラムシについてです。アブラムシは、一度発生するとしばらくの間発生が続きます。アブラムシを駆除するだけではなく、「オルトランDX粒剤」など効果が持続するタイプの殺虫剤をあらかじめ散布しておくと発生が抑えられ、効率的に駆除できます。
次に、うどんこ病についてです。この病気は、発病前の予防が重要で、「STダコニール1000」などの予防薬がおすすめです。病原菌が植物に取り付くのを防ぎ、幅広い病気に有効なのが特長の予防薬ですが、散布された箇所を殺菌剤の保護膜で覆うことで予防の効果が表れます。葉の裏表にたっぷりとすき間なく散布しましょう。
手軽に使える殺虫殺菌剤に、「ベニカXガード粒剤」があります。株元に散布するだけで、アブラムシとうどんこ病の両方の予防に効果が約1ヵ月持続します。

デコ

芽出し肥で一番花を
元気に咲かせよう!

芽出し肥には緩効性の化成肥料がおすすめ

芽出し肥には緩効性の化成肥料がおすすめ

3月中旬から下旬にかけて、「芽吹き」の季節が到来しますが、この頃に出る花芽がいわゆる一番花となっていきます。この一番花を元気に大きく咲かせるためには「芽出し肥」を施すことが大切です。
動き出した根は、肥料を吸収することで花芽の生育が促進されますが、芽出し肥には、開花まで安定した肥料効果が続く緩効性の化成肥料(「マイローズばらの肥料」など)がおすすめです。
また地植えの大株などでは、速効性の液体肥料(「マイローズばらの液体肥料」など)や活力液(「マイローズばらの活力液DX」など)を、規定の濃度に薄めて週に1度与えてもよいでしょう。

牛迫正秀
デコ牛迫正秀デコ

住友化学園芸 普及チームリーダー
YouTube住友化学園芸チャンネルの「ガーデンドクターTV」にて薬剤・肥料などの仕組みや
使い方のコツを分かりやすく解説している。
ニックネームは 「牛(ぎゅう)ちゃん」。

デコ

「ガーデンドクターTV」
YouTubeで配信中!

住友化学園芸普及チームリーダーの牛迫さんが、病害虫対策を中心に、
丁寧にわかりやすく解説。見て、学べる園芸情報を発信していきます!
今月は・・・
ばらを害虫と病気から守る! マイローズベニカXガード粒剤

マイローズベニカXガード粒剤
デコ

マイローズ
ベニカXガード粒剤

種まき、植付け時に土に混ぜ込んだり、植付け後に株元にばらまくだけで効果をあらわす殺虫殺菌粒剤です。
殺虫成分は根から吸収され、薬効が葉の隅々まで行きわたり、害虫の被害から植物全体を守ります。
微生物(「B.t.菌」)の作用により植物の抵抗力を高め、丈夫にすることで病気を予防します(抵抗性誘導)。

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マイローズばらの肥料
デコ

マイローズ
ばらの肥料

元肥はもちろん、株のまわりにも追肥としてばらまくだけで、施肥後すぐに効きはじめ、その後2~3カ月間しっかり効き続けます(3ピーク・ブレンド)。植物が肥料を吸収しやすくする働きや、土の保水性、通気性を高め土に活力を与える作用をもつ腐植酸、さらに高品質の植物性有機質をブレンドした緩効性肥料として特許を取得しています。(特許第4923502号:住友化学(株))
温度変化にあわせて肥料の溶出量が調節される「リリースコントロールテクノロジー」を採用。暖かく生育が盛んな時期は肥料成分が速やかに溶出され、逆に冷涼で生育が鈍くなる時期は肥料の溶出は緩やかになります。植物の生育に合わせ、むだなく効率よく栄養分を与え、ばらを丈夫に育て、美しい花を咲かせます。

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商品の使用に際しては必ず商品の説明をよく読んで、記載内容に従ってお使いください。

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過去の作業ワンポイントはこちら

■展着剤の使い方

展着剤(てんちゃくざい)とは、水和剤や乳剤などを水に薄めて使用するときに一緒に加えて使用する薬剤のことです。
ホームセンターや園芸店で販売している殺虫剤や殺菌剤の多くは、薄めずにそのまま使用できるスプレータイプやエアゾールタイプの製品が多くあります。これらの薬剤の多くはあらかじめ展着性を高める成分が入っているので、展着剤を使わなくても効果的に使用できます。
いっぽう、生垣や広範囲の薬剤散布には、水で薄めて使用するタイプの乳剤や水和剤などを使うと効率的です。
このとき、薬剤に展着剤を加えて使用すると、薬剤が葉の表面などに付着しやすくなり、より薬剤の効果を高めることができます。
たとえば、ツバキのようなツルツルした葉に水をかけると、水は、はじかれてしまいます。それを避けるために散布液に展着剤を加えておくと、葉の表面に薬剤が付着しやすくなります。
また、水と薬剤を混ざりやすくする効果もあります。薬剤の粒子が水の中で均一に分散し、沈殿も起こりにくくなります。
展着剤の使用量は、たとえば「ダイン」の場合は、散布液1L当り0.1~0.3mlで、5~6滴程度を混ぜて使用します。

■水で薄める薬剤の希釈液のつくり方

水で希釈して使う原液タイプの薬剤には乳剤・液剤・水和剤などがあります。水で薄めた散布液は取り置き保存ができないので、散布する分だけ量って用意し、使い切るようにします。希釈の手順は、以下の通りです。

(1)希釈する水を用意します。
(2)薬剤を混ぜる前に、展着剤を水に入れよく混ぜておきます。
それぞれの薬剤によって希釈する倍率は異なります。薬剤の商品ラベルに記載されている適正な倍率を確かめ、適量を希釈する水に入れます。
展着剤は割り箸や棒などを容器内の薬剤に浸けて、用意した水に適量を垂らして入れます。
(3)次に薬剤を混ぜます。割り箸や棒などでかくはんして、よく混ぜます。希釈倍率が1000倍の場合は、水1L(1000ml)に対し薬剤1mlが適量です。
(4)よく混ぜた希釈液を噴霧器やスプレーボトルなどに移して散布します。
以上の作業は必ず手袋をして行います。

殺虫剤と殺菌剤など2種類以上の薬剤を混ぜて使う場合は、「液剤」「乳剤」「水溶剤」など水に混ざりやすい薬剤を先に加え、「水和剤」「フロアブル剤」など水に混ざりにくい薬剤を後から加えてください。つくった散布液は植物全体に、葉の裏まで含めてまんべんなく散布します。ムラの無いようにしっかりと散布してください。
住友化学園芸のこちらのページやYouTubeの公式「住友化学園芸チャンネル」で詳しい作り方を解説しています。

■冬の室内はハダニが好む環境

寒いこの時期、屋外では多くの植物が休眠し、害虫も寒さを乗り越えるために、越冬します。
でも、屋内や温室で育てている植物は休むことなく生育し続け、害虫や病気も活動を続けます。そんな冬場の室内で活動が活発になるのがハダニです。
ハダニはクモの仲間で、おしりにある突起から糸を出し、数が多くなると糸が絡んでクモの巣状になります。高温乾燥を好むので、冬の暖房が効いた室内は、まさに高温乾燥状態で、ハダニにとっては活動しやすい環境です。観葉植物やランなどの室内植物でも繁殖しやすくなります。逆にハダニは湿気を嫌うので、たまに葉水などして葉に湿気を与えるようにすると予防になります。
ベニカXネクストスプレー」や「ベニカマイルドスプレー」などで手軽に退治できますが、本格的にハダニを退治するには「殺ダニ剤」というハダニの専門薬(「バロックフロアブル」「ダニ太郎」など)がおすすめです。

■コナカイガラムシにも注意!

ポトスなどの葉が密集するタイプの観葉植物では、コナカイガラムシの被害が目立ちます。コナカイガラムシは白い粉状のものを身にまとったワラジムシ状の小さな虫です。排泄物がベタベタしていて「すす病」と呼ばれる黒いカビが葉の上で繁殖する原因にもなります。コナカイガラムシはカイガラムシ専用の殺虫剤「カイガラムシエアゾール」を吹きかけて退治しましょう。病気では「灰色かび病」という病気がシクラメンの鉢植えなどで出やすいです。発病初期は花弁に赤い斑点が出るので見かけたら花茎ごと取り除きましょう。灰色かび病の対策には「ベニカXガード粒剤」をあらかじめ株元にまいておくと予防できます。

■冬場の肥料やり、水やり、置き場所

多肉植物やサボテンは基本的に一年中青々としていますが、気温が下がる冬場は生育が緩やかになる傾向があります。そのため肥料や水やりの頻度も冬場は少なめにして管理します。
多肉植物やサボテンは、まったく水やりしないと萎んでしまうので、鉢土が全体的に乾いたら水やりしましょう。鉢皿に水を溜めておくと、かえって根腐れや凍結の原因になるので、冬場は乾かし気味に管理するのがお勧めです。
施肥は基本的に不要ですが気になるようなら、葉面散布(葉から薄めた溶液で栄養を吸収させる)で肥料を施してください。液体肥料を薄めて葉面散布を行うほか、スプレータイプの容器に薬剤が入っていて、そのまま使える「MY PLANT すばやく元気を届けるミスト」が便利です。
通常の肥料では、水やりのたびに溶け出す「MY PLANTS 長く丈夫に育てるタブレット」のような置き肥は、水やりを控えることで肥料も溶け出さなくなるので、そのまま残しておいて大丈夫です。
多肉植物の場合、冬に休眠するタイプ(アガベ、アロエ、カランコエなど)と、夏に休眠するタイプ(アエオニウム、コノフィツム、リトープスなど)がありますので、冬に休眠するタイプについては、冬場の肥料・水やりはまったく不要です。

■ジャガイモの植えつけ時に気をつけたい病気

2月から3月にかけては、ジャガイモの植えつけシーズンです。
食べきれないジャガイモを種イモ代わりに植えつける、という事はよく聞きます。ただ、食用ジャガイモはウイルスが原因の病気に感染して、生育が悪くなる場合があります。検査済の種イモを園芸店やホームセンターで購入して植えつけてください。
種イモは1個の重さが50g前後の小ぶりのものなら、そのまま植えつけ、大きい場合は1片が50g前後になるようにカットすると植えつけやすくなります。切り口にはウイルスの感染を防ぐため、草木灰をつけるか、風通しのよい日陰において切り口が乾いてから植えつけましょう。
また、可食部がデコボコ状になる「そうか病」は放線菌によるもので土壌感染します。
植えつけ前に土に混ぜるだけで土の殺菌・消毒ができる土壌殺菌剤「石原フロンサイド粉剤」で被害を抑えることができます。

■大きなジャガイモを育てるには

種イモからは複数の茎が伸びますが、すべての茎を残したままにしておくと、イモが大きく育ちません。効率よくイモを太らせるため、種イモ1個につき、芽を1~2個残してそれ以外は間引きます。
植えつけ後、イモは伸びた茎の途中にできるので、生育に合わせて株元に土を盛っていきます。ジャガイモのイモは茎が肥大したもの(塊茎)なので、種イモより上につきます。これを地植えの場合は土寄せ、鉢植えの場合は増し土と言います。もちろんその間の施肥も忘れずに行いましょう。
収穫時期は6月前後ですが、葉や茎が黄色くなったら収穫適期のサインです。雨で土が湿っている時に収穫するとイモが腐りやすくなるので、収穫は晴天が2~3日続いて土が乾いている時が最適です。特に新ジャガは皮が薄くて傷がつきやすく、湿った状態で放置すると傷口の湿気にカビが付着しやすく、またカビが付着して、そこに水分がある状態だとすぐに繁殖してしまいます。

■土の健康状態をチェック!

植物を育てている土壌は肥料や水を貯える場所となります。その土中で根を伸ばして植物は育ちます。ところが長年同じ場所で植物を栽培していると土の化学的性質(土壌酸度)が変化してきます。植物の根から出る根酸や雨水などの影響で土の化学的性質は段々と酸性に傾いてきます(雨には空気中の二酸化炭素が溶け込んでいるので、雨水はもともと弱酸性です)。
一般に植物の生育に適した土壌酸度は中性~弱酸性と言われています。極端に酸性やアルカリ性に傾くと植物が肥料を吸収しにくくなります。また特定の病原菌が増え、土壌環境が悪化します。
いつも通り育てているのに、なぜか今年は元気に育たない、と思ったら土壌酸度に問題があるかもしれません。簡易的に測定できる土壌酸度測定液「アースチェック液」を使って植えつけ前の土の健康状態をチェックしましょう。
ジャガイモの場合は「そうか病」対策としてpH5.5以下の酸性土壌が適しています。いっぽう、アブラナ科の野菜では、「根こぶ病」対策としてpH7.2以上のアルカリ性の土壌が適しています。このように、植物によって適した土壌酸度が異なる場合があるので、育てるときは、植物にそれぞれ適した土壌酸度を事前に知っておくことが大切です。

■種類が多いアブラムシ

害虫の代名詞にもなっているアブラムシは、ほとんどの植物につきます。
アブラムシはセミの仲間で、口がストロー状になっていて植物の汁を吸う害虫です。カメムシ、カイガラムシ、コナジラミ、グンバイムシ、ヨコバイなども同じ仲間です。
アブラムシは数多くの種類があり、バラだけに寄生するイバラヒゲナガアブラムシやバラミドリアブラムシ、雑草のセイタカアワダチソウにだけ寄生するセイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシという長い名前のついた種類もいます。
綿花に寄生していたことからその名がついた。ワタアブラムシは、多くの草花や野菜だけでなく雑草にまで寄生するので家庭園芸でもやっかいなアブラムシの一種です。

■1匹でも増えるアブラムシ

アブラムシの寿命は1か月程度ですが、繁殖力がとてもおう盛です。
一匹のアブラムシのメスだけで、どんどん増えます。これを「単為生殖」といいます。しかも「卵胎生」といって卵をお腹の中でふ化させるので、幼虫の状態で生まれてきます。
幼虫は一度に十数匹生まれることもあり、しかも温度条件が良いと、一週間程度で親虫にまで成長し、産卵を始めます。冬の寒い時期を除き、基本的には一年中このサイクルで増え続けます。
バラの蕾や茎にびっしりとアブラムシが群れているのを見かけることがありますが、1か所で増えすぎると今度は翅の生えた幼虫が生まれ、新たな餌場を求めて飛び立つこともあるので、あっという間に広がっていきます。
一般的にアブラムシは黄色やオレンジ色を好む習性があり、このような花色の草花はアブラムシがつきやすいといわれています。
光を嫌う性質もあるので、この性質を利用してアブラムシを誘引する、黄色い粘着テープや忌避する銀色のマルチシートなどが販売されています。

■アブラムシの二次被害に注意!

アブラムシは植物の汁液を吸うので、植物にとってはもちろん害虫ですが、アブラムシが汁を吸っても植物が枯れてしまうことはほとんどありません。アブラムシのやっかいなところは、二次被害が出ることにあります。
ウイルスに感染した植物に寄生して、汁を吸うと、一緒にウイルスを吸い込んで、運ぶことがあります。そうすると、ほかの植物にウイルス病を媒介してしまいます。
排泄物が葉に付着し、そこにカビが生えて真っ黒なすすに覆われたようになる「すす病」が発生することもよくあります。

■アリを見つけたら……

また、排泄物には高濃度の糖分が含まれているので、アリが排泄物をなめるため植物に集まってくることがあります。植物の上をはい回っているアリを見たら、アブラムシが発生している可能性があります。
このようにアブラムシは植物の汁を吸う害虫だけではなく、とにかく1匹でも見つけたら、すぐに増えてしまう可能性があるので、防除が必要です。
苗の植えつけ時にあらかじめ土に撒いておくことでアブラムシ退治に効果を表す「ベニカXガード粒剤」や「家庭園芸用GFオルトラン粒剤」などを活用して、二次被害が出ないように、早めに防除することをお勧めします。

■苗選びのコツ

今月は気温が安定しており、植物の植えつけには最適なシーズンです。ペチュニアなどの草花や、トマト、ナス、キュウリといった夏野菜の植えつけも、梅雨入り前のタイミングで行っておきたい作業です。
昔から「苗半作」という言葉があります。これは、作物の生育期の中でも、特に苗の時期がいかに大切かと言うことを表現した言葉です。
良い苗を選ぶことは、植えつけ時に大切な事の一つです。
ここでは、良い苗を見分けるコツをいくつかご紹介しましょう。
草花の苗は、葉の色つやがよく蕾が多い、株元がしっかりした、茎がグラつかず、徒長していない苗を選ぶことが大切です。
野菜苗は、茎の太さに注目します。店頭で苗をじっくり見比べて、茎が太く、節間が詰まっているものを選びます。また、子葉がしっかり残っているもの、葉の色は緑色が濃いものを選びましょう。

■植物の植えつけ時には病害虫対策を忘れずに

さて、よい苗を選んでも虫や病気が出てしまっては元も子もありません。害虫が発生したり、病気が出たりしないように、植えつけ時の予防を行います。
ベニカXガード粒剤」なら土にまくだけでトマトやミニトマト、花き類のアブラムシ、キュウリやナスの「うどんこ病」、花き類の「灰色かび病」など幅広い植物の病害虫を予防することができます。効き目はアブラムシの場合約1か月持続するので、生育初期の病害虫対策におすすめです。

■5月は「うどんこ病」に注意

5月に相談が多いのはカビ(糸状菌)が原因の「うどんこ病」です。
うどん粉をまぶしたように、葉が白いカビに覆われている様子から、「うどんこ病」と呼ばれています。
葉の表面が白いカビに覆われると光合成が阻害されたり、葉から栄養を吸収できなくなるので、生育不良になり、花が咲かなくなることもあります。野菜では食味が低下する、果実が肥大しない、また枯死の被害が出ます。
植物の病名は見た目で名づけられているものが多いですが、「うどんこ病」の種類は1つではなく、いくつもの種類が存在します。病名は「うどんこ病」でも、植物によって菌の種類が異なります。
たとえば、バラの花首が真っ白になる「うどんこ病」はバラにしか発生しません。
一方、キュウリの葉に広がる「うどんこ病」はカボチャにも発生しますが、同じウリ科のスイカには伝染しません。
「うどんこ病」の原因菌はカビ(糸状菌)なので、カビが発生しやすい温度と、菌糸を伸ばして繁殖するための水分が必要となります。増えるときには風で胞子を飛ばす、という仕組みなので比較的乾燥した時期に発生しやすくなります。
日中はからっと晴れて暖かく、夜は気温が下がり、夜露で葉が濡れるような初夏や秋口が「うどんこ病」の発病適期ということになります。防除には「ベニカXネクストスプレー」がおすすめです。

■こまめに観察して、イチ早く害虫を見つけよう

気温が安定している5月は、害虫が活発に動き出す時期です。
まず、新芽にアブラムシがつき始め、次に冬眠していたコガネムシの幼虫が目を覚まして、植物の根をかじり始めます。
アオムシ、ケムシなどの卵が孵り、幼虫による葉の食害が目立ってきます。このような害虫の被害が出る前に、気温が安定して植物が生育を始めたら、植物とその周辺をよく観察しましょう。
新芽にアブラムシがついていたら、濡れたティッシュなどで拭き取ります。葉裏にチャドクガ、ヨトウムシ、カメムシなどの卵の塊を見つけたら葉ごと剪定します。

■「テデトール」が一番リーズナブルな退治方法だけど……

植えつけやタネまきで土を耕したり、鉢土をひっくり返したりするときは、土の中をよく観察して、コガネムシやガの幼虫を見つけたら、つまんで取りましょう。
通称、この作業をテデトール(手で取る)と言っています。最もリーズナブルな害虫対策です。
素手で取るのが嫌な場合は、園芸用の手袋をして取りましょう。でも虫を手で取るのはちょっと気持ち悪い、数が多過ぎる、といった場合は、土にまくだけの「オルトラン粒剤」や、そのまま葉にスプレーするだけのベニカXファインスプレーなど、手軽に入手できる殺虫剤を使用すると便利です。
害虫対策は早期発見、早期退治が最も効果的ですので、この時期はぜひ、植物こまめに観察して、害虫から守ってください。

