意外とカンタン!
庭の芝をはがす
芝のはがし方は意外と簡単。コツは、シャベルで小さめに切り込みを入れて、少しずつはがすこと。
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シャベルをまっすぐに地面に突き立て、体重を乗せて、深く刺すように芝をカットします。
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小さめにカットすれば、女性でもはがすのがラクです。
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カットした芝生を手でグイッと持ち上げてはがします。
グランドカバープランツとして、いま、注目を浴びているクラピア。
名前は聞いたことがあっても、まだよく知らない人が多いと思います。
「趣味の園芸」で、おなじみの金子明人さんと、
クラピアを販売するエスビーエル代表取締役の大出真隆さんが、
グランドカバーとして、クラピアの庭をつくりたいというお宅へうかがい、
お二人にクラピアの特長や植え方を教わりました。
子どもたちも加わって、みんなで一緒に植えつけを行った様子をお伝えします。
クラピアは、人にも地球にもやさしい、
新しいグランドカバープランツ!
金子明人さん
(かねこ あきひと)
テレビや雑誌、書籍など、さまざまなメディアを通して、また日本各地を巡って、幅広い植物の栽培方法や園芸の楽しさを伝えている。本ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」の園芸日記は、ほぼ毎日更新中!
(株)エスビーエル 代表取締役
大出真隆さん
(おおで まさたか)
金子
「芝に代わる新しいグランドカバープランツとして、クラピアが注目されていますね。個人のお宅でも利用される方が増えています。多年草で、フラワーカーペットもグリーンカーペットも両方楽しめるのがいいですよね」
大出
「そうなんです。多年草なので、毎年花を楽しめますし、刈り込むと分枝が進んで、葉が小さくなって緻密なマット状のグリーンカーペットになります。夏は冷んやりして、はだしで歩くと気持ちがいいですよ」
金子
クラピアはタネが飛んで勝手に増えたりすることがない不稔性(ふねんせい)で、安心な植物ですが、よく似た外来種のヒメイワダレソウ(リッピア)だと思っている人も、まだ多いようです。
大出
クラピアは、沖縄に自生する在来種のイワダレソウから、雑草低減の目的で改良開発され、農林水産省に品種登録された安心の品種です。ヒメイワダレソウ(リッピア)は、国内の生態系に被害を及ぼす恐れのある外来種として重点対策外来種に指定されており、見た目は似ていますが、全く別の品種です。
金子
植えつけ後、どれくらいで全面を覆うのですか?
大出
日当たりが良ければ2〜3か月で全面を覆います。生育スピードは芝の約10倍といわれています。
金子
お子さんたちが、夏、庭をはだしで駆け回っている様子を想像すると、いまから楽しみですね(笑)
タネが飛ばないから安心!
タネが飛んで植栽地以外のところに勝手に広がることがありません。
クラピアは、農林水産省に品種登録された安心の品種です。国内の生態系に被害を及ぼす恐れのある外来種として重点対策外来種に指定されているヒメイワダレソウ(リッピア)は別種です。
毎年、花が楽しめる!
1日の平均気温が10℃以下になると休眠し、翌春には芽吹いて小さなかわいい花を咲かせます。
毎年花を楽しめます。
被覆(ひふく)後は、水やり不要!
匍匐(ほふく)性で横に広がる性質のため、定期的な刈り込みが低減。根は地中深く伸びるので乾燥に強くなり、全面被覆後は、定期的な水やりも必要ありません。
庭木の根元にも植えつけOK!
ほかの植物より土壌の地下深くまで直根を伸ばすため、ほかの植物の生育を阻害せず、庭木などの根元にも植えつけ可能です。根が土壌をしっかりと抑えることから、斜面などの土壌流出防止にも利用されています。
踏んでも、寝転んでも大丈夫!
全面に被覆後は、踏んでも寝転んでもOK。踏まれれば踏まれるほど、葉が小さくなり、緻密なマット状に繁茂して、刈り込みの必要も少なくなります。
緻密に地面を覆うから、雑草の発芽を低減!
地表面を小さな葉が幾重にも緻密に覆うことで、飛来する雑草の種子の侵入を防ぎ、さらに光をさえぎるので雑草が発芽してもその生育を阻害して、防草効果が期待できます。
夏は冷んやり、はだしが気持ちいい!
地表面の温度上昇をやわらげ、蒸散作用によって周辺の温度も下げる効果があります。葉が丸く柔らかいので、お子さんがはだしで歩いても肌を傷つけません。
今回は、庭のほかに、玄関前、駐車スペースのシンボルツリーの根元、ウッドフェンス前の芝生もはがして
クラピアを植えつけました。クラピアは、草丈がとても低く、日陰にも弱い植物です。雑草の陰になると、
生育しにくくなります。しっかりと除草して植えつけ予定地を整備しておきましょう。
意外とカンタン!
芝のはがし方は意外と簡単。コツは、シャベルで小さめに切り込みを入れて、少しずつはがすこと。
シャベルをまっすぐに地面に突き立て、体重を乗せて、深く刺すように芝をカットします。
小さめにカットすれば、女性でもはがすのがラクです。
カットした芝生を手でグイッと持ち上げてはがします。
根までしっかり取ろう!
