純白の花を咲かせる木で爽やかな春を~連載「木と暮らす12か月」最終回(2024年3月号)
「花が美しい」「葉が見どころ」など、毎月テーマに沿って「育てて楽しい樹木」を紹介する連載「木と暮らす12か月」。最終回は、春に爽やかな白い花を咲かせる木を紹介します。
■『趣味の園芸』3月号より、一部抜粋
リキュウバイ 茶席で好まれる控えめな美しさ
春の花木は、ウメ、モクレン、サクラなど誰もが知るスターがたくさんありますが、今回紹介するのは、あまり知られてはいないものの、春の喜びをしみじみと味わえる、品のよい花木です。
リキュウバイは、3月下旬の利休忌のころから5月にかけて白い5弁の花を咲かせます。花の大きさはソメイヨシノと同じくらい。花とほぼ同時に新葉を展開させるので、純白の花とライムグリーンの新緑が調和して、春のやわらかな日ざしに映えます。万人の目を引くような華やかさはないものの、控えめな優美さが好まれ、茶席や茶庭で活用されてきました。漢字で書くと「利休梅」という名も、茶席でよく見かけることに由来するといわれています。
和の風情がありますが、原産地は中国で、日本にやってきたのは意外にも新しく明治時代です。また「梅」と名にありますが、ヤナギザクラ属で、ウメの仲間ではありません。
リキュウバイは、蕾も見どころの一つです。白く真ん丸な形が真珠のようで、パールブッシュ(真珠の木)という英名もあります。和だけでなく洋風の庭にも合う、おすすめの花木です。
(解説・栗原隆治)
3月号では、ほかにもおすすめの木を紹介しています。
▼この号に掲載されています
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