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物語の『おおきなかぶ』はどんな品種?

物語の『おおきなかぶ』はどんな品種?
これがルタバガ。肉質は緻密(ちみつ)で、煮崩れしにくい。日本には、明治時代に飼料用として伝わり、良質なものが食用となったと言われるが、気仙沼市の大島では、江戸時代から栽培されていたとも伝えられる。撮影:田渕睦深
物語の『おおきなかぶ』はどんな品種?
熱いうちにつぶすと餅のような粘りが出るというルタバガご飯。作り方はテキストをご覧下さい。

「うんとこしょ! あそれ どっこいしょ!」

 

ブタやニワトリまで動員して引っ張っても、びくともしない大きなカブ。だれもが知っているあのお話のカブは、いったいどんな品種なのでしょう?

 

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ハロウィーンのランタンにもなった『おおきなかぶ』のモデル!?

 

日本の絵本では白く巨大に描かれる『おおきなかぶ』。モデルは日本一大きな聖護院(しょうごいん)カブ? と思いきや、この話はロシアの民話。ロシアやヨーロッパの絵本では、黄色いカブに描かれています。

 

どうやらこのカブは、「ルタバガ」のようです。「ルタバガ」は、スウェーデンが原産とされる、アブラナ科の根菜(こんさい)。「スウェーデンカブ」とも呼ばれますが、厳密には、カブとは別種の植物です。ロシアや北欧などでは身近な野菜で、ハロウィーンで灯をともす「ジャック・オ・ランタン」は、もとは「ルタバガ」で作られていました。祭りの起源であるアイルランドからアメリカに伝わった後に、カボチャに変わったのです。

 

「『ルタバガ』は、日本にも古くからあるんですよ。宮城県気仙沼市の大島という離島では、『大島カブ』の名で、栽培されています」。と山形でイタリア料理店を営む傍ら、伝統野菜の種の保存に取り組む奥田政行(おくだ・まさゆき)さんに教えられて調べてみると、岩手県一関市でも、一度は途絶えたルタバガ栽培が復活し、「矢越(やごし)カブ」の名で作られていました。寒さに強く、貯蔵性も高い野菜なので、寒冷地の食糧として重宝されたのでしょう。

 

「戦時中には、米に『ルタバガ』を加えて炊くことで、少ない米を補った歴史があります。炊き上がった『ルタバガ』は、含まれたデンプンが糖に変わります。だから熱いうちにルタバガご飯をつぶすと、餅のような食感になるんです」

 

「ルタバガ」は、一般的には手に入りにくい食材ですが、タネが売られていて、栽培も容易です。初秋にまけば、冬には甘いルタバガご飯が食べられます。抜けないほど巨大には育ちませんが、「うんとこしょ! あそれ どっこいしょ!」の掛け声で収穫するのも、楽しそうです。

 

■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2016年9月号より

趣味の園芸 やさいの時間 2016年9月号

2016年08月20日発売 定価 669円 (本体619円)

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