クラピアは雑草より草丈が低く、雑草の陰になると生育しづらくなります。雑草がある場合には、残効性のない茎葉処理剤を使用するなどして、根までしっかり取り除きましょう。
土壌の保水性、排水性を確かめよう!
クラピアは排水性が良く、適度な保水性のある土を好みます。排水性と保水性の良し悪しを簡単に見極める方法があるので、紹介します。
スコップなどで土を掘り起こし、片手で土をひと握り、ぎゅっと握ります。このとき、土が乾いていてうまく握れない場合は、小さじ1杯程度の水を加えて湿らせて握りましょう。
保水性
あり
手を開いて、土が固まっていれば保水性がある土。固まらない場合は保水性がない土です。
排水性
あり
②の固まった土を指で軽く押して、ボロっと崩れれば排水性がある土。崩れにくい場合は、排水性が悪い土です。
土の色でも、おおよその土のタイプを見分けることができます。保水性、排水性に加えて、養分が少ない土壌も改良が必要です。庭の狭い区画に植えつける場合は、表層の土を10〜15cmほど取って、代わりに市販の園芸用土を加えて元の土壌に混ぜ込むのがおすすめです。
排水性が悪く、通気性も悪い。
保水性が悪く、養分もためておけない。
乾燥しやすい。
締め固まりやすく排水性が悪い。養分も少ない。
保水性、排水性ともによく養分も多い。粘質がある場合がある。
保水性も排水性もあり通気性もよい。
肥料入りで養分も豊富。
排水性、保水性、通気性がUP!
*2年目以降の庭で養分の少ない土の場合などに施肥。
苗は生きもの。風通しのよい場所へ出しておこう!
品質管理の観点から、クラピアは正規販売店の運営する「オンラインショップ」を通してのみ購入することができます。
苗は生き物ですから、受け取ったらすぐに開梱して、苗に異常がないか確認し、風通しの良い場所に出して置き、できるだけ早く植えつけましょう。
※届いた苗に異常があった場合の対処は、こちら
今回使用した品種は2種類
いずれも不稔性で、耐寒性があり、冬季の最低気温が-10℃以下にならなければ生育可能です。
Point!基本は4ポット/㎡
基本は、1㎡に4ポットが目安。
端からは25cm、苗と苗の間が50cm間隔になるようにポット苗を置きます。
通常の植栽位置
Point!日陰になるところは、苗の間隔を狭くして多めに植えつけよう
日陰になるところに苗を増やした部分
クラピアは、日陰に弱く、陰になるところでは生育が遅くなるので、日陰になるところには、苗を多めにおきます。
Point!変形区画も等間隔に
狭いスペースや変形区画は、その区画に合わせて等間隔で植えつけます。
クラピアK3は、草丈が少し高めに生長する分、クラピアK7と比較すると、横に広がる(被覆する)スピードはゆっくりです。クラピアK7と同じスピードで被覆させたい場合は、苗数を少し多めに植え付けましょう。
Point!はみ出して広がるのをイメージして中央に寄せて植栽する
クラピアは、地下深くに直根を伸ばし、庭木の生育を阻害しないので、木の根元にも植えつけできます。枝葉が広がることを考慮して、中央に寄せて植えつけます。
Point!傾斜地では低いほうへ伸びていくので、高い位置に、多めに植栽する
傾斜がある場所では、クラピアは高いところから低いほうに向かって成長するので、それをイメージして、高い位置に、少し多めに植えつけます。
スコップや穴あけ器を使って、
植えつけ穴を掘る。
ペットボトルのキャップ1杯は6g
元肥を入れるには、ペットボトルのキャップを使うのが便利。どんなキャップもほぼ同じ大きさで、キャップ1杯は約6g。今回は1杯6g入れましたが、土壌の養分が少ない場合は、2杯入れる。
指先で軽く馴染ませるように
逆さにすると目土がこぼれるので、底から押し出すようにはずす
周りに土を入れて隙間をなくす
根鉢と土の間に隙間ができないように、苗の周りの土を上からギュッギュッと手で押して、根鉢を土に密着させる。
慣れてきたら、子どもたちも手際よく植えつけできた!
植えつけ直後の水やりはたっぷり、1苗500ccが目安
根の下の土にしっかり水が届くように、苗の真上からたっぷりと!緑の目玉焼きができるように!
植えつけ後の水やりは、とても大切。はす口をつけて、1苗あたり500ccほどたっぷりと、苗の真上から植えつけた根の下の地中に水がしっかり届くようにイメージして丁寧に。苗を含む直径15cm位の円内にその水を浸透させる必要があります。一度に散布すると浸透しきれず水が周辺に流れ出てしまうので、2~3回に分けて水やりします。その後は、週に2回程度の水やりを2週間程度続ければ、クラピアの根は伸びていきます。根が活着した後、 地表のクラピアも成長し始めます。
定点観測で見る生育のようす
撮影:田中雅也/構成・文:森高由美