イチゴと一緒に育てよう!病害虫を防ぐコンパニオンプランツ【やさいの時間10・11月号こぼれ話】
『やさいの時間』10・11月号の「放送15周年企画選プレミアム」では、栽培スタートのタイミングとなるイチゴの育て方を掲載。じつは、イチゴを畑で育てるときにおすすめなのが、コンパニオンプランツとの混植です。誌面で紹介しきれなかった内容を紹介する「こぼれ話」では、イチゴと一緒に育てると病害虫対策になるコンパニオンプランツをご紹介します。
イチゴのコンパニオンプランツには3つのタイプがある
コンパニオンプランツは「共栄作物」ともいい、ある作物が、ほかの作物にとって何らかのメリットをもたらす組み合わせのこと。一方だけにメリットがある場合もあります。メリットには、害虫の忌避効果、害虫を誘引する植物をおとりにする誘引効果、天敵を集めたり、増やしたりする効果などがあるんですよ。天敵を集める作物は「インセクタリープランツ(天敵温存作物)」、天敵の世代交代を助けて増やす作物は「バンカープランツ」といいます。
イチゴのコンパニオンプランツには、①インセクタリープランツとして役立つもの、②バンカープランツとして役立つもの、③万能コンパニオンプランツになるもの、の3つがあります。
① インセクタリープランツとして役立つもの
イチゴとの混植に特におすすめのインセクタリープランツは、クリムソンクローバー、フレンチ・マリーゴールド、ブルーサルビア、スイートアリッサムの4種類。なかでもクリムソンクローバーは、イチゴの植えつけと同時にスタートできて手軽ですよ!
クリムソンクローバー。春に深紅の花を咲かせて、アブラムシの天敵を呼ぶ。(撮影/福田 稔)
クリムソンクローバーは、秋、イチゴの苗を植えるときに通路にタネをまいておけば、春に咲く花が害虫であるアブラムシの天敵を集めてくれます。アブラムシはウイルス病を媒介するので、アブラムシを防除すればウイルス病対策にもなって一石二鳥。イチゴの畝の片側に幅40cmの通路を確保し、タネを2列にすじまきします。
② バンカープランツとして役立つもの
おすすめはムギ類。なかでも、秋にタネをまけて草丈があまり高くならないエンバク、オオムギ、コムギを選ぶとよいでしょう。品種は何でもOKです。イチゴの害虫のホコリダニを食べてくれるカブリダニ類や、アブラムシの天敵を集めて増やしてくれます。
イチゴの畝の片側に幅40cmの通路を確保し、イチゴの苗を植える際に、タネを2~3列ですじまきします。草丈が30cmくらいになったら、株元から5cmくらいのところで刈り取りましょう。イチゴがムギ類の陰にならずに、よく育ちますよ。
エンバク。刈り取った草は、マルチ代わりに敷き草にしてもよし、緑肥として土にすき込んでもよし。(撮影/福田 稔)
③ 万能コンパニオンプランツになるもの
一石三鳥の活躍をするのはボリジ。イチゴの受粉を助けてくれる昆虫を呼ぶほか、イチゴにつくアブラムシを誘引するおとり植物にも、アブラムシの天敵を呼んで増やすバンカープランツにもなってくれます。イチゴの苗を植えるときに、苗を植えるかタネをまきます。
イチゴから3m離れたところで栽培しても効果があるので、家庭菜園なら1畝に1株で十分。イチゴの畝の短い辺に、畝から離して1株、苗を植えるかタネをまきます。
青い星型の花が目を引くボリジ。菜園の彩りにもおすすめ。(撮影/大泉省吾)
●参考文献
『NHK趣味の園芸 12か月栽培ナビ⑬ イチゴ』(コンパニオンプランツのページは根本 久監修)
次回の「こぼれ話」は、じつは寒くならないと収穫できないキャベツの仲間ついて紹介します。お楽しみに!〈11月上旬頃公開予定〉
▼これまでのこぼれ話はこちらからお読みいただけます
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