■病気の予防はカビ対策

植物が病気になる場合、原因となる病原菌は糸状菌(カビ)、細菌(バクテリア)、放線菌、ウイルスなどさまざまです。中でもうどんこ病、黒星病など植物の主な病気の原因菌は糸状菌と呼ばれるカビです。
6月に入ると本州以南では梅雨に入ります。その前後の時期は植物にとってカビ=病気が最も出やすい季節です。

■3つの対策で植物を守る

植物の病気予防の考え方として、カビが生えにくい環境を整えることが大切です。
ここでは3つの対策に絞って紹介します。
1番目は日当りのよい場所で育てることです。植物は光合成をして栄養を貯えるため、植物を元気に育てて、病気に強い株に育てます。
次に、風通しがよい環境も必要です。空気が滞留しているとカビの胞子が葉に付着しやすくなります。混みあった葉や枝は適度に剪定して風通しをよくしましょう。
そして3つ目が土の水分バランスに注意することです。特に鉢植えの場合、水のやり過ぎに注意しましょう。
水やりに気を遣いすぎて、鉢土が常に湿った状態になる場合が、ときどき見られます。
常に湿っている環境はカビ=病気の発生の可能性が高くなります。鉢植えの水やりは、必ず鉢土の表面が乾いてから行うようにしましょう。
これらの対策のほかに、「ベニカXガード粒剤」や「STダコニール1000」など病気に予防効果がある殺菌剤をあらかじめ散布しておくと、より効果的に病気の発生を予防することができます。

■ガーデナーを悩ます「草むしり」
雑草は根を残さないように取り除きましょう

草花や野菜の生育が盛んになる初夏は、雑草の生育も盛んです。春先に家の周囲や隙間で見かけた小さな雑草も気がつくと草丈が伸びています。初夏に繁茂する雑草は、ササ、ドクダミ、スギナ、セイタカアワダチソウなどがあります。
雑草の対策には以下の三つの方法があります。
①手で抜き取る 
②鎌(道具)で刈り取る 
③除草剤で退治する
①の手で抜き取る、②の鎌(道具)で刈り取る場合は、雑草の根を残さないように取り除くのがポイントです。
雑草の多くは、地上部の葉を刈り取っただけでは不十分です。新芽が出て、すぐに伸びてしまうからです。葉を刈り取るだけはなく、土を掘り起こして根までしっかり抜き取りましょう。
ただし、夏は日差しが強く、屋外で長時間の作業をすると熱中症が心配です。こまめな水分補給、休憩をとりながら無理をせず作業を行いましょう。

■雑草対策に除草剤も使ってみましょう

除草剤のしくみは、植物の生理機能である光合成や植物ホルモン作用、アミノ酸生合成などの作用を阻害することで植物を枯らします。
意外かもしれませんが、実は人間を含めペットなどの動物への安全性は高いのです。植物にとって影響が大きいものでも人間(動物)にとっては影響の少ないものを除草剤として利用しています。
除草剤は雑草を枯らした後は分解するので、土壌に残り続けません。除草剤として重要なポイントです。
散布液がかかった雑草だけを枯れさせ、土に落ちると自然物に分解するアミノ酸系除草成分を使用した「グリーンスキットシャワー」は果樹・庭木の下や花壇周りにも使用でき、ガーデニングでも使いやすい除草剤です。
除草剤を散布するときは、枯らしたくない植物の茎葉にはかからないように注意して作業しましょう。

■除草剤にはいろいろな種類があります

「除草剤」はどんな植物でも枯らすイメージがあるかもしれませんが、「選択性」といって特定の植物のみ枯らすことができる除草剤があります。
選択性の除草剤には、イネ科の稲や芝は枯らさずにそのほかの雑草を枯らす水田用や芝生用のタイプがあります。
また、雑草の茎葉だけから吸収させて枯らすことのできるタイプや、土壌表層にのみ留まる土にまくタイプなどがあります。これらは作用させる部位の選択性によって庭木や果樹の周りで使える除草剤として利用されます。
除草剤が雑草を枯らす方法は、大きく分けて三つあります。
一つめは、すでに伸びた雑草の葉に直接散布して枯らす「茎葉処理剤」です。大きく伸びた雑草をすぐに枯らしたい場合に有効です。ただし、一度枯らした後は効果が持続しないので、地面に落ちたこぼれダネや根が残っている場合はすぐに雑草が伸び始めます。
二つめは、「土壌処理剤」です。まだ雑草が芽を出さないうちに、あるいは少し伸びてきているときに土壌に散布して、土壌表層にある除草剤で雑草のタネの発芽や根の伸長を抑えます。液体の除草剤のほかに固形のタイプもあります。
効き目はゆっくりですが、数か月程度、除草効果が持続するので、自宅の駐車場や玄関までのアプローチなど、雑草を生やしたくない場所で使うと効果的です。
三つめは、この二つの性質をあわせ持つ「茎葉兼土壌処理剤」です。おもに液体の除草剤です。茎葉から吸収し、かつ土壌にも残る成分で、すぐに枯らして長く効くのが特徴です。
家庭園芸用では「草退治メガロングシャワーGT」「草退治メガロングFL」などがあります。

■夏の水やり

暑い日が続く夏は、人間が暑さで「夏バテ」するように、植物も「夏バテ」することがあります。
草花や野菜などの園芸植物は平均すると、その植物体の90%は水分と言われています。高温乾燥になりやすいこの時期、植物は水不足でしおれてしまうことがあります。すぐに水をやればシャキッと回復しますが、しおれ過ぎて、回復できるギリギリ(専門用語では「永久萎凋点(えいきゅういちょうてん)」といいます)を超えると、再び成長することはできません。
鉢植え、プランターで極端な乾燥と湿潤を繰り返すと、土が固くなってひび割れを起こします。いわゆる「水みち」ができてしまいます。
鉢底から流れ出るぐらいたっぷりと水やりをしたつもりでも、鉢土のひび割れ部分が「水みち」になり、そこだけに水が流れて、鉢土全体に水分が十分行きわたらないために、植物が枯れてしまうこともあります。
水みち対策にはモイスト成分の働きで、使うたびに土壌の浸透性を改善し、保水性をアップする機能性をプラスした液体肥料「マイガーデン液体肥料」を使用(草花や観葉植物、花木、果樹には1週間に1回、サボテンや多肉植物は2週間に1回を目安に施します。)し、鉢土の環境を整えましょう。

■庭周辺の害虫対策

夏は少しでも涼しく過ごす工夫が必要です。アサガオやゴーヤをベランダで育てて、緑のカーテンで日よけを作るのもよいでしょう。朝夕の涼しい時間帯には窓を開けて換気をするのもおすすめです。ただし窓を開けると、屋内に侵入する虫がいるので網戸を忘れずに。
それでも蚊、カメムシ、ムカデなどの不快な害虫は、すき間を見つけて家の中に入り込む場合があります。蚊は庭やベランダのちょっとした水溜まりでも繁殖できるので、水やりの際はバケツや鉢皿に水が溜まらないよう気をつけましょう。
庭仕事をするときは「ヤブ蚊・マダニスプレー」を地面にまいて、しっかりと蚊よけをしておくと、より快適に作業ができます。
カメムシは発生場所によって対処薬剤が異なるので注意しましょう。エダマメにびっしりつく「マルカメムシ」、ピーマンなどナス科作物につく「ホオズキカメムシ」、ウメやミカンなど果樹につく「チャバネアオカメムシ」、キクにつく「コアオカスミカメ」などは作物保護の目的で使用する農薬で退治しましょう。
カメムシに効果があり、対象作物としてエダマメ、ピーマン、ウメ、ミカン、キクなどで使える「ベニカ水溶剤」がおすすめです。一方、網戸に付いたり、室内に侵入したりするカメムシは手で払いのけると嫌なニオイを出すので「カメムシエアゾール」など不快害虫用の殺虫剤で早めに退治しましょう。
都会ではあまり見かけませんが、山林などの近くにある家では、ムカデが侵入することがあります。ムカデは湿気を好むので濡れたぞうきんや段ボールが庭に放置されていると潜り込んでいることがあります。
ムカデが室内に侵入するのを防ぐには「ムカデ粉剤」を家の基礎石のまわりをぐるっと囲むように散布しておくと効果的です。

■肥料が足りない場合

植物の生育に欠かせない肥料成分の1つであるカルシウムが不足すると、たとえばトマトでは実の先端が腐ってしまう「尻腐れ症」が発生します。
コンクリートブロックで囲まれたツツジなどの街路樹は、コンクリートが雨で浸食される過程でアルカリ分が溶け出します。このため、土壌pHがアルカリに傾き、鉄分の吸収が阻害されます。新葉の色が抜けたようになる鉄欠乏の症状が出る場合があります。
バラにも多く見られる症状の1つで、気温の高い日が続き乾燥し過ぎたり、逆に長雨で湿り過ぎたりを繰り返し、根の活力が低下すると、鉄欠乏の症状が現れやすくなります。
雨風なども極端な場合は植物の生育に悪影響を及ぼすことがあります。

■光合成を阻害する要因

長雨により日照不足が続くと植物は光合成が十分に行えず、生育不良となります。逆に直射日光に当たり過ぎると、葉焼けを起こす場合もあります。
台風で葉が落ち、あるいは強風で葉が擦れて傷んでしまう場合も光合成が行えなくなります。特に台風の場合、海に近い場所では海水を巻き上げて降り注ぐことによる塩害で葉が一晩で枯れてしまうこともあります。

いま見てきたとおり、生理障害への対策として、日当りの確保、適切な水やり、肥料やり、植物の生育に適した土壌など、植物の育ちやすい栽培環境を整えることです。特に土壌環境は目で見てチェックするのが難しいので、「生育が思わしくないな」という時は土壌pHを測定する試薬「アースチェック液」で土壌の健康チェックをしてみましょう。

■夏の終わりはチャドクガに注意

暑さが残る9月は、肌を露出してガーデニング作業をされる方も多いかと思いますが、
この時期、人も植物も被害に気をつけたいのがチャドクガ(茶毒蛾)です。
名前の通り、茶葉を食害するチョウ目害虫で毒毛のある「ガ」の幼虫(毛虫)です。春と秋、年2回発生します。チャ(茶)と同じ科のツバキやサザンカの生垣などに多く見られます。
小さいうちは群棲していて、大きくなるにしたがって分散していきます。退治するなら群棲している時に葉ごと剪定して取り除くのがよいです。
この時、チャドクガの毒毛に注意してください。毒毛は抜け落ちやすいため、チャドクガの生息地に近づいただけでも飛散した毒毛に触れ、知らないうちにカブレる場合もあります。
チャドクガを取り除くために近づいて剪定する際は、長袖の作業服、ゴム手袋を着用して行いましょう。
近づいて行う作業が難しい場合は「ベニカJスプレー」のような庭木のケムシの専門薬で退治することをおすすめします。
「ベニカJスプレー」は、庭木用に散布液が遠くまで飛ぶタイプのスプレー剤なので離れた場所からでもチャドクガの駆除ができます。そして万が一毒毛が刺さってしまった場合ですが、絶対にかかないように注意してください。毒毛がさらに皮膚に食い込んでしまう場合があります。すみやかに皮膚科を受診してください。

■秋植え球根の植えつけは、向きと深さがポイント

10~11月は秋植え球根の植え時です。日本で秋植え球根といわれる種類は、主に地中海地方やヨーロッパなどが原産地で、耐寒性のある種類です。このタイプの球根は、秋に植えつけて冬の寒さを土の中で過ごし、春に暖かくなると発芽して開花し、夏の高温時には休眠する生育サイクルです。
秋植え球根の代表はチューリップ。このほかにスイセン、ユリ、クロッカス(春咲き種)、ヒヤシンス、ムスカリ、ラナンキュラスなど数多くあります。
球根を上手に咲かせるコツを紹介しましょう。それは、植えつける向きと深さを考えて植えつけることです。
たとえばチューリップの場合、球根の尖がっている(芽が出る)方を上に、根が出る方を下になるようにしてみましょう。さらに開花した時に花の向きが揃うように、球根の前後も揃えましょう。チューリップの球根はよく見ると膨らんでいる側と平らな側があります。この向きで揃えて植えつけると、花の向きが揃い見栄えがよくなります。
植えつけの深さは、地植えの場合、一般に球根の高さの2~3倍が目安といわれています。たとえば球根の高さが3㎝なら、9~12㎝の穴を掘って、そこに球根を植えつけ、球根の上に6~9㎝の土を被せるのが目安です。
ただし寒冷地ではそれよりやや深めに植えつけた方がいいでしょう。鉢植えの場合は、根の生育空間を確保するために、地植えよりはやや浅めに植えつけるのがコツです。3㎝の球根なら、6㎝の穴を掘って球根を植えつけ、球根の上に3㎝の土を被せます。ただし、クロッカスは土から頭が出るぐらい浅めに植えます。またユリは球根の下(下根)だけでなく上(上根)からも根が出るので10㎝ほど深植えにします。
植えつけた後の管理は、鉢植えの場合は土が乾いたら水やりをします。肥料は基本的に不要です。肥料を多く施すと、葉が茂り過ぎて花が目立たなくなってしまい見栄えが悪くなるので注意しましょう。球根は植えつけたら、水やり以外は、春まで手をかけない管理で大丈夫です。

■球根の消毒

球根の生産農家では病気に感染していない球根を選んで出荷しているので、その年に販売店で購入した球根をすぐに植えつけるのであれば、病気を気にする必要はありません。ただし、前年に掘り起こした球根を植えつける場合や、まれに購入直後の球根であっても病気に感染している場合があるので、植えつけ前の球根の消毒をおすすめします。
また、植えつける用土に病原菌が残っている可能性があるので、「石原フロンサイド粉剤」などを使って事前に土壌消毒をしておくと安心です。
消毒の方法は、チューリップの球根腐敗病対策には、植えつけ前に殺菌剤の「GFベンレート水和剤」をビニールの袋などに入れて球根にまぶしたり、水で薄めた液に漬けこんだりして消毒します(目安:水1Lに対して「GFベンレート水和剤」を2g溶かします)。
ユリの腐敗病、アイリスやチューリップの青かび病の対策には「サンケイオーソサイド水和剤80」を水で薄めた液に漬け込んで消毒しましょう(目安:水1Lに対して「サンケイオーソサイド水和剤80」を1g溶かします)。
チューリップの葉腐病、条斑病、微斑モザイク病、ユリの茎腐症の対策には、植えつけ前に殺菌剤の「石原フロンサイド粉剤」を土に混ぜ込んで消毒しておくと安心です(目安:1㎡に対し「石原フロンサイド粉剤」40gを混ぜます)。

■11月頃から、落葉樹の剪定作業を始めましょう

秋も深まるこの季節、落葉樹は葉を落とし始めます。枝だけになったバラや庭木を見ると、余計な枝や伸びきった枝が気になりませんか? そう、秋は落葉樹の剪定シーズンなのです。
剪定とは、枯れた枝や不要な枝、伸びすぎた枝を切り戻して、樹形のバランスを保つ作業のことです。バラに代表されるような落葉樹は、おもに落葉時に、マツ、スギなど生垣にも使われる常緑樹では、おもに春先の新芽が伸びる前に行います。
ツバキやアジサイといった花木の場合は、花芽ができる時期や位置は植物ごとに異なるので、剪定の適期も、植物の生育サイクルに合わせて剪定を行います。

■剪定バサミのアレコレ 消毒も忘れずに

剪定には、専用のハサミを使用します。園芸店やホームセンターで売られている剪定バサミには「バイパスタイプ」と「アンビルタイプ」の2種類があります。
「バイパスタイプ」は刃先がカーブしていて、受け刃と切り刃があり、それを交差させて切る仕組みになっています。
切り口がきれいになり、生木を切るのに適しているので、バラや果樹などの剪定におすすめです。
「アンビルタイプ」は刃先が直線的で、受け刃と切り刃がありますが、受け刃には刃が無く、まな板のような役割をします。「バイパスタイプ」に比べて、あまり力を入れずに切れるので比較的太い枝や固い枯れた枝を切るのに適しています。
病気にかかった植物の枝葉を切った剪定バサミをそのまま使用すると、病原菌がハサミを媒介して、他の植物に感染させてしまう可能性があります。
剪定バサミを使用する前に「レンテミン液剤」で消毒(原液で使用し、手指・器具を薬液に数秒浸し、濡れた状態で使用)すると病原菌の感染が防げます。

■剪定後の切りっ放しは病気の原因に。

ひと通り剪定を終えたあとは、剪定した枝の切り口に注目してください。
一般的に、鉛筆よりも細い小枝は切りっ放しでも問題ありませんが、鉛筆よりも太い枝を切った場合は切り口から病原菌が侵入し枝が枯れることがあります。
枝枯れを防ぐには剪定した枝の切り口に「トップジンMペースト」を塗っておきましょう。
「トップジンMペースト」はペースト状の塗るタイプの殺菌剤です。庭木や果樹の剪定した枝の切口を塗り固めることで病原菌の侵入を防ぐ効果があります。

■多肉植物やサボテン類の管理

多肉植物やサボテン類は草花と比べると、施肥や水やりの手間も少ないので管理はラクだと思われがち。でも、まったく手間がかからない植物ではありません。元気に育てるには栽培のコツがあります。
まずは水やりについて。特にサボテン類は砂漠や乾燥地帯が原産のものが多く、水やりはあまり必要ない印象があります。
砂漠には雨季と乾季があるように、サボテン類も鉢土が乾燥していれば水やりが必要です。水量は鉢底から水が流れるまで。冬季の水やりの頻度は、鉢土の乾燥によって異なりますが、3週間に1回程度が目安です。
多肉植物やサボテン類には、頻繁な施肥の必要はありません。肥料を施すなら、長くじっくり効く置き肥が適しています。 タブレット型の置き肥「MY PLANTS 長く丈夫に育てるタブレット」や肥料を葉面散布できるスプレー「MY PLANTS すばやく元気を届けるミスト」などで少し補給してあげると生育が良くなります。
また栽培の年数が経つとコナカイガラムシやハダニが発生することもありますので、害虫を見つけしだい、「MY PLANTS 虫からやさしく守るミスト」など速効性の殺虫剤で退治します。

■室内での観葉植物の置き場所と重要な日当りについて

室内で観葉植物を楽しみたいと思ったとき、みなさんはどんな場所に飾りますか? 
キッチンカウンター、テーブル、玄関など色々な場所があると思いますが、大切なことは、植物の生育に必要な日照量です。これは観葉植物、それぞれに異なります。
たとえばサボテンや多肉植物の多くは砂漠といった日光を遮ることのない開けた場所で、充分な日光の下で成長します。室内で育てる場合も窓辺など、日当りが良く、日光をたくさん取り込める場所が適しています。
パキラ、ガジュマル、ウンベラータなどは、レースのカーテン越し以上の日照量が必要です。一方でサンセベリア、スパティフィラム、ポトスなどは、部屋の中でもあまり日光が届かないような場所でも生育できます。 このようにそれぞれの種類によって、必要な日照量にかなり幅があるので、室内で観葉植物を楽しむときは、水やり、肥料やり、病害虫対策に加え、日当りを考慮した置き場所にも気を付けることがポイントです。
また、室内特有の事情に、葉にホコリが溜まりやすくなる事が挙げられます。葉についたホコリを取るには、葉面洗浄剤「MY PLANTS 葉をきれいにするミスト」が便利です。葉の汚れを落としツヤを与えて、葉を美しく保ちます。

■希釈液をつくる前に。展着剤の役割と使い方を覚えましょう。

乳剤や水和剤などの水で薄めて使うタイプの殺虫剤、殺菌剤を使用する際には、必ず展着剤を加えて希釈液をつくります。

展着剤の働きは主に以下の2つです。
(1)葉に薬剤を付着させる
たとえば、ツバキのようにツルツルした葉に水をかけると、水は、はじかれ、そのまま葉先から流れ落ちます。そのため、薬剤散布の際、散布液に展着剤を加えておくと、葉の表面に薬剤が付きやすくなり、葉から薬剤が流れにくくなります。

(2)水と薬剤を混ざりやすくする
水和剤は水に溶けないので、よくかき混ぜたつもりでも薬剤が水の中で均一になっていない場合があります。希釈液をしばらく放置すると薬剤の粒子が沈殿します。
展着剤を加えることで薬剤の粒子が水の中で均一に分散し、沈殿が起こりにくくなります。 展着剤の使用量は、たとえば展着剤「ダイン」の場合は、散布液1Lあたり0.1~0.3mlで、約5~6滴程度です。

■水で薄める薬剤の希釈液のつくり方

薬剤にはスプレー剤やエアゾール剤など、そのまま使用できる薬剤もありますが、乳剤、液剤、水和剤といった薬剤は水で薄めて希釈液を作る必要があります。
調剤の容器に汚れやごみがついていると、散布器具の詰まりや故障になる場合もあるので、清潔なものを使用してください。希釈液の正しい薄め方の手順は、以下の通りです。

(1)希釈する水を用意します。
水で薄めた散布液は取り置き保存ができないので、散布する分だけ量って用意し、使いきるようにします。

(2)薬剤を混ぜる前に、展着剤を水に入れよく混ぜておきます。

(3)次に薬剤を混ぜます。それぞれの薬剤によって希釈する倍率が異なるので、商品ラベルに記載されている適正な倍率を確認してから、適量を水に入れて、かくはん棒でよく混ぜます。希釈倍率が1000倍の場合は、水1Lに対し薬液1mlが適量です。

(4)よく混ぜた希釈液を噴霧器やスプレーボトルなどに移したら、完成です。

もし殺虫剤と殺菌剤など2種類以上の薬剤を混ぜて使いたい時は、「液剤」「乳剤」「水溶剤」などの水に混ざりやすい薬剤を先に加え、「水和剤」「フロアブル剤」など水に混ざりにくい薬剤を後から加えてください。剤型の区分は、スミチオン乳剤ベンレート水和剤など商品名や、農薬登録番号が記載されている近くに剤型表記が記載されています(例:STダコニール1000<フロアブル剤>)。
つくった散布液は植物全体に葉裏まで含めてまんべんなく散布むらがないように、しっかりと散布してください。

■観葉植物に付くハダニに注意!

