紙魚淑女さんの園芸日記
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紙魚淑女さん  東京都
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送別

2017/08/04
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旅懐  杜荀鶴  晩唐

月華星彩坐来収 月華 星彩 坐来収まる
嶽色江声暗結愁 嶽色 江声 暗に愁いを結ぶ
半夜燈前十年事 半夜 燈前 十年の事
一時和雨到心頭 一時に雨を和して 心頭に到る

月の光、星のきらめきは、いつとはなしにうすれゆき、
山の色、川のせせらぎが、ひそかに愁いをそそる。
夜ふけて燈火の前にいると、十年来のさまざまなできごとが、
降りだした雨の音とともに、どっと胸におしよせてくる。


*********************
片手をあげるいつもの挨拶をしたヒトは
私のいつもより真っ直ぐ眼を見ると笑って
大きな手でこの薄くも柔らかくもない両肩に
左右とその手を降ろしてくれた。
私は笑って汚れた靴のつま先を眺め、
それからもう一度その眼を見つめなおし
ありがとうございました、とだけ頭を下げて
後ろ姿を最後まで見ることなくドアを閉めた。

執着の強い性格だ。
物にも場所にも人にも。
自分が気に入ったのだから、
私の手を離れることはないと思っているこの根拠のない思いは
いったいどこから来たのか時々自分でも不思議に思うが、
いつだって、私の愛する存在達は
冬の朝の布団のように優しく私を包んで
離さないと信じ切っている。
自分が選んだ物たちだけでなく、他の生活がある人でさえも。

それでも別れはあるのだと、誰が聞き分けの悪い私に
教え込んでくれるのだろうか。
全て手に入れたら、全部置いて私が逃げ出すつもりだったのに
そんなに生き死には簡単ではないことが
ようやく最近分かり始めてきた。
取り返しのつかない何かを壊すのか、
私から執着心を失わせるのか、
心の壊れるような永遠の別れに立ち会うのか。

まだ別離の準備が出来ていない。

私の生涯で唯一の上司は、じゃあなと笑って去っていった。
2017年7月31日

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