ハダニは昆虫ではなく、クモに近い仲間で、よく見かけるカンザワハダニやナミハダニなど成虫でも体長が0.5mm程しか成長しません。
高温乾燥を好むハダニは、屋外では梅雨明けから9月頃にかけての夏場に、繁殖が旺盛になり、植物の被害も増えます。冬でも暖房が効いて暖かく乾燥している屋内では、増殖する可能性があり、観葉植物を育てている場合は要注意です。
特にハダニが寄生しやすい観葉植物にはゴムの木やシェフレラがあります。
ハダニは、おもに植物の葉裏に寄生して汁を吸います。数が少ないうちは、葉の表面から見るだけでは見つけにくいですが、ハダニの数が多くなってくると、吸われた部分の葉緑素が抜けて、針先で突いたような白い小斑点が生じます。この時点でようやく被害に気がつくことが多いです。
被害が進行するにつれて白くカスリ状になって葉色は悪くなり、草花や野菜では落葉して枯れることもあります。被害にあった庭木は、枯れることはありませんが、生育が悪くなり、やがてクモの巣状の糸で覆われて美観が損なわれます。
水に弱いため、ときどき霧吹きで葉の表裏に水をかけると、寄生数を減らすことができますが(この作業を葉水といいます)、屋内や雨の当たらない軒下などに置いている植物は、被害の進行が速いので、葉水だけでは防げません。
薬剤を使用して退治する場合は、ハダニの専門薬「バロックフロアブル」がおすすめです。応急処置的に使用する場合は「ベニカXファインスプレー」もおすすめです。

■低温で湿度が高いと発生しやすい灰色かび病

灰色かび病は名前のとおり、灰色の「かび」で覆われる病気です。花弁に水滴がにじんだような跡がつき、白い花では赤い斑点、色のついた花では白い斑点が多数生じます。病気が進行すると花が褐色に変色して腐り、やがて灰色のかびに覆われます。
灰色かび病は寄生範囲が広く、ほとんどの植物で発生します。植物が生きていても枯れていても増殖することのできるとても厄介な病気です。
気温がやや低く、雨が多くて湿度の高い時期、また、日照が不足しがちな時期に発生が増えます。屋外では春の初めから梅雨の時期、秋の初めから冬の初め頃に注意が必要です。
冬に、日があまり当たらない部屋や玄関などで育てていると、低温多湿になりやすいので、灰色かび病が発生しやすく、屋内で育てているシクラメンやプリムラに多く病状が見られます。水のやり過ぎに注意し、なるべく風通しを良くして管理しましょう。
病原菌は害虫の食害痕やしおれた花弁、チッ素過多により軟弱に育った植物組織などから侵入するので害虫を防除したり、咲き終わった花をこまめに摘み取ったり、肥培管理を適切にすることでも予防できます。害虫の被害を防ぐ薬剤を使用する場合は、「ベニカXファインスプレー」がおすすめです。

■本格的シーズンの前に、土の健康状態(土壌酸度)をチェック!

花や野菜の苗を植えつける際、土に肥料を混ぜて、日当りも良く、水やりもいつもの通りなのに何だか生育が良くない、ということがありませんか? そんなときは土に原因があるかもしれません。
長年同じ場所で植物を栽培していると、土の化学的性質(土壌酸度)が変化していくことはご存知でしょうか。
植物の根から出る根酸(こんさん)や雨水の影響で、土の中は徐々に酸性になっていきます(雨水は、雨が降る時に空気中の二酸化炭素が溶け込むので、元々弱酸性です)。
植物の生育には中性から弱酸性が適していますが、酸性が強くなってくると肥料の吸収が阻害されやすくなり、特定の病原菌が増えるなど土の環境が悪くなります。また、コンクリートブロックで囲まれた街路樹のツツジは、土壌のpHがアルカリに傾くことで、鉄分の吸収が阻害され、新葉が黄色くなる生理障害を起こしやすくなります。
環境に気をつけて、しっかり育てているのに、生育が良くないなと思ったら、土の状態を簡易的に測定できる、土壌酸度測定液「アースチェック液」で植つけ前の土の健康状態をチェックしましょう。
もし、土が酸性に傾いていたら石灰などのアルカリ資材を加えることで調整できます。アルカリ土壌を酸性にするには、「ピートモス」などの改良用土や酸性肥料を土に入れて、調整します。

■土壌に潜む病原菌にも注意!

春先の比較的低温で雨が続くようなときに「菌核病(きんかくびょう)」が多発します。「菌核病」はキャベツで発生しやすい病気の1つで、おもに茎に発生し、フリージアやストックといった草花にも症状が現れます。
茎の枝分かれしている部分から発生することが多く、水浸(すいしん)状の病斑が拡大して茎を取り巻くようになると、病斑部から上の茎葉はしおれて枯れてしまいます。さらに症状が進むと、病斑部は褐色から黒色に変色し、やがて白い綿状のカビに覆われ、最後は黒いネズミの糞状の菌核が形成されます。
キュウリやナスでは果実にも発生し、果実ではがくの付近に発生することが多く、病斑部の症状は茎の場合と同じです。
3~5月と9~11月頃の気温が20℃を下回る時期や、雨が続くような比較的低温で多湿のときに多発します。
病原菌は地面に落ちた菌核で越年します。菌核の種類にもよりますが、キャベツの「菌核病」の場合は、土壌中での寿命は 2~3 年といわれています。菌核は土の中で長期間生きるので、発生した場所では連作を行わないようにします。天地返しをして土中深くに病原菌を埋めるのも有効です。
薬剤を使用する場合は、キャベツの場合、土に混ぜ込むだけで病気を予防する「フロンサイド粉剤」や直接キャベツの葉に散布する「ベニカ X ネクストスプレー」、ストックの菌核病には「家庭園芸用トップジンMゾル」がおすすめです。

■アブラムシは病気を運ぶ!

アブラムシはセミの仲間で、花壇のパンジー、ビオラやペチュニア、畑ではソラマメや菜の花、キュウリなど、果樹ではウメやミカン、花木ではバラなど、さまざまな植物の汁を吸う害虫です。
繁殖力が旺盛で、メスが一匹いればどんどん増えてしまう「単為生殖」の虫です。アブラムシは植物の汁を吸うだけではなく、二次被害も起こします。
吸汁の際にウイルス病を媒介し、排泄物が葉に付着し、そこにカビが生えて真っ黒なすすに覆われたようになる「すす病」を誘発します。また高濃度の糖分が含まれている排泄物によって、アリがその排泄物を舐めるために寄ってきます。
しっかりとアブラムシを防除することで、二次被害は防げます。ちなみに、アブラムシの好きな色は黄色です。アブラムシが付きやすい植物には黄色い花が咲くものが多く、この性質を利用して、黄色い粘着テープなどを畑の隅にひらひらさせておくと、アブラムシが付着するので、発生をいち早く知ることができます。
防除には、土にまくだけで発生前の予防が1か月続く「ベニカXガード粒剤」がおすすめです。
また、発見したら繰り返し何度でも使用できる天然成分の「ベニカナチュラルスプレー」も有効です。

■うどんこ病―白いカビに覆われる病気

うどんこ病の原因菌はカビ(糸状菌)なので、ある程度の温度と、菌糸を伸ばして繁殖するための水分が必要です。風で胞子を飛ばして繁殖するので、比較的乾燥した時期に発生しやすくなります。つまり、日中はカラっと晴れて暖かく、夜は気温が下がり、夜露で葉が濡れるような初夏や秋の初め頃がうどんこ病の発病適期となります。
うどんこ病は、最初、うすい白いカビのような斑点ができて、その後、カビは全面に広がり、白いうどん粉をまぶしたような状態になります。
そのまま放置しておくと、繁殖した部分は光合成を十分に行えないため、葉が枯れ、繁殖した菌が他の植物に移って被害が拡大していきます。早期発見と予防対策が大切です。
予防対策には、あらゆる植物に何回でも使用できる特定防除資材「ピュアベニカ」がおすすめです。
「ピュアベニカ」はうどんこ病だけでなく、アブラムシ、ハダニ、コナジラミの予防と退治、ナメクジやハスモンヨトウに対する忌避効果もあります。

■5月の病害虫対策は予防散布と早めの対処がポイント

4月の本州以南は、まだまだ朝晩の気温が低くなり、冷え込むこともありますが、5月になると気温も安定し、一日を通して暖かくなります。5月は旧暦で「さつき」、漢字で書くと皐月ですが、早月とも書きます。早苗(さなえ)を植える月と言う意味といわれ、バラの新苗の植えつけにも適したシーズンです。

一方、この時期、同時に害虫や病気が起こりやすくなります。
バラの害虫の代表格では植物の汁を吸う「アブラムシ」、病気では葉が粉を吹いたように白くなる「うどんこ病」があります。いずれも発生が多くなるとバラの生育に著しく悪影響を与えます。病害虫防除は発生前の予防が一番ですが、アブラムシやうどんこ病は発生初期の段階であれば十分退治できますので、この時期はバラの花だけでなく株全体をよく観察して、虫や病気を少しでも見かけたら早めに対処しましょう。
一般的には害虫には殺虫剤を、病気には殺菌剤を散布しますが、家庭園芸向けには、殺虫成分と殺菌成分を1 つにした殺虫殺菌剤が手軽で便利です。
代表的な殺虫殺菌剤にはスプレータイプの「ベニカXファインスプレー」、粒タイプの「ベニカXガード粒剤」などがおすすめです。
いずれも効果が持続するタイプなので、毎年バラを育てている方なら、いつもの病害虫が発生する時期になる前に予防で散布しておくことで病害虫によるダメージを最小限に抑えることができます。
バラの病害虫防除でスプレー剤を散布する際は、朝夕の涼しい時間帯で風の無い時に、葉の裏表、株全体に葉先から滴る程度しっかりと散布します。
粒剤は株元にバラまいて使います。いずれの場合も、ラベルに作物ごとに効果のある病害虫、使用時期などが記載されていますので、使用の際はラベルをよく読んで正しくお使いください。

■バラの開花時期や花後剪定の後には追肥を忘れずに

植物は、光合成によってエネルギーを糖に変換して貯えますが、植物体を構成するタンパク質、アミノ酸、各種酵素などを作り出すには肥料成分が欠かせません。
主な肥料成分はチッ素、リン酸、カリなどの元素。チッ素以外は鉱物質(ミネラル分)で、土壌にある程度含まれています。そのため、地植えの場合は肥料を施さなくても植物はある程度育つ場合があります。
一方で鉢植えの場合は、土の量が鉢のサイズに限られるので、植物が大きく育つに従って、鉢土に含まれる肥料分だけではどうしても足りなくなります。この時期、バラの新苗を植えつけて、株が大きくなってきたら肥料を追加しましょう。これを「追肥」といいます。もちろん地植えの場合でも、株が大きくなってきたら追肥が必要です。
追肥のタイミングは一般的には花が咲く時期、実が膨らむ時期などですが、バラの場合なら、蕾が付く時期や開花後に剪定した後の樹勢回復で追肥をします。
ちなみに苗を植えつける際に、あらかじめ土に混ぜ込む肥料は「元肥」といいます。一般的に「元肥」にはじわじわ効いて長く効く緩効性肥料(粒々の肥料)を、「追肥」には、素早く効く液体肥料(マイローズばらの液体肥料など)を使いますが、たとえば「マイローズばらの肥料」や「マイローズばらの置くだけ肥料」なら、すぐ効く肥料成分とゆっくり効く肥料成分がバランス良く配合されていて、約3か月効くのでこれだけで元肥、追肥に使うこともできます。施肥のコツはタイミングと量です。施し過ぎも、少なすぎも生育には悪影響となります。バラが肥料を必要としているタイミング(開花、結実など)に、程よい量(肥料のラベルに使用量が書いてありますのでそれを目安に)で施肥することでバラを元気に育てましょう。もちろん日当り確保、水やりも忘れずに!

■花が咲いた後には、お礼肥と花がら摘みを忘れずに

6月に入るとバラの一番花がひと段落となります。咲き終わった花がらはこの時期にこまめに剪定しておきましょう。
花がらを残しておくと「灰色かび病」の原因や、品種によっては「ローズヒップ」と呼ばれる実ができるものもあります。もちろん、「ローズヒップ」として利用する場合はそのまま付けておいても良いのですが、そうでない場合、実の生育に栄養が取られてしまい、株全体の生育が抑えられてしまいます。この実やタネなど子孫を残すための生育を「生殖成長」といいます。
いっぽう、葉や茎など植物体の生育を「栄養成長」と呼びます。
バラの場合、6月がちょうどこの切り替わりの時期で、一般には花後にお礼肥をあげるタイミングです。花後のお礼肥は「栄養成長」を促し、株に力を蓄えるための肥料です。
このタイミングで施肥をすると、根元から太く勢いのある枝「ベーサルシュート」が伸びてきます。また根元からではなく枝の途中からも、新しい枝が勢い良く伸びてくることがあります。この枝は「サイドシュート」と呼ばれます。いずれのシュートも次年度の花芽がつく大事な枝です。
しかし、これらのシュートは他の枝に比べ成長が早く、その分栄養も、より多く必要とするためそのまま残しておくと、すぐに花芽が付き始め、株全体のバランスが悪くなってしまいます。そこで他の枝にも栄養が行き渡るよう、伸びたシュートの切り戻し剪定すると、株全体のバランスが整います。
伸びたシュートの先に、花芽がすぐに付くので剪定をためらう人も多いですが、この花芽はそのままにしておくと夏に開花するので、花が小さかったり、すぐしおれてしまったりと、あまり良い花が咲きません。この時期につく花芽はなるべく剪定し、秋に向けて株に栄養を貯え、葉を充実させる時期と考えましょう。

■梅雨時に発生する「黒星病」を防ごう!

6月は梅雨の時期です。気象庁によると、関東甲信では平年は6月7日が梅雨入りとのことです。
さて、梅雨といえば、バラの大敵「黒星病」の季節でもあります。
葉に黒いシミ状の斑点ができ、やがて葉全体が黄色くなり、触ると5枚葉ごとポロッと取れてしまう病気です。
黒星病はおもに雨水で伝播します。前年に黒星病に感染した葉が落葉し、土に混ざり込むとそれが雨水で跳ね返り、葉の葉裏から感染します。そのため「黒星病」は株の中~下葉から発生し始めます。
泥はねを防ぐための敷き藁をするなどの対策をしつつ、前年に「黒星病」が発生した株や花壇の土はできるだけ入れ替えて発生源を少しでも減らすことも有効です。
発生前の予防として殺菌効果のある予防薬「ベニカXガード粒剤」を土にばらまいておくとより効果的です。「ベニカXガード粒剤」は抵抗性誘導の作用により植物自身が持つ病気に対する抵抗力を引き出し、効果が約1か月持続します。
それでも万が一発病してしまった場合は、発病した葉を取り除き(その際、地面に落とすと次年度の発生源になるので、きちんとその場から取り除きましょう)、「ベニカXファインスプレー」などの殺菌剤を散布しましょう。
このとき、殺菌剤に対する耐性菌の出現を避けるため、作用性の異なる殺菌剤を交互に散布する「ローテーション散布」を行いましょう。手軽なスプレータイプによるローテーション散布の組み合わせでは、たとえば「ベニカXファインスプレー」「マイローズばらの殺菌スプレー」「モストップジンRスプレー」などを交互に散布すると耐性菌の発生が抑えられるのでおすすめです。

*「平年」は、令和2年(2020年)までの過去30年の平均(入り・明けを特定できなかった年は除外)の日付。気象庁HPより

■ハダニの発生時期と対策

バラには色々な害虫が発生しますが、環境によって特に出やすい害虫もいます。たとえばハダニは高温乾燥を好むので夏場に出やすいといわれています。
そのため、日当りのよい庭ではあまり発生せず、ガーデンローズではあまり問題になることはありません。
むしろ室内の窓辺に置いたミニバラや軒下、ビニールハウス内で育てているバラにハダニが発生する可能性があります。
しかし、最近はガーデンローズでもしばしばハダニの被害報告を聞くようになりました。
気候変動の影響もあるかもしれませんが、近年バラの育種技術が進み耐病性のバラがふえたことも要因の1つではないかといわれています。
以前のバラは冬になると葉が完全に落ちてしまうイメージでしたが、最近のバラは冬でも葉が残っている場合も見受けられます。
これは、四季咲き性の品種が多くなり、耐病性の向上によって、黒星病などで葉が落ちることが少なくなったなどによるものですが、残った葉でハダニが越冬するようにもなったとも考えられています。

ハダニは葉裏に寄生して汁を吸うため、葉の表からは、吸われた部分の葉緑素が抜け、白い小斑点が生じます。数が多くなると白くカスリ状にまとまって見えるので、被害が出てから、初めて気がつくことが多いので要注意です。
ハダニの発生が気になる場合は水やり時に株元だけでなく葉水も行うとハダニの発生を抑えることができます。
発生初期の段階であれば3つの天然成分配合で使用回数の制限もない「ベニカナチュラルスプレー」を散布しておくのも有効です。特に「ベニカナチュラルスプレー」の成分の1つである紅花油と綿実油の「調合油」がハダニの成虫、幼虫だけでなく卵にも作用するのでハダニの被害を効果的に防ぐことができます。

■病害虫を防ぎ、株を健康に育てる水やりのポイント

梅雨が明ける7月中〜下旬から気温もぐっと高くなります。バラの葉が茂っている時期なので葉からの蒸散も活発になり、根から水をぐんぐん吸います。
特に鉢植えの場合、水はけのよい培養土で植えている場合が多いので、土自体が乾きやすくなり、1日で鉢土がカラカラになってしまうこともあります。
バラは植物の中では比較的乾燥には強いですが、葉が茂る時期に土が完全に乾いてしまうと枯れる原因になります。特に5~6月ごろ、店頭に並ぶバラの鉢植えは、購入後にひと回り大きい鉢に植え替える「鉢増し」を行いましょう。できれば6月までにひと回り大きめの鉢に植え替えるか、地植えにするのも夏の乾燥を乗り切る上で重要です。
夏期のバラへの水やりのタイミングは基本的には早朝、できれば朝8時ごろまでに済ませるのがベストです。
日中の高温時に散水すると、水もすぐに高温になるので、根傷みの原因になります。水の量は鉢土が乾いてから、鉢底から流れ出るくらいたっぷりと与えます。毎日少しずつ水やりを繰り返し鉢土の表面だけが濡れた状態や、与えてすぎて、常に鉢土が湿った状態は避けましょう。根は呼吸をしているので、常に湿った状態では酸欠になってしまうからです。
乾かし過ぎはダメですが、鉢土が乾いてきてからたっぷりと水を与えることで、土の中の空気を入れ替えたり余分な肥料分を流したりする作用があります。

■夏剪定&追肥を忘れずに。

バラは、気温の上昇する春から夏にかけて枝葉が勢いよく伸びていきます。大株の場合は伸びすぎた枝葉を整理するために剪定を行います。四季咲きのバラは、この時期はまばらに開花するので、そのまま咲かせてしまうと花が咲き揃わなくなります。そのため、いったん剪定をして株をリセットする必要があります。この剪定を、夏剪定といいます。秋の開花タイミングを揃えるために、夏場に深く切り戻します。

夏剪定の時期は、以前は8月末と言われていましたが、最近のバラの栽培ガイドなどでは9月上旬ごろを推奨している場合が多いようです。ただし、なかには四季咲きのシュラブ系など品種によって夏剪定が遅くなると蕾が付きにくくなる品種もあります。このような品種は、8月中~下旬に浅めに剪定すると秋の蕾が付きやすくなります。

夏剪定は、枝葉が勢いよく伸び、根が充実した元気な大株の枝葉を深く切り戻します。
一方で、春に購入した新苗などまだまだ生育途中のものを深く切り戻してしまうと樹勢が落ちてしまうことがあります。こうした場合は、開花後の花枝を軽く剪定する程度に留め、なるべく葉は残して株の充実を図るようにしましょう。

剪定後は株を充実させるため、追肥を行います。
追肥には水で希釈して施す液肥「マイローズばらの液体肥料」を1週間に1回施します。6~8号程度の鉢植えの場合なら、有機質配合で約3か月肥料効果が持続するペレットタイプの「マイローズばらの置くだけ肥料」も効果的です。10号を超えるような鉢や地植えの場合は、腐植酸苦土配合で肥料やりと同時に土作りにも有効な「マイローズばらの肥料」がおすすめです。こちらも約3か月肥料効果が持続します。

■夏バテ対策に活力剤を使おう!

根が十分に張って伸びた元気な大株なら、夏の日差しを受けて枝葉がどんどん伸びます。四季咲きのバラは花芽も沢山上がってきます。

ところが、何らかの原因で根が傷んで葉が思ったほど茂らず、むしろ株が弱ってしまうと夏バテの状態になります。そのような株では、葉を切り過ぎてしまうと逆に株が弱るので注意が必要です。夏バテ気味の株では浅めの剪定に留めておきましょう。

この時期、鉢植えで育てている株で、水のやり過ぎで根が酸欠になり、根腐れを起こす場合や、夏場の強い日差しで鉢の表面が高温になり、鉢の内側付近の根が焼けてしまう高温障害が起きる場合もあります。いずれの場合も根が傷んでいると、起こりやすくなります。

遮光のために鉢カバーをかけたり、通気性の良い素焼き鉢で植えたりするなどの対策を行ってください。

このように夏バテして、元気のない株の回復に有効なのが活力剤です。水やりの代わりに、「マイローズばらの活力液DX」を1週間に1回たっぷりと与えることで樹勢の回復に役立ちます。「マイローズばらの活力液DX」には有効成分として酵母抽出物、各種ミネラル、ビタミン、アミノ酸が配合されていて、これらの作用が根張りをよくするので、夏バテや根傷みなどで弱ったバラに有効に作用します。また天然有機質配合なので土壌中の微生物環境が整い、土質の改善にも有効です。

植付けや植え替え時に根が傷んでしまう場合にも活力剤は有効です。肥料だけでは補えないミネラル分に加え、さらに吸収しやすいキレート鉄を配合した活力剤は、新葉の白化防止(鉄は葉の緑色を保つ葉緑素に必要な微量要素です)にもお勧めです。活力剤を上手に使って株を元気に保ち、熱い夏を乗り越えましょう。

■コガネムシを予防しよう!

バラの害虫でもあるコガネムシは、カブトムシやカナブンなどと同じ甲虫類の仲間です。カブトムシやカナブンの幼虫は腐葉土などを食べ、成虫は樹液を吸うのに対し、コガネムシの幼虫は根を、成虫はバラの蕾や花弁を食害します。最近ではベランダで栽培している鉢植えに産卵する被害も増えています。

コガネムシの1種であるドウガネブイブイの成虫は、アジサイやブドウ、キウイなど広葉落葉樹の葉を網目状に食害します。一方、バラの場合はマメコガネやヒメコガネが主に花や蕾を食害します。

マメコガネは昼行性なので、食害しているところを見かけたらすぐに捕殺できますが、ヒメコガネは夜行性なので気が付かないうちに蕾が食害されてしまうこともあります。成虫の発生する初夏から秋にかけては、食害される前に予防対策が可能な殺虫剤を散布しておくとよいでしょう。

手軽なハンドスプレータイプではベニカXファインスプレーベニカXネクストスプレーが予防的に使用可能です。株数が多い場合は希釈剤のベニカR乳剤を噴霧器で散布すると便利です。なお幼虫を退治する場合はふ化直後の一齢幼虫を退治するのが効率的ですので、成虫が産卵する秋以降に土に混ぜ込むタイプのマイローズベニカXガード粒剤や水に希釈して土にまくベニカ水溶剤などを予防的に使用するのがおすすめです。

■台風対策も万全に

月は台風の上陸が増える時期です。バラの枝は比較的しなりやすい枝なので、台風で折れるようなことは少ないですが、強風で枝葉がゆすられるとトゲで葉が傷つきます。大型の台風が予想される場合、鉢植えが倒れたり、吹き飛ばされたりしないよう、横に寝かしてしっかり固定するなどの対策を検討しましょう。

海が近い地域では台風によって海水が巻き上げられて降り注ぎ、植物の葉を枯らす場合があります。これを塩害といいます。そのような心配がある地域では、鉢を雨の当たらない軒下に移動して雨除けをします。

地植えの場合はこのような対策はできません。大株など枝が固くなっているものは株の四隅に支柱を立て、風除けネットを巻きつけるなどの方法があります。また、台風が過ぎた後は葉が傷んでいる場合が多いので、よく観察して傷んだ枝葉は剪定します。また傷から病原菌が侵入することで枝枯れを起こす場合もあります。マイローズ殺菌スプレーなどの殺菌剤やベニカXファインスプレーなどの殺虫・殺菌剤を散布しておくと安心です。

■花がら摘みと枯れた枝の剪定

10月に入ると秋バラが開花し始め、これで今年の開花も一段落です。秋バラの開花後の花枝の剪定は浅めにして、花がらを摘む程度にしましょう。また、植物は葉で光合成をして栄養を蓄えるので、来春の株を充実させるためになるべく葉を残すようにします。

なお、花がらはそのままにしておくと「灰色かび病」の発生源になってしまうので、必ず取り除くようにします。また、花がら摘みのついでに「枝枯病(えだがれびょう)」で枯れた枝なども剪定しておきましょう。

剪定する枝は、太さが鉛筆より太いかどうかを目安にします。鉛筆より太い枝を剪定した切口には「トップジンMペースト」癒合殺菌剤を塗布すると枯れ込み防止になります。

■大苗の植付け

残暑を過ぎて秋の気配を感じるころになると、再びバラの開花時期がやってきます。そして、関東以西では11月から翌年の2月にかけては大苗の植えつけ(地植え)や植え替え(鉢植え)に適した季節でもあります。大苗を植えつけるときは、まず根をほぐし広げます。その際、自然に落ちる土はそのまま落としてしまってかまいません。そして、規定倍率に希釈した「マイローズばらの活力液DX」に1時間ほど根を漬けておくと、芽吹きがよくなります。

植える場所の準備ですが、地植えの場合は植穴の底部に堆肥と「マイローズばらの肥料」などを元肥として入れ、少し土をかぶせておきましょう。鉢植えの場合、大苗が植わっていた鉢よりひとまわり大きい鉢を用意し、「マイローズばらの培養土」などバラ専用の培養土で植えつけましょう。この時期の鉢植えは特に元肥は不要ですが、有機質の肥料の場合は株元に施肥しておいてもかまいません。いずれの場合も、植えつける高さは台木の接口が地表から出るぐらいを目安にします。地植えも鉢植えも、植えつけ後は支柱を立て、枝をしっかり留めましょう。

また、秋は気温が下がるとともに雨も多くなり、秋雨の影響で湿度が高くなるので、「うどんこ病」や「黒星病」が発生しやすくなります。「黒星病」の対策として株元に敷き藁をして雨水の跳ね返りを防いだり、株が蒸れないよう鉢植えでは間隔を広げて置き直すなど病気対策もあわせて行っておくとよいでしょう。

■ヨトウムシの対策をしよう!

すっかり涼しくなって秋の深まるこの時期は、家庭菜園では鍋料理に最適なハクサイ、コマツナ、ミズナ、ダイコン、キャベツなどアブラナ科の秋野菜が生育します。しかし、そんな秋野菜をかじる害虫が発生します。その代表格が「ヨトウムシ(夜盗虫)」です。

野菜の生育に合わせてヨトウムシは活発に活動しますが、幅広い植物に寄生し、バラも食害を受けます。せっかく芽吹いた蕾や葉を食害する害虫です。葉裏に数十~数百個の卵を塊で産みつけます。

名前のとおり夜行性です。大きく育った幼虫は、昼間は土中に隠れるため特に見つけにくいです。「アオムシ」と同様に、被害が進むと葉脈だけを残し花まで食害されます。

ヨトウムシは、ふ化直後の葉裏に群棲している時に防除するのがポイントです。家庭菜園などではチョウ目害虫の専門薬「STゼンターリ顆粒水和剤」がおすすめです。「B.t菌(バチルス チューリンゲンシス菌)」という自然界に存在する微生物を利用した殺虫剤で、オーガニック栽培でも使用できます。バラにつくヨトウムシには、発生初期であれば「マイローズ ベニカXファインスプレー」が有効です。退治の難しい老齢幼虫には「ベニカXネクストスプレー」で退治します。

■肥料をうまく使ってバラ苗の充実を!

この時期出回るバラの苗は、秋苗と呼ばれる大苗が主流です。春の新苗は冬に接ぎ木したばかりの若い苗なのに対し、この時期の苗は春に植えつけ、生産圃場で十分生育した株の枝を切り詰め、掘り上げた苗です。

初秋は、来春の開花に向けて株の充実をはかる時期です。大苗は株がしっかりしていて、この時期は病害虫の発生も少ないため、管理もしやすく、初心者にもおすすめです。購入したらすぐに鉢上げもしくは地植えにしましょう。すでに鉢植えや地植えで栽培している場合は、この時期はまだ葉が茂って生育を続けているので、通常の肥料やりに加えて活力剤(「マイローズばらの活力液DX」など)を与えて株の充実を図りましょう。

秋の長雨といわれる時期ですが、雨が多いと「黒点病」、「うどんこ病」、「べと病」などが発生しやすくなるので、念のため、保護殺菌剤(「エムダイファー水和剤」、「ダコニール1000」など)を散布して予防しておくと安心です。

■つるバラの剪定と誘引の手順

つるバラの剪定と誘引作業は、木立性のバラよりもひと足早く、12月下旬~1月上旬の休眠期に行います。フェンスなどに誘引されている場合は、フェンスから枝を外し、枝の配置を考えながら、残す枝を決定します。
前年に伸びた元気なシュートや2~3年目の元気な枝は残しつつ、枯れ込み枝や細い枝などを剪定して整理するのが目安です。そして、2~3年目の枝は、先端を20~30cm程切り詰め、側枝が伸びている場合はそれらも10cm程残して切り詰めておきます。

なお、剪定作業の際、太い枝にバラシロカイガラムシが付着している場合があるので、見かけたら削り取って「カイガラムシエアゾール」などを散布して退治します。また、前年の10月以降に伸びたシュートは、若すぎて寒さで枯れてしまう場合が多いので、残さず剪定しましょう。

伸びすぎた枝や不要な枝を剪定したら、春の開花をイメージしながら、枝をフェンスなどに配置し直していきます。この時期、葉が残っている場合がありますが、残しておくと病害虫が葉で越冬し、翌春に持ち越されてしまう場合があります。残っている葉はこのタイミングで取り除きましょう。

■春のために寒肥を施そう!

寒肥(かんごえ)とは、おもに庭木や果樹など、年間を通じて地植えしている植物に対し、休眠期である冬(12~2月頃)に施す肥料のことで、春先の芽吹きを良くするために大切です。

施すのは、おもに有機質の肥料です。有機質の肥料は、土壌中の微生物が分解してはじめて肥料として効果が出ます。冬の間は、寒さで微生物も活動が緩やかなため、分解は促進されず、肥料成分は出にくいです。暖かくなるにつれて、土壌微生物が活動を始めて徐々に有機質が分解され、根が動き出すタイミングに合わせて肥料成分も効き始めます。

化成肥料では、コーティング肥料の「マイローズばらの肥料」も冬の低温期はコーティングは溶けにくく、肥料成分は出てきません。暖かくなると、コーティングが溶けはじめ、肥料成分が出てくる仕組みなので、寒肥としてもおすすめです。

有機肥料には、米ぬかや油粕など植物性のものと、鶏糞や牛糞、骨粉など動物性のものがあります。バラの寒肥には牛糞などが一般的ですが、臭いの問題などもあり、最近では米ぬかを利用した「ぼかし肥料」など臭いの少ないものに人気があります。

「ぼかし肥料」とは、米ぬかや油粕などの有機肥料を微生物によって発酵させてつくる肥料のことです。発酵しているので、油粕や牛糞など未発酵の有機肥料よりも効き目が早いという特長もあります。また、発酵後に残っている有機質は、施肥後に土壌中の微生物によって腐植酸などへと分解されるので土壌改良の効果も期待できます。

■大苗の植えつけと肥料の特徴

年明けは、寒さが厳しい時期ですが、秋に購入した大苗の植えつけ適期です。植えつけ時に、植え穴に一緒に「寒肥(かんごえ)」を混ぜ込みます。寒肥は春先の芽吹きを良くするうえで大切な肥料です。土壌微生物により、分解されることで効き始める有機質の肥料がおもに使われます。

有機質の肥料が使われるのには理由があります。冬期は、気温が低く土壌微生物の活動は緩やかです。しかし、気温が高くなり、土壌微生物の活動が活発になると、有機質の分解が促進され、肥料分が充実していきます。肥料と同様、冬期に休眠しているバラは、気温の上昇とともに根や芽が動き始め、肥料吸収が盛んになります。そこで、あらかじめ土に混ぜ込んでいた寒肥がタイミングよく効いてくる、という仕組みです。

有機質肥料には、油粕のような植物質のものや、牛糞や馬糞といった動物質のものなどがあります。一般的に、植物質は臭いが少なく扱いやすいが効き目はゆっくり、動物質は効き目は比較的早いが臭いが気になる、とそれぞれメリット、デメリットがあります。

マイローズばらの天然有機肥料」は「米ぬか」と「おから」を主原料とし、そこに動物質をブレンドした複合型の有機肥料です。嫌な臭いも少なく、効き目も比較的早いため、寒肥だけでなく開花後のお礼肥(6月頃の施肥)にもおすすめです。

■春にそなえた冬剪定をしよう

1月は、春の開花に向けた「冬剪定」の時期です。秋バラは、開花後枝が伸び過ぎたり、樹形が乱れたりすることがあります。そこで枝を切り整える作業が冬剪定で、樹形を整えるのは、葉が落ちて休眠しているこの時期が適期です。また、冬剪定をせずにそのままにしておくと、毎年バラの枝が伸び続け、枝の先端にだけ花が咲くようになってしまいます。枝が多く混みすぎていると、株の中の日当りや風通しが悪くなり、病気や害虫も発生しやすくなります。

剪定するのは、枯れ枝や「ふところ枝」(内側に伸びそうな枝)、弱々しい細い枝などです。枯れ枝は、枯れた部分の少し下から切るのがコツです。また、枝をよく見てみると、ところどころに小さな赤い芽がついているのがわかります。萌芽前なので、まだほんの小さな膨らみ程度ですが、気温の上昇を感知するとさらに膨らんで新芽になります。

剪定時期は、できれば1月上旬を目途に、なるべく小さな芽が外側に向いている箇所(外芽)を残すように整えることで株が大きく広がります。鉛筆より太いかどうかを目安に、剪定した切り口には「トップジンМペースト」などの癒合殺菌剤を塗布しておくと、枯れ込み防止になります。同時に、太い枝に「バラシロカイガラムシ」が付着している場合があるので見かけたら削り取ってカイガラムシエアゾールなどを散布して退治します。

■カイガラムシは早めの対策を!

普段は葉が茂っていて気がつきにくいですが、剪定の時期に枝をよく観察すると、白い粒々に気がつきます。「バラシロカイガラムシ」という、バラにつく、白いロウ物質に覆われたカイガラムシです。
白いロウ物質を剥がした中にいるオレンジ色の虫が、本体になります。新苗にはあまりつきませんが、数年目で幹肌が荒れてくると、つきやすくなります。
カイガラムシは「アブラムシ」や「コナジラミ」、「カメムシ」などと同じカメムシ目の害虫で、ストロー状の口が特徴です。このストロー状の口を、植物に刺して汁を吸っています。アブラムシなどはちょこちょこ動き回りますが、多くのカイガラムシは足が退化していて、歩き回ることはほとんどありません(「コナカイガラムシ」のように一部は歩き回る種類もいます)。

バラシロカイガラムシも、枝や幹に付着したまま動きません。見かけたら、歯ブラシを利用すると簡単に削り取ることができます。カイガラムシは殻の中に卵を産むので、落ちたままにせずに必ず取り除いて処分しましょう。殻の中に卵が残っている場合があり、ふ化した直後のカイガラムシの幼虫は歩き回ることができるので、ふたたび幹を登ってくることがあります。

発生が少ない場合は削り取るだけで十分ですが、広範囲にいる場合は、カイガラムシ専用の殺虫剤「カイガラムシエアゾール」を枝や幹全体に散布して退治するのが便利です。
カイガラムシは、残したままにしておくと栄養を吸い取り植物を弱らせるだけでなく、排泄物にかびが生えることで葉が黒いすすで覆われたようになる「すす病」を誘発することもあります。見かけたら早めの対策を行うことが重要です。

■鉢の植え替えを忘れずに

鉢植えのバラは、少なくとも2~3年に一度は鉢の植え替えをしましょう。低花木のバラは、何十年もかけ成長し、年々株が大きくなります。植物の健全な成育には、光合成をするための葉を茂らせる地上部と、水や肥料を吸収する根がある地下部のバランスが重要です。
鉢に植えっぱなしにすると、地上部に比べ、年々地下部は窮屈になり、根詰まりや根腐れをおこしかねません。肥料や水を適切にあげていても、やがて株は弱ってしまいます。

そこで必要なのが鉢の植え替え作業で、適期はこの時期の休眠期です。鉢の植え替えは、以下の手順で行います。
まず鉢から株を抜き取ります。土が固くなって取りにくい場合は、鉢を回しながら側面を叩くと取りやすくなります。
次に土を落としていきますが、無理にほぐそうとすると根を傷めるおそれがあります。ホースで水をかけ流し、水圧で土を取り除くと根を傷めにくいです。その際、細かい根は手で取ってもかまいません。

こうして根を整理したら、今まで植えていた鉢か、できればひと回り大きい鉢に植え直しましょう。古い土には病原菌や害虫が残っている場合があります。植え直す際は、今まで使っていた土を再利用せずに、「マイローズばらの培養土」など新しいバラ専用の培養土を使います。
植え替えが完了したらすぐに水やりをしましょう。鉢底から流れ出るまでしっかりと与えます。その際、「マイローズばらの活力液」など活力剤を水に溶かして施すと根の活着が良くなります。

  • ■展着剤の使い方

    展着剤(てんちゃくざい)とは、水和剤や乳剤などを水に薄めて使用するときに一緒に加えて使用する薬剤のことです。
    ホームセンターや園芸店で販売している殺虫剤や殺菌剤の多くは、薄めずにそのまま使用できるスプレータイプやエアゾールタイプの製品が多くあります。これらの薬剤の多くはあらかじめ展着性を高める成分が入っているので、展着剤を使わなくても効果的に使用できます。
    いっぽう、生垣や広範囲の薬剤散布には、水で薄めて使用するタイプの乳剤や水和剤などを使うと効率的です。
    このとき、薬剤に展着剤を加えて使用すると、薬剤が葉の表面などに付着しやすくなり、より薬剤の効果を高めることができます。
    たとえば、ツバキのようなツルツルした葉に水をかけると、水は、はじかれてしまいます。それを避けるために散布液に展着剤を加えておくと、葉の表面に薬剤が付着しやすくなります。
    また、水と薬剤を混ざりやすくする効果もあります。薬剤の粒子が水の中で均一に分散し、沈殿も起こりにくくなります。
    展着剤の使用量は、たとえば「ダイン」の場合は、散布液1L当り0.1~0.3mlで、5~6滴程度を混ぜて使用します。

    ■水で薄める薬剤の希釈液のつくり方

    水で希釈して使う原液タイプの薬剤には乳剤・液剤・水和剤などがあります。水で薄めた散布液は取り置き保存ができないので、散布する分だけ量って用意し、使い切るようにします。希釈の手順は、以下の通りです。

    (1)希釈する水を用意します。
    (2)薬剤を混ぜる前に、展着剤を水に入れよく混ぜておきます。
    それぞれの薬剤によって希釈する倍率は異なります。薬剤の商品ラベルに記載されている適正な倍率を確かめ、適量を希釈する水に入れます。
    展着剤は割り箸や棒などを容器内の薬剤に浸けて、用意した水に適量を垂らして入れます。
    (3)次に薬剤を混ぜます。割り箸や棒などでかくはんして、よく混ぜます。希釈倍率が1000倍の場合は、水1L(1000ml)に対し薬剤1mlが適量です。
    (4)よく混ぜた希釈液を噴霧器やスプレーボトルなどに移して散布します。
      以上の作業は必ず手袋をして行います。

    殺虫剤と殺菌剤など2種類以上の薬剤を混ぜて使う場合は、「液剤」「乳剤」「水溶剤」など水に混ざりやすい薬剤を先に加え、「水和剤」「フロアブル剤」など水に混ざりにくい薬剤を後から加えてください。つくった散布液は植物全体に、葉の裏まで含めてまんべんなく散布します。ムラの無いようにしっかりと散布してください。
    住友化学園芸のこちらのページやYouTubeの公式「住友化学園芸チャンネル」で詳しい作り方を解説しています。

  • ■冬の室内はハダニが好む環境

    寒いこの時期、屋外では多くの植物が休眠し、害虫も寒さを乗り越えるために、越冬します。
    でも、屋内や温室で育てている植物は休むことなく生育し続け、害虫や病気も活動を続けます。そんな冬場の室内で活動が活発になるのがハダニです。
    ハダニはクモの仲間で、おしりにある突起から糸を出し、数が多くなると糸が絡んでクモの巣状になります。高温乾燥を好むので、冬の暖房が効いた室内は、まさに高温乾燥状態で、ハダニにとっては活動しやすい環境です。観葉植物やランなどの室内植物でも繁殖しやすくなります。逆にハダニは湿気を嫌うので、たまに葉水などして葉に湿気を与えるようにすると予防になります。
    ベニカXネクストスプレー」や「ベニカマイルドスプレー」などで手軽に退治できますが、本格的にハダニを退治するには「殺ダニ剤」というハダニの専門薬(「バロックフロアブル」「ダニ太郎」など)がおすすめです。

    ■コナカイガラムシにも注意!

    ポトスなどの葉が密集するタイプの観葉植物では、コナカイガラムシの被害が目立ちます。コナカイガラムシは白い粉状のものを身にまとったワラジムシ状の小さな虫です。排泄物がベタベタしていて「すす病」と呼ばれる黒いカビが葉の上で繁殖する原因にもなります。コナカイガラムシはカイガラムシ専用の殺虫剤「カイガラムシエアゾール」を吹きかけて退治しましょう。病気では「灰色かび病」という病気がシクラメンの鉢植えなどで出やすいです。発病初期は花弁に赤い斑点が出るので見かけたら花茎ごと取り除きましょう。灰色かび病の対策には「ベニカXガード粒剤」をあらかじめ株元にまいておくと予防できます。

    ■冬場の肥料やり、水やり、置き場所

    多肉植物やサボテンは基本的に一年中青々としていますが、気温が下がる冬場は生育が緩やかになる傾向があります。そのため肥料や水やりの頻度も冬場は少なめにして管理します。
    多肉植物やサボテンは、まったく水やりしないと萎んでしまうので、鉢土が全体的に乾いたら水やりしましょう。鉢皿に水を溜めておくと、かえって根腐れや凍結の原因になるので、冬場は乾かし気味に管理するのがお勧めです。
    施肥は基本的に不要ですが気になるようなら、葉面散布(葉から薄めた溶液で栄養を吸収させる)で肥料を施してください。液体肥料を薄めて葉面散布を行うほか、スプレータイプの容器に薬剤が入っていて、そのまま使える「MY PLANT すばやく元気を届けるミスト」が便利です。
    通常の肥料では、水やりのたびに溶け出す「MY PLANTS 長く丈夫に育てるタブレット」のような置き肥は、水やりを控えることで肥料も溶け出さなくなるので、そのまま残しておいて大丈夫です。
    多肉植物の場合、冬に休眠するタイプ(アガベ、アロエ、カランコエなど)と、夏に休眠するタイプ(アエオニウム、コノフィツム、リトープスなど)がありますので、冬に休眠するタイプについては、冬場の肥料・水やりはまったく不要です。

  • ■ジャガイモの植えつけ時に気をつけたい病気

    2月から3月にかけては、ジャガイモの植えつけシーズンです。
    食べきれないジャガイモを種イモ代わりに植えつける、という事はよく聞きます。ただ、食用ジャガイモはウイルスが原因の病気に感染して、生育が悪くなる場合があります。検査済の種イモを園芸店やホームセンターで購入して植えつけてください。
    種イモは1個の重さが50g前後の小ぶりのものなら、そのまま植えつけ、大きい場合は1片が50g前後になるようにカットすると植えつけやすくなります。切り口にはウイルスの感染を防ぐため、草木灰をつけるか、風通しのよい日陰において切り口が乾いてから植えつけましょう。
    また、可食部がデコボコ状になる「そうか病」は放線菌によるもので土壌感染します。
    植えつけ前に土に混ぜるだけで土の殺菌・消毒ができる土壌殺菌剤「石原フロンサイド粉剤」で被害を抑えることができます。

    ■大きなジャガイモを育てるには

    種イモからは複数の茎が伸びますが、すべての茎を残したままにしておくと、イモが大きく育ちません。効率よくイモを太らせるため、種イモ1個につき、芽を1~2個残してそれ以外は間引きます。
    植えつけ後、イモは伸びた茎の途中にできるので、生育に合わせて株元に土を盛っていきます。ジャガイモのイモは茎が肥大したもの(塊茎)なので、種イモより上につきます。これを地植えの場合は土寄せ、鉢植えの場合は増し土と言います。もちろんその間の施肥も忘れずに行いましょう。
    収穫時期は6月前後ですが、葉や茎が黄色くなったら収穫適期のサインです。雨で土が湿っている時に収穫するとイモが腐りやすくなるので、収穫は晴天が2~3日続いて土が乾いている時が最適です。特に新ジャガは皮が薄くて傷がつきやすく、湿った状態で放置すると傷口の湿気にカビが付着しやすく、またカビが付着して、そこに水分がある状態だとすぐに繁殖してしまいます。

    ■土の健康状態をチェック!

    植物を育てている土壌は肥料や水を貯える場所となります。その土中で根を伸ばして植物は育ちます。ところが長年同じ場所で植物を栽培していると土の化学的性質(土壌酸度)が変化してきます。植物の根から出る根酸や雨水などの影響で土の化学的性質は段々と酸性に傾いてきます(雨には空気中の二酸化炭素が溶け込んでいるので、雨水はもともと弱酸性です)。
    一般に植物の生育に適した土壌酸度は中性~弱酸性と言われています。極端に酸性やアルカリ性に傾くと植物が肥料を吸収しにくくなります。また特定の病原菌が増え、土壌環境が悪化します。
    いつも通り育てているのに、なぜか今年は元気に育たない、と思ったら土壌酸度に問題があるかもしれません。簡易的に測定できる土壌酸度測定液「アースチェック液」を使って植えつけ前の土の健康状態をチェックしましょう。
    ジャガイモの場合は「そうか病」対策としてpH5.5以下の酸性土壌が適しています。いっぽう、アブラナ科の野菜では、「根こぶ病」対策としてpH7.2以上のアルカリ性の土壌が適しています。このように、植物によって適した土壌酸度が異なる場合があるので、育てるときは、植物にそれぞれ適した土壌酸度を事前に知っておくことが大切です。

  • ■種類が多いアブラムシ

    害虫の代名詞にもなっているアブラムシは、ほとんどの植物につきます。
    アブラムシはセミの仲間で、口がストロー状になっていて植物の汁を吸う害虫です。カメムシ、カイガラムシ、コナジラミ、グンバイムシ、ヨコバイなども同じ仲間です。
    アブラムシは数多くの種類があり、バラだけに寄生するイバラヒゲナガアブラムシやバラミドリアブラムシ、雑草のセイタカアワダチソウにだけ寄生するセイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシという長い名前のついた種類もいます。
    綿花に寄生していたことからその名がついた。ワタアブラムシは、多くの草花や野菜だけでなく雑草にまで寄生するので家庭園芸でもやっかいなアブラムシの一種です。

    ■1匹でも増えるアブラムシ

    アブラムシの寿命は1か月程度ですが、繁殖力がとてもおう盛です。
    一匹のアブラムシのメスだけで、どんどん増えます。これを「単為生殖」といいます。しかも「卵胎生」といって卵をお腹の中でふ化させるので、幼虫の状態で生まれてきます。
    幼虫は一度に十数匹生まれることもあり、しかも温度条件が良いと、一週間程度で親虫にまで成長し、産卵を始めます。冬の寒い時期を除き、基本的には一年中このサイクルで増え続けます。
    バラの蕾や茎にびっしりとアブラムシが群れているのを見かけることがありますが、1か所で増えすぎると今度は翅の生えた幼虫が生まれ、新たな餌場を求めて飛び立つこともあるので、あっという間に広がっていきます。
    一般的にアブラムシは黄色やオレンジ色を好む習性があり、このような花色の草花はアブラムシがつきやすいといわれています。
    光を嫌う性質もあるので、この性質を利用してアブラムシを誘引する、黄色い粘着テープや忌避する銀色のマルチシートなどが販売されています。

    ■アブラムシの二次被害に注意!

    アブラムシは植物の汁液を吸うので、植物にとってはもちろん害虫ですが、アブラムシが汁を吸っても植物が枯れてしまうことはほとんどありません。アブラムシのやっかいなところは、二次被害が出ることにあります。
    ウイルスに感染した植物に寄生して、汁を吸うと、一緒にウイルスを吸い込んで、運ぶことがあります。そうすると、ほかの植物にウイルス病を媒介してしまいます。
    排泄物が葉に付着し、そこにカビが生えて真っ黒なすすに覆われたようになる「すす病」が発生することもよくあります。

    ■アリを見つけたら……

    また、排泄物には高濃度の糖分が含まれているので、アリが排泄物をなめるため植物に集まってくることがあります。植物の上をはい回っているアリを見たら、アブラムシが発生している可能性があります。
    このようにアブラムシは植物の汁を吸う害虫だけではなく、とにかく1匹でも見つけたら、すぐに増えてしまう可能性があるので、防除が必要です。
    苗の植えつけ時にあらかじめ土に撒いておくことでアブラムシ退治に効果を表す「ベニカXガード粒剤」や「家庭園芸用GFオルトラン粒剤」などを活用して、二次被害が出ないように、早めに防除することをお勧めします。

  • ■苗選びのコツ

    今月は気温が安定しており、植物の植えつけには最適なシーズンです。ペチュニアなどの草花や、トマト、ナス、キュウリといった夏野菜の植えつけも、梅雨入り前のタイミングで行っておきたい作業です。
    昔から「苗半作」という言葉があります。これは、作物の生育期の中でも、特に苗の時期がいかに大切かと言うことを表現した言葉です。
    良い苗を選ぶことは、植えつけ時に大切な事の一つです。
    ここでは、良い苗を見分けるコツをいくつかご紹介しましょう。
    草花の苗は、葉の色つやがよく蕾が多い、株元がしっかりした、茎がグラつかず、徒長していない苗を選ぶことが大切です。
    野菜苗は、茎の太さに注目します。店頭で苗をじっくり見比べて、茎が太く、節間が詰まっているものを選びます。また、子葉がしっかり残っているもの、葉の色は緑色が濃いものを選びましょう。

    ■植物の植えつけ時には病害虫対策を忘れずに

    さて、よい苗を選んでも虫や病気が出てしまっては元も子もありません。害虫が発生したり、病気が出たりしないように、植えつけ時の予防を行います。
    ベニカXガード粒剤」なら土にまくだけでトマトやミニトマト、花き類のアブラムシ、キュウリやナスの「うどんこ病」、花き類の「灰色かび病」など幅広い植物の病害虫を予防することができます。効き目はアブラムシの場合約1か月持続するので、生育初期の病害虫対策におすすめです。

    ■5月は「うどんこ病」に注意

    5月に相談が多いのはカビ(糸状菌)が原因の「うどんこ病」です。
    うどん粉をまぶしたように、葉が白いカビに覆われている様子から、「うどんこ病」と呼ばれています。
    葉の表面が白いカビに覆われると光合成が阻害されたり、葉から栄養を吸収できなくなるので、生育不良になり、花が咲かなくなることもあります。野菜では食味が低下する、果実が肥大しない、また枯死の被害が出ます。
    植物の病名は見た目で名づけられているものが多いですが、「うどんこ病」の種類は1つではなく、いくつもの種類が存在します。病名は「うどんこ病」でも、植物によって菌の種類が異なります。
    たとえば、バラの花首が真っ白になる「うどんこ病」はバラにしか発生しません。
    一方、キュウリの葉に広がる「うどんこ病」はカボチャにも発生しますが、同じウリ科のスイカには伝染しません。
    「うどんこ病」の原因菌はカビ(糸状菌)なので、カビが発生しやすい温度と、菌糸を伸ばして繁殖するための水分が必要となります。増えるときには風で胞子を飛ばす、という仕組みなので比較的乾燥した時期に発生しやすくなります。
    日中はからっと晴れて暖かく、夜は気温が下がり、夜露で葉が濡れるような初夏や秋口が「うどんこ病」の発病適期ということになります。防除には「ベニカXネクストスプレー」がおすすめです。

  • ■こまめに観察して、イチ早く害虫を見つけよう

    気温が安定している5月は、害虫が活発に動き出す時期です。
    まず、新芽にアブラムシがつき始め、次に冬眠していたコガネムシの幼虫が目を覚まして、植物の根をかじり始めます。
    アオムシ、ケムシなどの卵が孵り、幼虫による葉の食害が目立ってきます。このような害虫の被害が出る前に、気温が安定して植物が生育を始めたら、植物とその周辺をよく観察しましょう。
    新芽にアブラムシがついていたら、濡れたティッシュなどで拭き取ります。葉裏にチャドクガ、ヨトウムシ、カメムシなどの卵の塊を見つけたら葉ごと剪定します。

    ■「テデトール」が一番リーズナブルな退治方法だけど……

    植えつけやタネまきで土を耕したり、鉢土をひっくり返したりするときは、土の中をよく観察して、コガネムシやガの幼虫を見つけたら、つまんで取りましょう。
    通称、この作業をテデトール(手で取る)と言っています。最もリーズナブルな害虫対策です。
    素手で取るのが嫌な場合は、園芸用の手袋をして取りましょう。でも虫を手で取るのはちょっと気持ち悪い、数が多過ぎる、といった場合は、土にまくだけの「オルトラン粒剤」や、そのまま葉にスプレーするだけのベニカXファインスプレーなど、手軽に入手できる殺虫剤を使用すると便利です。
    害虫対策は早期発見、早期退治が最も効果的ですので、この時期はぜひ、植物こまめに観察して、害虫から守ってください。

    ■病気の予防はカビ対策

    植物が病気になる場合、原因となる病原菌は糸状菌(カビ)、細菌(バクテリア)、放線菌、ウイルスなどさまざまです。中でもうどんこ病、黒星病など植物の主な病気の原因菌は糸状菌と呼ばれるカビです。
    6月に入ると本州以南では梅雨に入ります。その前後の時期は植物にとってカビ=病気が最も出やすい季節です。

    ■3つの対策で植物を守る

    植物の病気予防の考え方として、カビが生えにくい環境を整えることが大切です。
    ここでは3つの対策に絞って紹介します。
    1番目は日当りのよい場所で育てることです。植物は光合成をして栄養を貯えるため、植物を元気に育てて、病気に強い株に育てます。
    次に、風通しがよい環境も必要です。空気が滞留しているとカビの胞子が葉に付着しやすくなります。混みあった葉や枝は適度に剪定して風通しをよくしましょう。
    そして3つ目が土の水分バランスに注意することです。特に鉢植えの場合、水のやり過ぎに注意しましょう。
    水やりに気を遣いすぎて、鉢土が常に湿った状態になる場合が、ときどき見られます。
    常に湿っている環境はカビ=病気の発生の可能性が高くなります。鉢植えの水やりは、必ず鉢土の表面が乾いてから行うようにしましょう。
    これらの対策のほかに、「ベニカXガード粒剤」や「STダコニール1000」など病気に予防効果がある殺菌剤をあらかじめ散布しておくと、より効果的に病気の発生を予防することができます。

  • ■ガーデナーを悩ます「草むしり」
    雑草は根を残さないように取り除きましょう

    草花や野菜の生育が盛んになる初夏は、雑草の生育も盛んです。春先に家の周囲や隙間で見かけた小さな雑草も気がつくと草丈が伸びています。初夏に繁茂する雑草は、ササ、ドクダミ、スギナ、セイタカアワダチソウなどがあります。
    雑草の対策には以下の三つの方法があります。
    ①手で抜き取る 
    ②鎌(道具)で刈り取る 
    ③除草剤で退治する
    ①の手で抜き取る、②の鎌(道具)で刈り取る場合は、雑草の根を残さないように取り除くのがポイントです。
    雑草の多くは、地上部の葉を刈り取っただけでは不十分です。新芽が出て、すぐに伸びてしまうからです。葉を刈り取るだけはなく、土を掘り起こして根までしっかり抜き取りましょう。
    ただし、夏は日差しが強く、屋外で長時間の作業をすると熱中症が心配です。こまめな水分補給、休憩をとりながら無理をせず作業を行いましょう。

    ■雑草対策に除草剤も使ってみましょう

    除草剤のしくみは、植物の生理機能である光合成や植物ホルモン作用、アミノ酸生合成などの作用を阻害することで植物を枯らします。
    意外かもしれませんが、実は人間を含めペットなどの動物への安全性は高いのです。植物にとって影響が大きいものでも人間(動物)にとっては影響の少ないものを除草剤として利用しています。
    除草剤は雑草を枯らした後は分解するので、土壌に残り続けません。除草剤として重要なポイントです。
    散布液がかかった雑草だけを枯れさせ、土に落ちると自然物に分解するアミノ酸系除草成分を使用した「グリーンスキットシャワー」は果樹・庭木の下や花壇周りにも使用でき、ガーデニングでも使いやすい除草剤です。
    除草剤を散布するときは、枯らしたくない植物の茎葉にはかからないように注意して作業しましょう。

    ■除草剤にはいろいろな種類があります

    「除草剤」はどんな植物でも枯らすイメージがあるかもしれませんが、「選択性」といって特定の植物のみ枯らすことができる除草剤があります。
    選択性の除草剤には、イネ科の稲や芝は枯らさずにそのほかの雑草を枯らす水田用や芝生用のタイプがあります。
    また、雑草の茎葉だけから吸収させて枯らすことのできるタイプや、土壌表層にのみ留まる土にまくタイプなどがあります。これらは作用させる部位の選択性によって庭木や果樹の周りで使える除草剤として利用されます。
    除草剤が雑草を枯らす方法は、大きく分けて三つあります。
    一つめは、すでに伸びた雑草の葉に直接散布して枯らす「茎葉処理剤」です。大きく伸びた雑草をすぐに枯らしたい場合に有効です。ただし、一度枯らした後は効果が持続しないので、地面に落ちたこぼれダネや根が残っている場合はすぐに雑草が伸び始めます。
    二つめは、「土壌処理剤」です。まだ雑草が芽を出さないうちに、あるいは少し伸びてきているときに土壌に散布して、土壌表層にある除草剤で雑草のタネの発芽や根の伸長を抑えます。液体の除草剤のほかに固形のタイプもあります。
    効き目はゆっくりですが、数か月程度、除草効果が持続するので、自宅の駐車場や玄関までのアプローチなど、雑草を生やしたくない場所で使うと効果的です。
    三つめは、この二つの性質をあわせ持つ「茎葉兼土壌処理剤」です。おもに液体の除草剤です。茎葉から吸収し、かつ土壌にも残る成分で、すぐに枯らして長く効くのが特徴です。
    家庭園芸用では「草退治メガロングシャワーGT」「草退治メガロングFL」などがあります。

  • ■夏の水やり

    暑い日が続く夏は、人間が暑さで「夏バテ」するように、植物も「夏バテ」することがあります。
    草花や野菜などの園芸植物は平均すると、その植物体の90%は水分と言われています。高温乾燥になりやすいこの時期、植物は水不足でしおれてしまうことがあります。すぐに水をやればシャキッと回復しますが、しおれ過ぎて、回復できるギリギリ(専門用語では「永久萎凋点(えいきゅういちょうてん)」といいます)を超えると、再び成長することはできません。
    鉢植え、プランターで極端な乾燥と湿潤を繰り返すと、土が固くなってひび割れを起こします。いわゆる「水みち」ができてしまいます。
    鉢底から流れ出るぐらいたっぷりと水やりをしたつもりでも、鉢土のひび割れ部分が「水みち」になり、そこだけに水が流れて、鉢土全体に水分が十分行きわたらないために、植物が枯れてしまうこともあります。
    水みち対策にはモイスト成分の働きで、使うたびに土壌の浸透性を改善し、保水性をアップする機能性をプラスした液体肥料「マイガーデン液体肥料」を使用(草花や観葉植物、花木、果樹には1週間に1回、サボテンや多肉植物は2週間に1回を目安に施します。)し、鉢土の環境を整えましょう。

    ■庭周辺の害虫対策

    夏は少しでも涼しく過ごす工夫が必要です。アサガオやゴーヤをベランダで育てて、緑のカーテンで日よけを作るのもよいでしょう。朝夕の涼しい時間帯には窓を開けて換気をするのもおすすめです。ただし窓を開けると、屋内に侵入する虫がいるので網戸を忘れずに。
    それでも蚊、カメムシ、ムカデなどの不快な害虫は、すき間を見つけて家の中に入り込む場合があります。蚊は庭やベランダのちょっとした水溜まりでも繁殖できるので、水やりの際はバケツや鉢皿に水が溜まらないよう気をつけましょう。
    庭仕事をするときは「ヤブ蚊・マダニスプレー」を地面にまいて、しっかりと蚊よけをしておくと、より快適に作業ができます。
    カメムシは発生場所によって対処薬剤が異なるので注意しましょう。エダマメにびっしりつく「マルカメムシ」、ピーマンなどナス科作物につく「ホオズキカメムシ」、ウメやミカンなど果樹につく「チャバネアオカメムシ」、キクにつく「コアオカスミカメ」などは作物保護の目的で使用する農薬で退治しましょう。
    カメムシに効果があり、対象作物としてエダマメ、ピーマン、ウメ、ミカン、キクなどで使える「ベニカ水溶剤」がおすすめです。一方、網戸に付いたり、室内に侵入したりするカメムシは手で払いのけると嫌なニオイを出すので「カメムシエアゾール」など不快害虫用の殺虫剤で早めに退治しましょう。
    都会ではあまり見かけませんが、山林などの近くにある家では、ムカデが侵入することがあります。ムカデは湿気を好むので濡れたぞうきんや段ボールが庭に放置されていると潜り込んでいることがあります。
    ムカデが室内に侵入するのを防ぐには「ムカデ粉剤」を家の基礎石のまわりをぐるっと囲むように散布しておくと効果的です。

  • ■肥料が足りない場合

    植物の生育に欠かせない肥料成分の1つであるカルシウムが不足すると、たとえばトマトでは実の先端が腐ってしまう「尻腐れ症」が発生します。
    コンクリートブロックで囲まれたツツジなどの街路樹は、コンクリートが雨で浸食される過程でアルカリ分が溶け出します。このため、土壌pHがアルカリに傾き、鉄分の吸収が阻害されます。新葉の色が抜けたようになる鉄欠乏の症状が出る場合があります。
    バラにも多く見られる症状の1つで、気温の高い日が続き乾燥し過ぎたり、逆に長雨で湿り過ぎたりを繰り返し、根の活力が低下すると、鉄欠乏の症状が現れやすくなります。
    雨風なども極端な場合は植物の生育に悪影響を及ぼすことがあります。

    ■光合成を阻害する要因

    長雨により日照不足が続くと植物は光合成が十分に行えず、生育不良となります。逆に直射日光に当たり過ぎると、葉焼けを起こす場合もあります。
    台風で葉が落ち、あるいは強風で葉が擦れて傷んでしまう場合も光合成が行えなくなります。特に台風の場合、海に近い場所では海水を巻き上げて降り注ぐことによる塩害で葉が一晩で枯れてしまうこともあります。

    いま見てきたとおり、生理障害への対策として、日当りの確保、適切な水やり、肥料やり、植物の生育に適した土壌など、植物の育ちやすい栽培環境を整えることです。特に土壌環境は目で見てチェックするのが難しいので、「生育が思わしくないな」という時は土壌pHを測定する試薬「アースチェック液」で土壌の健康チェックをしてみましょう。

    ■夏の終わりはチャドクガに注意

    暑さが残る9月は、肌を露出してガーデニング作業をされる方も多いかと思いますが、
    この時期、人も植物も被害に気をつけたいのがチャドクガ(茶毒蛾)です。
    名前の通り、茶葉を食害するチョウ目害虫で毒毛のある「ガ」の幼虫(毛虫)です。春と秋、年2回発生します。チャ(茶)と同じ科のツバキやサザンカの生垣などに多く見られます。
    小さいうちは群棲していて、大きくなるにしたがって分散していきます。退治するなら群棲している時に葉ごと剪定して取り除くのがよいです。
    この時、チャドクガの毒毛に注意してください。毒毛は抜け落ちやすいため、チャドクガの生息地に近づいただけでも飛散した毒毛に触れ、知らないうちにカブレる場合もあります。
    チャドクガを取り除くために近づいて剪定する際は、長袖の作業服、ゴム手袋を着用して行いましょう。
    近づいて行う作業が難しい場合は「ベニカJスプレー」のような庭木のケムシの専門薬で退治することをおすすめします。
    「ベニカJスプレー」は、庭木用に散布液が遠くまで飛ぶタイプのスプレー剤なので離れた場所からでもチャドクガの駆除ができます。そして万が一毒毛が刺さってしまった場合ですが、絶対にかかないように注意してください。毒毛がさらに皮膚に食い込んでしまう場合があります。すみやかに皮膚科を受診してください。

  • ■秋植え球根の植えつけは、向きと深さがポイント

    10~11月は秋植え球根の植え時です。日本で秋植え球根といわれる種類は、主に地中海地方やヨーロッパなどが原産地で、耐寒性のある種類です。このタイプの球根は、秋に植えつけて冬の寒さを土の中で過ごし、春に暖かくなると発芽して開花し、夏の高温時には休眠する生育サイクルです。
    秋植え球根の代表はチューリップ。このほかにスイセン、ユリ、クロッカス(春咲き種)、ヒヤシンス、ムスカリ、ラナンキュラスなど数多くあります。
    球根を上手に咲かせるコツを紹介しましょう。それは、植えつける向きと深さを考えて植えつけることです。
    たとえばチューリップの場合、球根の尖がっている(芽が出る)方を上に、根が出る方を下になるようにしてみましょう。さらに開花した時に花の向きが揃うように、球根の前後も揃えましょう。チューリップの球根はよく見ると膨らんでいる側と平らな側があります。この向きで揃えて植えつけると、花の向きが揃い見栄えがよくなります。
    植えつけの深さは、地植えの場合、一般に球根の高さの2~3倍が目安といわれています。たとえば球根の高さが3㎝なら、9~12㎝の穴を掘って、そこに球根を植えつけ、球根の上に6~9㎝の土を被せるのが目安です。
    ただし寒冷地ではそれよりやや深めに植えつけた方がいいでしょう。鉢植えの場合は、根の生育空間を確保するために、地植えよりはやや浅めに植えつけるのがコツです。3㎝の球根なら、6㎝の穴を掘って球根を植えつけ、球根の上に3㎝の土を被せます。ただし、クロッカスは土から頭が出るぐらい浅めに植えます。またユリは球根の下(下根)だけでなく上(上根)からも根が出るので10㎝ほど深植えにします。
    植えつけた後の管理は、鉢植えの場合は土が乾いたら水やりをします。肥料は基本的に不要です。肥料を多く施すと、葉が茂り過ぎて花が目立たなくなってしまい見栄えが悪くなるので注意しましょう。球根は植えつけたら、水やり以外は、春まで手をかけない管理で大丈夫です。

    ■球根の消毒

    球根の生産農家では病気に感染していない球根を選んで出荷しているので、その年に販売店で購入した球根をすぐに植えつけるのであれば、病気を気にする必要はありません。ただし、前年に掘り起こした球根を植えつける場合や、まれに購入直後の球根であっても病気に感染している場合があるので、植えつけ前の球根の消毒をおすすめします。
    また、植えつける用土に病原菌が残っている可能性があるので、「石原フロンサイド粉剤」などを使って事前に土壌消毒をしておくと安心です。
    消毒の方法は、チューリップの球根腐敗病対策には、植えつけ前に殺菌剤の「GFベンレート水和剤」をビニールの袋などに入れて球根にまぶしたり、水で薄めた液に漬けこんだりして消毒します(目安:水1Lに対して「GFベンレート水和剤」を2g溶かします)。
    ユリの腐敗病、アイリスやチューリップの青かび病の対策には「サンケイオーソサイド水和剤80」を水で薄めた液に漬け込んで消毒しましょう(目安:水1Lに対して「サンケイオーソサイド水和剤80」を1g溶かします)。
    チューリップの葉腐病、条斑病、微斑モザイク病、ユリの茎腐症の対策には、植えつけ前に殺菌剤の「石原フロンサイド粉剤」を土に混ぜ込んで消毒しておくと安心です(目安:1㎡に対し「石原フロンサイド粉剤」40gを混ぜます)。

  • ■11月頃から、落葉樹の剪定作業を始めましょう

    秋も深まるこの季節、落葉樹は葉を落とし始めます。枝だけになったバラや庭木を見ると、余計な枝や伸びきった枝が気になりませんか? そう、秋は落葉樹の剪定シーズンなのです。
    剪定とは、枯れた枝や不要な枝、伸びすぎた枝を切り戻して、樹形のバランスを保つ作業のことです。バラに代表されるような落葉樹は、おもに落葉時に、マツ、スギなど生垣にも使われる常緑樹では、おもに春先の新芽が伸びる前に行います。
    ツバキやアジサイといった花木の場合は、花芽ができる時期や位置は植物ごとに異なるので、剪定の適期も、植物の生育サイクルに合わせて剪定を行います。

    ■剪定バサミのアレコレ 消毒も忘れずに

    剪定には、専用のハサミを使用します。園芸店やホームセンターで売られている剪定バサミには「バイパスタイプ」と「アンビルタイプ」の2種類があります。
    「バイパスタイプ」は刃先がカーブしていて、受け刃と切り刃があり、それを交差させて切る仕組みになっています。
    切り口がきれいになり、生木を切るのに適しているので、バラや果樹などの剪定におすすめです。
    「アンビルタイプ」は刃先が直線的で、受け刃と切り刃がありますが、受け刃には刃が無く、まな板のような役割をします。「バイパスタイプ」に比べて、あまり力を入れずに切れるので比較的太い枝や固い枯れた枝を切るのに適しています。
    病気にかかった植物の枝葉を切った剪定バサミをそのまま使用すると、病原菌がハサミを媒介して、他の植物に感染させてしまう可能性があります。
    剪定バサミを使用する前に「レンテミン液剤」で消毒(原液で使用し、手指・器具を薬液に数秒浸し、濡れた状態で使用)すると病原菌の感染が防げます。

    ■剪定後の切りっ放しは病気の原因に。

    ひと通り剪定を終えたあとは、剪定した枝の切り口に注目してください。
    一般的に、鉛筆よりも細い小枝は切りっ放しでも問題ありませんが、鉛筆よりも太い枝を切った場合は切り口から病原菌が侵入し枝が枯れることがあります。
    枝枯れを防ぐには剪定した枝の切り口に「トップジンMペースト」を塗っておきましょう。
    「トップジンMペースト」はペースト状の塗るタイプの殺菌剤です。庭木や果樹の剪定した枝の切口を塗り固めることで病原菌の侵入を防ぐ効果があります。

  • ■多肉植物やサボテン類の管理

    多肉植物やサボテン類は草花と比べると、施肥や水やりの手間も少ないので管理はラクだと思われがち。でも、まったく手間がかからない植物ではありません。元気に育てるには栽培のコツがあります。
    まずは水やりについて。特にサボテン類は砂漠や乾燥地帯が原産のものが多く、水やりはあまり必要ない印象があります。
    砂漠には雨季と乾季があるように、サボテン類も鉢土が乾燥していれば水やりが必要です。水量は鉢底から水が流れるまで。冬季の水やりの頻度は、鉢土の乾燥によって異なりますが、3週間に1回程度が目安です。
    多肉植物やサボテン類には、頻繁な施肥の必要はありません。肥料を施すなら、長くじっくり効く置き肥が適しています。 タブレット型の置き肥「MY PLANTS 長く丈夫に育てるタブレット」や肥料を葉面散布できるスプレー「MY PLANTS すばやく元気を届けるミスト」などで少し補給してあげると生育が良くなります。
    また栽培の年数が経つとコナカイガラムシやハダニが発生することもありますので、害虫を見つけしだい、「MY PLANTS 虫からやさしく守るミスト」など速効性の殺虫剤で退治します。

    ■室内での観葉植物の置き場所と重要な日当りについて

    室内で観葉植物を楽しみたいと思ったとき、みなさんはどんな場所に飾りますか? 
    キッチンカウンター、テーブル、玄関など色々な場所があると思いますが、大切なことは、植物の生育に必要な日照量です。これは観葉植物、それぞれに異なります。
    たとえばサボテンや多肉植物の多くは砂漠といった日光を遮ることのない開けた場所で、充分な日光の下で成長します。室内で育てる場合も窓辺など、日当りが良く、日光をたくさん取り込める場所が適しています。
    パキラ、ガジュマル、ウンベラータなどは、レースのカーテン越し以上の日照量が必要です。一方でサンセベリア、スパティフィラム、ポトスなどは、部屋の中でもあまり日光が届かないような場所でも生育できます。 このようにそれぞれの種類によって、必要な日照量にかなり幅があるので、室内で観葉植物を楽しむときは、水やり、肥料やり、病害虫対策に加え、日当りを考慮した置き場所にも気を付けることがポイントです。
    また、室内特有の事情に、葉にホコリが溜まりやすくなる事が挙げられます。葉についたホコリを取るには、葉面洗浄剤「MY PLANTS 葉をきれいにするミスト」が便利です。葉の汚れを落としツヤを与えて、葉を美しく保ちます。

  • ■希釈液をつくる前に。展着剤の役割と使い方を覚えましょう。

    乳剤や水和剤などの水で薄めて使うタイプの殺虫剤、殺菌剤を使用する際には、必ず展着剤を加えて希釈液をつくります。

    展着剤の働きは主に以下の2つです。
    (1)葉に薬剤を付着させる
    たとえば、ツバキのようにツルツルした葉に水をかけると、水は、はじかれ、そのまま葉先から流れ落ちます。そのため、薬剤散布の際、散布液に展着剤を加えておくと、葉の表面に薬剤が付きやすくなり、葉から薬剤が流れにくくなります。

    (2)水と薬剤を混ざりやすくする
    水和剤は水に溶けないので、よくかき混ぜたつもりでも薬剤が水の中で均一になっていない場合があります。希釈液をしばらく放置すると薬剤の粒子が沈殿します。
    展着剤を加えることで薬剤の粒子が水の中で均一に分散し、沈殿が起こりにくくなります。 展着剤の使用量は、たとえば展着剤「ダイン」の場合は、散布液1Lあたり0.1~0.3mlで、約5~6滴程度です。

    ■水で薄める薬剤の希釈液のつくり方

    薬剤にはスプレー剤やエアゾール剤など、そのまま使用できる薬剤もありますが、乳剤、液剤、水和剤といった薬剤は水で薄めて希釈液を作る必要があります。
    調剤の容器に汚れやごみがついていると、散布器具の詰まりや故障になる場合もあるので、清潔なものを使用してください。希釈液の正しい薄め方の手順は、以下の通りです。

    (1)希釈する水を用意します。
    水で薄めた散布液は取り置き保存ができないので、散布する分だけ量って用意し、使いきるようにします。

    (2)薬剤を混ぜる前に、展着剤を水に入れよく混ぜておきます。

    (3)次に薬剤を混ぜます。それぞれの薬剤によって希釈する倍率が異なるので、商品ラベルに記載されている適正な倍率を確認してから、適量を水に入れて、かくはん棒でよく混ぜます。希釈倍率が1000倍の場合は、水1Lに対し薬液1mlが適量です。

    (4)よく混ぜた希釈液を噴霧器やスプレーボトルなどに移したら、完成です。

    もし殺虫剤と殺菌剤など2種類以上の薬剤を混ぜて使いたい時は、「液剤」「乳剤」「水溶剤」などの水に混ざりやすい薬剤を先に加え、「水和剤」「フロアブル剤」など水に混ざりにくい薬剤を後から加えてください。剤型の区分は、スミチオン乳剤ベンレート水和剤など商品名や、農薬登録番号が記載されている近くに剤型表記が記載されています(例:STダコニール1000<フロアブル剤>)。
    つくった散布液は植物全体に葉裏まで含めてまんべんなく散布むらがないように、しっかりと散布してください。

  • ■観葉植物に付くハダニに注意!

    ハダニは昆虫ではなく、クモに近い仲間で、よく見かけるカンザワハダニやナミハダニなど成虫でも体長が0.5mm程しか成長しません。
    高温乾燥を好むハダニは、屋外では梅雨明けから9月頃にかけての夏場に、繁殖が旺盛になり、植物の被害も増えます。冬でも暖房が効いて暖かく乾燥している屋内では、増殖する可能性があり、観葉植物を育てている場合は要注意です。
    特にハダニが寄生しやすい観葉植物にはゴムの木やシェフレラがあります。
    ハダニは、おもに植物の葉裏に寄生して汁を吸います。数が少ないうちは、葉の表面から見るだけでは見つけにくいですが、ハダニの数が多くなってくると、吸われた部分の葉緑素が抜けて、針先で突いたような白い小斑点が生じます。この時点でようやく被害に気がつくことが多いです。
    被害が進行するにつれて白くカスリ状になって葉色は悪くなり、草花や野菜では落葉して枯れることもあります。被害にあった庭木は、枯れることはありませんが、生育が悪くなり、やがてクモの巣状の糸で覆われて美観が損なわれます。
    水に弱いため、ときどき霧吹きで葉の表裏に水をかけると、寄生数を減らすことができますが(この作業を葉水といいます)、屋内や雨の当たらない軒下などに置いている植物は、被害の進行が速いので、葉水だけでは防げません。
    薬剤を使用して退治する場合は、ハダニの専門薬「バロックフロアブル」がおすすめです。応急処置的に使用する場合は「ベニカXファインスプレー」もおすすめです。

    ■低温で湿度が高いと発生しやすい灰色かび病

    灰色かび病は名前のとおり、灰色の「かび」で覆われる病気です。花弁に水滴がにじんだような跡がつき、白い花では赤い斑点、色のついた花では白い斑点が多数生じます。病気が進行すると花が褐色に変色して腐り、やがて灰色のかびに覆われます。
    灰色かび病は寄生範囲が広く、ほとんどの植物で発生します。植物が生きていても枯れていても増殖することのできるとても厄介な病気です。
    気温がやや低く、雨が多くて湿度の高い時期、また、日照が不足しがちな時期に発生が増えます。屋外では春の初めから梅雨の時期、秋の初めから冬の初め頃に注意が必要です。
    冬に、日があまり当たらない部屋や玄関などで育てていると、低温多湿になりやすいので、灰色かび病が発生しやすく、屋内で育てているシクラメンやプリムラに多く病状が見られます。水のやり過ぎに注意し、なるべく風通しを良くして管理しましょう。
    病原菌は害虫の食害痕やしおれた花弁、チッ素過多により軟弱に育った植物組織などから侵入するので害虫を防除したり、咲き終わった花をこまめに摘み取ったり、肥培管理を適切にすることでも予防できます。害虫の被害を防ぐ薬剤を使用する場合は、「ベニカXファインスプレー」がおすすめです。

  • ■本格的シーズンの前に、土の健康状態(土壌酸度)をチェック!

    花や野菜の苗を植えつける際、土に肥料を混ぜて、日当りも良く、水やりもいつもの通りなのに何だか生育が良くない、ということがありませんか? そんなときは土に原因があるかもしれません。
    長年同じ場所で植物を栽培していると、土の化学的性質(土壌酸度)が変化していくことはご存知でしょうか。
    植物の根から出る根酸(こんさん)や雨水の影響で、土の中は徐々に酸性になっていきます(雨水は、雨が降る時に空気中の二酸化炭素が溶け込むので、元々弱酸性です)。
    植物の生育には中性から弱酸性が適していますが、酸性が強くなってくると肥料の吸収が阻害されやすくなり、特定の病原菌が増えるなど土の環境が悪くなります。また、コンクリートブロックで囲まれた街路樹のツツジは、土壌のpHがアルカリに傾くことで、鉄分の吸収が阻害され、新葉が黄色くなる生理障害を起こしやすくなります。
    環境に気をつけて、しっかり育てているのに、生育が良くないなと思ったら、土の状態を簡易的に測定できる、土壌酸度測定液「アースチェック液」で植つけ前の土の健康状態をチェックしましょう。
    もし、土が酸性に傾いていたら石灰などのアルカリ資材を加えることで調整できます。アルカリ土壌を酸性にするには、「ピートモス」などの改良用土や酸性肥料を土に入れて、調整します。

    ■土壌に潜む病原菌にも注意!

    春先の比較的低温で雨が続くようなときに「菌核病(きんかくびょう)」が多発します。「菌核病」はキャベツで発生しやすい病気の1つで、おもに茎に発生し、フリージアやストックといった草花にも症状が現れます。
    茎の枝分かれしている部分から発生することが多く、水浸(すいしん)状の病斑が拡大して茎を取り巻くようになると、病斑部から上の茎葉はしおれて枯れてしまいます。さらに症状が進むと、病斑部は褐色から黒色に変色し、やがて白い綿状のカビに覆われ、最後は黒いネズミの糞状の菌核が形成されます。
    キュウリやナスでは果実にも発生し、果実ではがくの付近に発生することが多く、病斑部の症状は茎の場合と同じです。
    3~5月と9~11月頃の気温が20℃を下回る時期や、雨が続くような比較的低温で多湿のときに多発します。
    病原菌は地面に落ちた菌核で越年します。菌核の種類にもよりますが、キャベツの「菌核病」の場合は、土壌中での寿命は 2~3 年といわれています。菌核は土の中で長期間生きるので、発生した場所では連作を行わないようにします。天地返しをして土中深くに病原菌を埋めるのも有効です。
    薬剤を使用する場合は、キャベツの場合、土に混ぜ込むだけで病気を予防する「フロンサイド粉剤」や直接キャベツの葉に散布する「ベニカ X ネクストスプレー」、ストックの菌核病には「家庭園芸用トップジンMゾル」がおすすめです。

  • ■アブラムシは病気を運ぶ!

    アブラムシはセミの仲間で、花壇のパンジー、ビオラやペチュニア、畑ではソラマメや菜の花、キュウリなど、果樹ではウメやミカン、花木ではバラなど、さまざまな植物の汁を吸う害虫です。
    繁殖力が旺盛で、メスが一匹いればどんどん増えてしまう「単為生殖」の虫です。アブラムシは植物の汁を吸うだけではなく、二次被害も起こします。
    吸汁の際にウイルス病を媒介し、排泄物が葉に付着し、そこにカビが生えて真っ黒なすすに覆われたようになる「すす病」を誘発します。また高濃度の糖分が含まれている排泄物によって、アリがその排泄物を舐めるために寄ってきます。
    しっかりとアブラムシを防除することで、二次被害は防げます。ちなみに、アブラムシの好きな色は黄色です。アブラムシが付きやすい植物には黄色い花が咲くものが多く、この性質を利用して、黄色い粘着テープなどを畑の隅にひらひらさせておくと、アブラムシが付着するので、発生をいち早く知ることができます。
    防除には、土にまくだけで発生前の予防が1か月続く「ベニカXガード粒剤」がおすすめです。
    また、発見したら繰り返し何度でも使用できる天然成分の「ベニカナチュラルスプレー」も有効です。

    ■うどんこ病―白いカビに覆われる病気

    うどんこ病の原因菌はカビ(糸状菌)なので、ある程度の温度と、菌糸を伸ばして繁殖するための水分が必要です。風で胞子を飛ばして繁殖するので、比較的乾燥した時期に発生しやすくなります。つまり、日中はカラっと晴れて暖かく、夜は気温が下がり、夜露で葉が濡れるような初夏や秋の初め頃がうどんこ病の発病適期となります。
    うどんこ病は、最初、うすい白いカビのような斑点ができて、その後、カビは全面に広がり、白いうどん粉をまぶしたような状態になります。
    そのまま放置しておくと、繁殖した部分は光合成を十分に行えないため、葉が枯れ、繁殖した菌が他の植物に移って被害が拡大していきます。早期発見と予防対策が大切です。
    予防対策には、あらゆる植物に何回でも使用できる特定防除資材「ピュアベニカ」がおすすめです。
    「ピュアベニカ」はうどんこ病だけでなく、アブラムシ、ハダニ、コナジラミの予防と退治、ナメクジやハスモンヨトウに対する忌避効果もあります。

  • ■5月の病害虫対策は予防散布と早めの対処がポイント

    4月の本州以南は、まだまだ朝晩の気温が低くなり、冷え込むこともありますが、5月になると気温も安定し、一日を通して暖かくなります。5月は旧暦で「さつき」、漢字で書くと皐月ですが、早月とも書きます。早苗(さなえ)を植える月と言う意味といわれ、バラの新苗の植えつけにも適したシーズンです。

    一方、この時期、同時に害虫や病気が起こりやすくなります。
    バラの害虫の代表格では植物の汁を吸う「アブラムシ」、病気では葉が粉を吹いたように白くなる「うどんこ病」があります。いずれも発生が多くなるとバラの生育に著しく悪影響を与えます。病害虫防除は発生前の予防が一番ですが、アブラムシやうどんこ病は発生初期の段階であれば十分退治できますので、この時期はバラの花だけでなく株全体をよく観察して、虫や病気を少しでも見かけたら早めに対処しましょう。
    一般的には害虫には殺虫剤を、病気には殺菌剤を散布しますが、家庭園芸向けには、殺虫成分と殺菌成分を1 つにした殺虫殺菌剤が手軽で便利です。
    代表的な殺虫殺菌剤にはスプレータイプの「ベニカXファインスプレー」、粒タイプの「ベニカXガード粒剤」などがおすすめです。
    いずれも効果が持続するタイプなので、毎年バラを育てている方なら、いつもの病害虫が発生する時期になる前に予防で散布しておくことで病害虫によるダメージを最小限に抑えることができます。
    バラの病害虫防除でスプレー剤を散布する際は、朝夕の涼しい時間帯で風の無い時に、葉の裏表、株全体に葉先から滴る程度しっかりと散布します。
    粒剤は株元にバラまいて使います。いずれの場合も、ラベルに作物ごとに効果のある病害虫、使用時期などが記載されていますので、使用の際はラベルをよく読んで正しくお使いください。

    ■バラの開花時期や花後剪定の後には追肥を忘れずに

    植物は、光合成によってエネルギーを糖に変換して貯えますが、植物体を構成するタンパク質、アミノ酸、各種酵素などを作り出すには肥料成分が欠かせません。
    主な肥料成分はチッ素、リン酸、カリなどの元素。チッ素以外は鉱物質(ミネラル分)で、土壌にある程度含まれています。そのため、地植えの場合は肥料を施さなくても植物はある程度育つ場合があります。
    一方で鉢植えの場合は、土の量が鉢のサイズに限られるので、植物が大きく育つに従って、鉢土に含まれる肥料分だけではどうしても足りなくなります。この時期、バラの新苗を植えつけて、株が大きくなってきたら肥料を追加しましょう。これを「追肥」といいます。もちろん地植えの場合でも、株が大きくなってきたら追肥が必要です。
    追肥のタイミングは一般的には花が咲く時期、実が膨らむ時期などですが、バラの場合なら、蕾が付く時期や開花後に剪定した後の樹勢回復で追肥をします。
    ちなみに苗を植えつける際に、あらかじめ土に混ぜ込む肥料は「元肥」といいます。一般的に「元肥」にはじわじわ効いて長く効く緩効性肥料(粒々の肥料)を、「追肥」には、素早く効く液体肥料(マイローズばらの液体肥料など)を使いますが、たとえば「マイローズばらの肥料」や「マイローズばらの置くだけ肥料」なら、すぐ効く肥料成分とゆっくり効く肥料成分がバランス良く配合されていて、約3か月効くのでこれだけで元肥、追肥に使うこともできます。施肥のコツはタイミングと量です。施し過ぎも、少なすぎも生育には悪影響となります。バラが肥料を必要としているタイミング(開花、結実など)に、程よい量(肥料のラベルに使用量が書いてありますのでそれを目安に)で施肥することでバラを元気に育てましょう。もちろん日当り確保、水やりも忘れずに!

  • ■花が咲いた後には、お礼肥と花がら摘みを忘れずに

    6月に入るとバラの一番花がひと段落となります。咲き終わった花がらはこの時期にこまめに剪定しておきましょう。
    花がらを残しておくと「灰色かび病」の原因や、品種によっては「ローズヒップ」と呼ばれる実ができるものもあります。もちろん、「ローズヒップ」として利用する場合はそのまま付けておいても良いのですが、そうでない場合、実の生育に栄養が取られてしまい、株全体の生育が抑えられてしまいます。この実やタネなど子孫を残すための生育を「生殖成長」といいます。
    いっぽう、葉や茎など植物体の生育を「栄養成長」と呼びます。
    バラの場合、6月がちょうどこの切り替わりの時期で、一般には花後にお礼肥をあげるタイミングです。花後のお礼肥は「栄養成長」を促し、株に力を蓄えるための肥料です。
    このタイミングで施肥をすると、根元から太く勢いのある枝「ベーサルシュート」が伸びてきます。また根元からではなく枝の途中からも、新しい枝が勢い良く伸びてくることがあります。この枝は「サイドシュート」と呼ばれます。いずれのシュートも次年度の花芽がつく大事な枝です。
    しかし、これらのシュートは他の枝に比べ成長が早く、その分栄養も、より多く必要とするためそのまま残しておくと、すぐに花芽が付き始め、株全体のバランスが悪くなってしまいます。そこで他の枝にも栄養が行き渡るよう、伸びたシュートの切り戻し剪定すると、株全体のバランスが整います。
    伸びたシュートの先に、花芽がすぐに付くので剪定をためらう人も多いですが、この花芽はそのままにしておくと夏に開花するので、花が小さかったり、すぐしおれてしまったりと、あまり良い花が咲きません。この時期につく花芽はなるべく剪定し、秋に向けて株に栄養を貯え、葉を充実させる時期と考えましょう。

    ■梅雨時に発生する「黒星病」を防ごう!

    6月は梅雨の時期です。気象庁によると、関東甲信では平年は6月7日が梅雨入りとのことです。
    さて、梅雨といえば、バラの大敵「黒星病」の季節でもあります。
    葉に黒いシミ状の斑点ができ、やがて葉全体が黄色くなり、触ると5枚葉ごとポロッと取れてしまう病気です。
    黒星病はおもに雨水で伝播します。前年に黒星病に感染した葉が落葉し、土に混ざり込むとそれが雨水で跳ね返り、葉の葉裏から感染します。そのため「黒星病」は株の中~下葉から発生し始めます。
    泥はねを防ぐための敷き藁をするなどの対策をしつつ、前年に「黒星病」が発生した株や花壇の土はできるだけ入れ替えて発生源を少しでも減らすことも有効です。
    発生前の予防として殺菌効果のある予防薬「ベニカXガード粒剤」を土にばらまいておくとより効果的です。「ベニカXガード粒剤」は抵抗性誘導の作用により植物自身が持つ病気に対する抵抗力を引き出し、効果が約1か月持続します。
    それでも万が一発病してしまった場合は、発病した葉を取り除き(その際、地面に落とすと次年度の発生源になるので、きちんとその場から取り除きましょう)、「ベニカXファインスプレー」などの殺菌剤を散布しましょう。
    このとき、殺菌剤に対する耐性菌の出現を避けるため、作用性の異なる殺菌剤を交互に散布する「ローテーション散布」を行いましょう。手軽なスプレータイプによるローテーション散布の組み合わせでは、たとえば「ベニカXファインスプレー」「マイローズばらの殺菌スプレー」「モストップジンRスプレー」などを交互に散布すると耐性菌の発生が抑えられるのでおすすめです。

    *「平年」は、令和2年(2020年)までの過去30年の平均(入り・明けを特定できなかった年は除外)の日付。気象庁HPより

  • ■ハダニの発生時期と対策

    バラには色々な害虫が発生しますが、環境によって特に出やすい害虫もいます。たとえばハダニは高温乾燥を好むので夏場に出やすいといわれています。
    そのため、日当りのよい庭ではあまり発生せず、ガーデンローズではあまり問題になることはありません。
    むしろ室内の窓辺に置いたミニバラや軒下、ビニールハウス内で育てているバラにハダニが発生する可能性があります。
    しかし、最近はガーデンローズでもしばしばハダニの被害報告を聞くようになりました。
    気候変動の影響もあるかもしれませんが、近年バラの育種技術が進み耐病性のバラがふえたことも要因の1つではないかといわれています。
    以前のバラは冬になると葉が完全に落ちてしまうイメージでしたが、最近のバラは冬でも葉が残っている場合も見受けられます。
    これは、四季咲き性の品種が多くなり、耐病性の向上によって、黒星病などで葉が落ちることが少なくなったなどによるものですが、残った葉でハダニが越冬するようにもなったとも考えられています。

    ハダニは葉裏に寄生して汁を吸うため、葉の表からは、吸われた部分の葉緑素が抜け、白い小斑点が生じます。数が多くなると白くカスリ状にまとまって見えるので、被害が出てから、初めて気がつくことが多いので要注意です。
    ハダニの発生が気になる場合は水やり時に株元だけでなく葉水も行うとハダニの発生を抑えることができます。
    発生初期の段階であれば3つの天然成分配合で使用回数の制限もない「ベニカナチュラルスプレー」を散布しておくのも有効です。特に「ベニカナチュラルスプレー」の成分の1つである紅花油と綿実油の「調合油」がハダニの成虫、幼虫だけでなく卵にも作用するのでハダニの被害を効果的に防ぐことができます。

    ■病害虫を防ぎ、株を健康に育てる水やりのポイント

    梅雨が明ける7月中〜下旬から気温もぐっと高くなります。バラの葉が茂っている時期なので葉からの蒸散も活発になり、根から水をぐんぐん吸います。
    特に鉢植えの場合、水はけのよい培養土で植えている場合が多いので、土自体が乾きやすくなり、1日で鉢土がカラカラになってしまうこともあります。
    バラは植物の中では比較的乾燥には強いですが、葉が茂る時期に土が完全に乾いてしまうと枯れる原因になります。特に5~6月ごろ、店頭に並ぶバラの鉢植えは、購入後にひと回り大きい鉢に植え替える「鉢増し」を行いましょう。できれば6月までにひと回り大きめの鉢に植え替えるか、地植えにするのも夏の乾燥を乗り切る上で重要です。
    夏期のバラへの水やりのタイミングは基本的には早朝、できれば朝8時ごろまでに済ませるのがベストです。
    日中の高温時に散水すると、水もすぐに高温になるので、根傷みの原因になります。水の量は鉢土が乾いてから、鉢底から流れ出るくらいたっぷりと与えます。毎日少しずつ水やりを繰り返し鉢土の表面だけが濡れた状態や、与えてすぎて、常に鉢土が湿った状態は避けましょう。根は呼吸をしているので、常に湿った状態では酸欠になってしまうからです。
    乾かし過ぎはダメですが、鉢土が乾いてきてからたっぷりと水を与えることで、土の中の空気を入れ替えたり余分な肥料分を流したりする作用があります。

  • ■夏剪定&追肥を忘れずに。

    バラは、気温の上昇する春から夏にかけて枝葉が勢いよく伸びていきます。大株の場合は伸びすぎた枝葉を整理するために剪定を行います。四季咲きのバラは、この時期はまばらに開花するので、そのまま咲かせてしまうと花が咲き揃わなくなります。そのため、いったん剪定をして株をリセットする必要があります。この剪定を、夏剪定といいます。秋の開花タイミングを揃えるために、夏場に深く切り戻します。

    夏剪定の時期は、以前は8月末と言われていましたが、最近のバラの栽培ガイドなどでは9月上旬ごろを推奨している場合が多いようです。ただし、なかには四季咲きのシュラブ系など品種によって夏剪定が遅くなると蕾が付きにくくなる品種もあります。このような品種は、8月中~下旬に浅めに剪定すると秋の蕾が付きやすくなります。

    夏剪定は、枝葉が勢いよく伸び、根が充実した元気な大株の枝葉を深く切り戻します。
    一方で、春に購入した新苗などまだまだ生育途中のものを深く切り戻してしまうと樹勢が落ちてしまうことがあります。こうした場合は、開花後の花枝を軽く剪定する程度に留め、なるべく葉は残して株の充実を図るようにしましょう。

    剪定後は株を充実させるため、追肥を行います。
    追肥には水で希釈して施す液肥「マイローズばらの液体肥料」を1週間に1回施します。6~8号程度の鉢植えの場合なら、有機質配合で約3か月肥料効果が持続するペレットタイプの「マイローズばらの置くだけ肥料」も効果的です。10号を超えるような鉢や地植えの場合は、腐植酸苦土配合で肥料やりと同時に土作りにも有効な「マイローズばらの肥料」がおすすめです。こちらも約3か月肥料効果が持続します。

    ■夏バテ対策に活力剤を使おう!

    根が十分に張って伸びた元気な大株なら、夏の日差しを受けて枝葉がどんどん伸びます。四季咲きのバラは花芽も沢山上がってきます。

    ところが、何らかの原因で根が傷んで葉が思ったほど茂らず、むしろ株が弱ってしまうと夏バテの状態になります。そのような株では、葉を切り過ぎてしまうと逆に株が弱るので注意が必要です。夏バテ気味の株では浅めの剪定に留めておきましょう。

    この時期、鉢植えで育てている株で、水のやり過ぎで根が酸欠になり、根腐れを起こす場合や、夏場の強い日差しで鉢の表面が高温になり、鉢の内側付近の根が焼けてしまう高温障害が起きる場合もあります。いずれの場合も根が傷んでいると、起こりやすくなります。

    遮光のために鉢カバーをかけたり、通気性の良い素焼き鉢で植えたりするなどの対策を行ってください。

    このように夏バテして、元気のない株の回復に有効なのが活力剤です。水やりの代わりに、「マイローズばらの活力液DX」を1週間に1回たっぷりと与えることで樹勢の回復に役立ちます。「マイローズばらの活力液DX」には有効成分として酵母抽出物、各種ミネラル、ビタミン、アミノ酸が配合されていて、これらの作用が根張りをよくするので、夏バテや根傷みなどで弱ったバラに有効に作用します。また天然有機質配合なので土壌中の微生物環境が整い、土質の改善にも有効です。

    植付けや植え替え時に根が傷んでしまう場合にも活力剤は有効です。肥料だけでは補えないミネラル分に加え、さらに吸収しやすいキレート鉄を配合した活力剤は、新葉の白化防止(鉄は葉の緑色を保つ葉緑素に必要な微量要素です)にもお勧めです。活力剤を上手に使って株を元気に保ち、熱い夏を乗り越えましょう。

  • ■コガネムシを予防しよう!

    バラの害虫でもあるコガネムシは、カブトムシやカナブンなどと同じ甲虫類の仲間です。カブトムシやカナブンの幼虫は腐葉土などを食べ、成虫は樹液を吸うのに対し、コガネムシの幼虫は根を、成虫はバラの蕾や花弁を食害します。最近ではベランダで栽培している鉢植えに産卵する被害も増えています。

    コガネムシの1種であるドウガネブイブイの成虫は、アジサイやブドウ、キウイなど広葉落葉樹の葉を網目状に食害します。一方、バラの場合はマメコガネやヒメコガネが主に花や蕾を食害します。

    マメコガネは昼行性なので、食害しているところを見かけたらすぐに捕殺できますが、ヒメコガネは夜行性なので気が付かないうちに蕾が食害されてしまうこともあります。成虫の発生する初夏から秋にかけては、食害される前に予防対策が可能な殺虫剤を散布しておくとよいでしょう。

    手軽なハンドスプレータイプではベニカXファインスプレーベニカXネクストスプレーが予防的に使用可能です。株数が多い場合は希釈剤のベニカR乳剤を噴霧器で散布すると便利です。なお幼虫を退治する場合はふ化直後の一齢幼虫を退治するのが効率的ですので、成虫が産卵する秋以降に土に混ぜ込むタイプのマイローズベニカXガード粒剤や水に希釈して土にまくベニカ水溶剤などを予防的に使用するのがおすすめです。

    ■台風対策も万全に

    月は台風の上陸が増える時期です。バラの枝は比較的しなりやすい枝なので、台風で折れるようなことは少ないですが、強風で枝葉がゆすられるとトゲで葉が傷つきます。大型の台風が予想される場合、鉢植えが倒れたり、吹き飛ばされたりしないよう、横に寝かしてしっかり固定するなどの対策を検討しましょう。

    海が近い地域では台風によって海水が巻き上げられて降り注ぎ、植物の葉を枯らす場合があります。これを塩害といいます。そのような心配がある地域では、鉢を雨の当たらない軒下に移動して雨除けをします。

    地植えの場合はこのような対策はできません。大株など枝が固くなっているものは株の四隅に支柱を立て、風除けネットを巻きつけるなどの方法があります。また、台風が過ぎた後は葉が傷んでいる場合が多いので、よく観察して傷んだ枝葉は剪定します。また傷から病原菌が侵入することで枝枯れを起こす場合もあります。マイローズ殺菌スプレーなどの殺菌剤やベニカXファインスプレーなどの殺虫・殺菌剤を散布しておくと安心です。

  • ■花がら摘みと枯れた枝の剪定

    10月に入ると秋バラが開花し始め、これで今年の開花も一段落です。秋バラの開花後の花枝の剪定は浅めにして、花がらを摘む程度にしましょう。また、植物は葉で光合成をして栄養を蓄えるので、来春の株を充実させるためになるべく葉を残すようにします。

    なお、花がらはそのままにしておくと「灰色かび病」の発生源になってしまうので、必ず取り除くようにします。また、花がら摘みのついでに「枝枯病(えだがれびょう)」で枯れた枝なども剪定しておきましょう。

    剪定する枝は、太さが鉛筆より太いかどうかを目安にします。鉛筆より太い枝を剪定した切口には「トップジンMペースト」癒合殺菌剤を塗布すると枯れ込み防止になります。

    ■大苗の植付け

    残暑を過ぎて秋の気配を感じるころになると、再びバラの開花時期がやってきます。そして、関東以西では11月から翌年の2月にかけては大苗の植えつけ(地植え)や植え替え(鉢植え)に適した季節でもあります。大苗を植えつけるときは、まず根をほぐし広げます。その際、自然に落ちる土はそのまま落としてしまってかまいません。そして、規定倍率に希釈した「マイローズばらの活力液DX」に1時間ほど根を漬けておくと、芽吹きがよくなります。

    植える場所の準備ですが、地植えの場合は植穴の底部に堆肥と「マイローズばらの肥料」などを元肥として入れ、少し土をかぶせておきましょう。鉢植えの場合、大苗が植わっていた鉢よりひとまわり大きい鉢を用意し、「マイローズばらの培養土」などバラ専用の培養土で植えつけましょう。この時期の鉢植えは特に元肥は不要ですが、有機質の肥料の場合は株元に施肥しておいてもかまいません。いずれの場合も、植えつける高さは台木の接口が地表から出るぐらいを目安にします。地植えも鉢植えも、植えつけ後は支柱を立て、枝をしっかり留めましょう。

    また、秋は気温が下がるとともに雨も多くなり、秋雨の影響で湿度が高くなるので、「うどんこ病」や「黒星病」が発生しやすくなります。「黒星病」の対策として株元に敷き藁をして雨水の跳ね返りを防いだり、株が蒸れないよう鉢植えでは間隔を広げて置き直すなど病気対策もあわせて行っておくとよいでしょう。

  • ■ヨトウムシの対策をしよう!

    すっかり涼しくなって秋の深まるこの時期は、家庭菜園では鍋料理に最適なハクサイ、コマツナ、ミズナ、ダイコン、キャベツなどアブラナ科の秋野菜が生育します。しかし、そんな秋野菜をかじる害虫が発生します。その代表格が「ヨトウムシ(夜盗虫)」です。

    野菜の生育に合わせてヨトウムシは活発に活動しますが、幅広い植物に寄生し、バラも食害を受けます。せっかく芽吹いた蕾や葉を食害する害虫です。葉裏に数十~数百個の卵を塊で産みつけます。

    名前のとおり夜行性です。大きく育った幼虫は、昼間は土中に隠れるため特に見つけにくいです。「アオムシ」と同様に、被害が進むと葉脈だけを残し花まで食害されます。

    ヨトウムシは、ふ化直後の葉裏に群棲している時に防除するのがポイントです。家庭菜園などではチョウ目害虫の専門薬「STゼンターリ顆粒水和剤」がおすすめです。「B.t菌(バチルス チューリンゲンシス菌)」という自然界に存在する微生物を利用した殺虫剤で、オーガニック栽培でも使用できます。バラにつくヨトウムシには、発生初期であれば「マイローズ ベニカXファインスプレー」が有効です。退治の難しい老齢幼虫には「ベニカXネクストスプレー」で退治します。

    ■肥料をうまく使ってバラ苗の充実を!

    この時期出回るバラの苗は、秋苗と呼ばれる大苗が主流です。春の新苗は冬に接ぎ木したばかりの若い苗なのに対し、この時期の苗は春に植えつけ、生産圃場で十分生育した株の枝を切り詰め、掘り上げた苗です。

    初秋は、来春の開花に向けて株の充実をはかる時期です。大苗は株がしっかりしていて、この時期は病害虫の発生も少ないため、管理もしやすく、初心者にもおすすめです。購入したらすぐに鉢上げもしくは地植えにしましょう。すでに鉢植えや地植えで栽培している場合は、この時期はまだ葉が茂って生育を続けているので、通常の肥料やりに加えて活力剤(「マイローズばらの活力液DX」など)を与えて株の充実を図りましょう。

    秋の長雨といわれる時期ですが、雨が多いと「黒点病」、「うどんこ病」、「べと病」などが発生しやすくなるので、念のため、保護殺菌剤(「エムダイファー水和剤」、「ダコニール1000」など)を散布して予防しておくと安心です。

  • ■つるバラの剪定と誘引の手順

    つるバラの剪定と誘引作業は、木立性のバラよりもひと足早く、12月下旬~1月上旬の休眠期に行います。フェンスなどに誘引されている場合は、フェンスから枝を外し、枝の配置を考えながら、残す枝を決定します。
    前年に伸びた元気なシュートや2~3年目の元気な枝は残しつつ、枯れ込み枝や細い枝などを剪定して整理するのが目安です。そして、2~3年目の枝は、先端を20~30cm程切り詰め、側枝が伸びている場合はそれらも10cm程残して切り詰めておきます。

    なお、剪定作業の際、太い枝にバラシロカイガラムシが付着している場合があるので、見かけたら削り取って「カイガラムシエアゾール」などを散布して退治します。また、前年の10月以降に伸びたシュートは、若すぎて寒さで枯れてしまう場合が多いので、残さず剪定しましょう。

    伸びすぎた枝や不要な枝を剪定したら、春の開花をイメージしながら、枝をフェンスなどに配置し直していきます。この時期、葉が残っている場合がありますが、残しておくと病害虫が葉で越冬し、翌春に持ち越されてしまう場合があります。残っている葉はこのタイミングで取り除きましょう。

    ■春のために寒肥を施そう!

    寒肥(かんごえ)とは、おもに庭木や果樹など、年間を通じて地植えしている植物に対し、休眠期である冬(12~2月頃)に施す肥料のことで、春先の芽吹きを良くするために大切です。

    施すのは、おもに有機質の肥料です。有機質の肥料は、土壌中の微生物が分解してはじめて肥料として効果が出ます。冬の間は、寒さで微生物も活動が緩やかなため、分解は促進されず、肥料成分は出にくいです。暖かくなるにつれて、土壌微生物が活動を始めて徐々に有機質が分解され、根が動き出すタイミングに合わせて肥料成分も効き始めます。

    化成肥料では、コーティング肥料の「マイローズばらの肥料」も冬の低温期はコーティングは溶けにくく、肥料成分は出てきません。暖かくなると、コーティングが溶けはじめ、肥料成分が出てくる仕組みなので、寒肥としてもおすすめです。

    有機肥料には、米ぬかや油粕など植物性のものと、鶏糞や牛糞、骨粉など動物性のものがあります。バラの寒肥には牛糞などが一般的ですが、臭いの問題などもあり、最近では米ぬかを利用した「ぼかし肥料」など臭いの少ないものに人気があります。

    「ぼかし肥料」とは、米ぬかや油粕などの有機肥料を微生物によって発酵させてつくる肥料のことです。発酵しているので、油粕や牛糞など未発酵の有機肥料よりも効き目が早いという特長もあります。また、発酵後に残っている有機質は、施肥後に土壌中の微生物によって腐植酸などへと分解されるので土壌改良の効果も期待できます。

  • ■大苗の植えつけと肥料の特徴

    年明けは、寒さが厳しい時期ですが、秋に購入した大苗の植えつけ適期です。植えつけ時に、植え穴に一緒に「寒肥(かんごえ)」を混ぜ込みます。寒肥は春先の芽吹きを良くするうえで大切な肥料です。土壌微生物により、分解されることで効き始める有機質の肥料がおもに使われます。

    有機質の肥料が使われるのには理由があります。冬期は、気温が低く土壌微生物の活動は緩やかです。しかし、気温が高くなり、土壌微生物の活動が活発になると、有機質の分解が促進され、肥料分が充実していきます。肥料と同様、冬期に休眠しているバラは、気温の上昇とともに根や芽が動き始め、肥料吸収が盛んになります。そこで、あらかじめ土に混ぜ込んでいた寒肥がタイミングよく効いてくる、という仕組みです。

    有機質肥料には、油粕のような植物質のものや、牛糞や馬糞といった動物質のものなどがあります。一般的に、植物質は臭いが少なく扱いやすいが効き目はゆっくり、動物質は効き目は比較的早いが臭いが気になる、とそれぞれメリット、デメリットがあります。

    マイローズばらの天然有機肥料」は「米ぬか」と「おから」を主原料とし、そこに動物質をブレンドした複合型の有機肥料です。嫌な臭いも少なく、効き目も比較的早いため、寒肥だけでなく開花後のお礼肥(6月頃の施肥)にもおすすめです。

    ■春にそなえた冬剪定をしよう

    1月は、春の開花に向けた「冬剪定」の時期です。秋バラは、開花後枝が伸び過ぎたり、樹形が乱れたりすることがあります。そこで枝を切り整える作業が冬剪定で、樹形を整えるのは、葉が落ちて休眠しているこの時期が適期です。また、冬剪定をせずにそのままにしておくと、毎年バラの枝が伸び続け、枝の先端にだけ花が咲くようになってしまいます。枝が多く混みすぎていると、株の中の日当りや風通しが悪くなり、病気や害虫も発生しやすくなります。

    剪定するのは、枯れ枝や「ふところ枝」(内側に伸びそうな枝)、弱々しい細い枝などです。枯れ枝は、枯れた部分の少し下から切るのがコツです。また、枝をよく見てみると、ところどころに小さな赤い芽がついているのがわかります。萌芽前なので、まだほんの小さな膨らみ程度ですが、気温の上昇を感知するとさらに膨らんで新芽になります。

    剪定時期は、できれば1月上旬を目途に、なるべく小さな芽が外側に向いている箇所(外芽)を残すように整えることで株が大きく広がります。鉛筆より太いかどうかを目安に、剪定した切り口には「トップジンМペースト」などの癒合殺菌剤を塗布しておくと、枯れ込み防止になります。同時に、太い枝に「バラシロカイガラムシ」が付着している場合があるので見かけたら削り取ってカイガラムシエアゾールなどを散布して退治します。

  • ■カイガラムシは早めの対策を!

    普段は葉が茂っていて気がつきにくいですが、剪定の時期に枝をよく観察すると、白い粒々に気がつきます。「バラシロカイガラムシ」という、バラにつく、白いロウ物質に覆われたカイガラムシです。
    白いロウ物質を剥がした中にいるオレンジ色の虫が、本体になります。新苗にはあまりつきませんが、数年目で幹肌が荒れてくると、つきやすくなります。
    カイガラムシは「アブラムシ」や「コナジラミ」、「カメムシ」などと同じカメムシ目の害虫で、ストロー状の口が特徴です。このストロー状の口を、植物に刺して汁を吸っています。アブラムシなどはちょこちょこ動き回りますが、多くのカイガラムシは足が退化していて、歩き回ることはほとんどありません(「コナカイガラムシ」のように一部は歩き回る種類もいます)。

    バラシロカイガラムシも、枝や幹に付着したまま動きません。見かけたら、歯ブラシを利用すると簡単に削り取ることができます。カイガラムシは殻の中に卵を産むので、落ちたままにせずに必ず取り除いて処分しましょう。殻の中に卵が残っている場合があり、ふ化した直後のカイガラムシの幼虫は歩き回ることができるので、ふたたび幹を登ってくることがあります。

    発生が少ない場合は削り取るだけで十分ですが、広範囲にいる場合は、カイガラムシ専用の殺虫剤「カイガラムシエアゾール」を枝や幹全体に散布して退治するのが便利です。
    カイガラムシは、残したままにしておくと栄養を吸い取り植物を弱らせるだけでなく、排泄物にかびが生えることで葉が黒いすすで覆われたようになる「すす病」を誘発することもあります。見かけたら早めの対策を行うことが重要です。

    ■鉢の植え替えを忘れずに

    鉢植えのバラは、少なくとも2~3年に一度は鉢の植え替えをしましょう。低花木のバラは、何十年もかけ成長し、年々株が大きくなります。植物の健全な成育には、光合成をするための葉を茂らせる地上部と、水や肥料を吸収する根がある地下部のバランスが重要です。
    鉢に植えっぱなしにすると、地上部に比べ、年々地下部は窮屈になり、根詰まりや根腐れをおこしかねません。肥料や水を適切にあげていても、やがて株は弱ってしまいます。

    そこで必要なのが鉢の植え替え作業で、適期はこの時期の休眠期です。鉢の植え替えは、以下の手順で行います。
    まず鉢から株を抜き取ります。土が固くなって取りにくい場合は、鉢を回しながら側面を叩くと取りやすくなります。
    次に土を落としていきますが、無理にほぐそうとすると根を傷めるおそれがあります。ホースで水をかけ流し、水圧で土を取り除くと根を傷めにくいです。その際、細かい根は手で取ってもかまいません。

    こうして根を整理したら、今まで植えていた鉢か、できればひと回り大きい鉢に植え直しましょう。古い土には病原菌や害虫が残っている場合があります。植え直す際は、今まで使っていた土を再利用せずに、「マイローズばらの培養土」など新しいバラ専用の培養土を使います。
    植え替えが完了したらすぐに水やりをしましょう。鉢底から流れ出るまでしっかりと与えます。その際、「マイローズばらの活力液」など活力剤を水に溶かして施すと根の活着が良くなります。